Wednesday, March 22, 2006

心狂々廻り巡る5/18

段々小難しくなってきた。
臨床的に必要なホルモン剤に副腎皮質ホルモンがある。アドレナリンは副腎の真中にある髄質から分泌されますが、副腎皮質ホルモンは名前の通り副腎の皮質(外側の部分)から分泌されるホルモンだ。
例えば鴨の副腎を除去すると、五時間程で死んでしまう。このように副腎が生命の維持に重要な役割をはたしているとういうことは、かなり昔から知られていたが、一九二七年には副腎エキスが作られ、アジソン病という副腎の機能が低下する病気に効果のあることが認められた。

一九四一年頃、胆嚢から分泌される胆汁の中でコレステロールと構造が非常に似ている副腎皮質ホルモンという物質が発見された。この副腎皮質ホルモンはリウマチ、膠原病、関節炎、アレルギー、喘息、皮膚炎、心臓停止や呼吸停止を起こすようなショック症状にも効き目があり、医学的に治療上、これが特効薬という決め手がないようなときに使う切り札らしい。
現在でも治療法がない病気にはステロイド(副腎皮質ホルモン)を投与するという言葉が医者の間にあるくらい、未知の作用をもった魔法の薬と、医学界では呼ばれている。
突然聴力が低下する突発性難聴、次第に足の力が抜けて麻痺が進行するギランバレー症候群、最近ではアトピーなど、まだ原因がわからない雑多な病気に、副腎皮質ホルモンが特効薬として使用されている。
これらの多様性からも、この副腎皮質ホルモンが生体にとって実に多くの働きをしていることが分かる。

鬱病には内因性と外因性のニ種類がある。外因性というのは、何かショッキングなことや悲しいことが起き、それがきっかけで鬱病になる場合だ。内因性というのは、ホルモンが関連して起こる欝病。一九六〇年頃から、鬱病になると副腎皮質ホルモンが高くとの検査結果が注目されるようになった。内因性うつ病患者の血液中の副腎皮質ホルモンを、二十四時間測定したデータがあり、それを見ると、常に正常の人より多いと判明した。
睡眠中も同じように高いことから、こうした増加はとくに外界のストレスとは無関係な現象であると考えられる。
この精神の働きと副腎皮質ホルモンの関係を見ると、あるホルモンが分泌されるためには、それを分泌する臓器を刺激し、スイッチをONにする別なホルモンが必要になる。生体内では一つのホルモンが分泌されるまでいくつもの連鎖があり、これは人体のスイッチがさまざまな情報を、途中で取り入れながら、最も効率的に作動するようセットされているからだ。

単純にある物質を作り、それを分泌させるだけではなく、内因性鬱病になると、体の中ではマイナスの連鎖が起きる。
欝病になると脳の視床下部が刺激され、副腎皮質刺激ホルモン分泌促進ホルモンが分泌される。この促進ホルモンの働きにより、同じく脳の脳下垂体という場所へ命令が行き、ここから副腎を刺激するATCHというホルモンが分泌される。このACTHの作用で副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される、という負の連鎖だ。
ACTHはストレスがACTH、副腎皮質ホルモンと続く一連の連鎖の引き金となり、ストレスが強ければ強いほど、それに刺激されて分泌される副腎皮質ホルモンの量も多くなる。

しかし、過剰の副腎皮質ホルモンは、体にも負の連鎖を誘引する。

体に無理や疲労がたまると、副腎が刺激されて大きくなる。副腎が大きくなるということは、副腎を刺激するACTHも多く分泌されることとなる。少量の副腎皮質ホルモンは、免疫力を高めたり、治療に用いられたりするなど、身体にとってよい物質だが、ACTHに刺激されて多量の副腎皮質ホルモンが分泌されると、胃潰瘍の原因ともなる。
この胃潰瘍は治療のために副腎皮質ホルモンを服用していてできることもあり、ストレスが過剰になって、自分の身体から分泌される副腎皮質ホルモンで潰瘍を作るばあいも多いにある。

ストレスと副腎皮質ホルモンとには、密接な繋がりがあるようだ。
鬱病もある種の抑圧状態であり、強いプレシャー下に置かれている、つまり、恒常的なストレスに常にさらされていることと同じになる。ストレスと副腎皮質ホルモンとは深い関係で結ばれている。迷惑な話だ。
鬱病に効果があった結核の治療薬にイプロニアジドという薬があるが、これを服用した患者が意欲的になり、食欲も増進することが認められた。これは結核が改善されたという理由だけででは説明し難い。

ナタン・クライン博士はこの謎を解明しようとしたが、イプロニアジトに黄疸の副作用のあることがわかり、メーカーがこれを市場から回収してしまった。
一九六〇年になり、ようやくイプロニアジドがノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミンなどの、カテコラミン系物質やセロトニンなどの分解を阻害する作用のあることがわかってきた。
つまり、イプロニアジドを飲んで元気になった患者の体内では、これらの物質が過剰に分泌されていたわけで、逆に考えれば、体内のセロトニンなどの量を上手くコントロールすれば、鬱病を治療できる可能性がある。

現在アメリカではこのセロトニンが欝病の治療薬として、実際に臨床現場で使われている。
これらの研究の重要な意味は、人間の気分が脳の中の物質の量で決まってくるという点にある、と書いてある。
つまり、心は漠然としたものではなく、物質の量と種類によって決まってくる可能性が大きい。

そんな薬漬け治療に対する警告とも取れる実験結果があった。

一九九七年当初、セロトニンは研究段階にあり、猿による臨床報告では、セロトニンを投与された猿は群の中から完全に孤立した。自分の子供にもエサを与えない、自己中心的に、意識レベルが退化した事がわかった。
猿の脳内のセロトニン濃度が150pm.pmlと、異常に低くなると、子供を抱き上げることもなく、追い縋る子供にまったく関心を払わず、行動が気ままで非社会的になってしまった。
セロトニン濃度が225pm.pmlと正常値を示している猿は、何ら問題がなかった。

ヒトによる臨床報告おいて、一般に5HTの静注ににより、呼吸器系に対する作用では呼吸量が増大する。これは頚動脈、大動脈の化学受容体の刺激によるものと考えられている。
5-HTはblood-brain barrierを通過し難いため、中枢神経に対しては殆ど作用しないと考えられていた。しかし最近では、特に除波睡眠の誘発、動物の闘争的行動の惹起、性行動の抑制などの報告がなされている。

サイコセラピー的カテゴリーにおいては、5-HTの異常分泌による幻覚の誘発が認められているし、松果体から分泌されるメラトニンは、精神体を通してデバチャンの
下位メンタル界層に繋がっているとも言われる。
また愛のあるテレパシーが起こっているときは、プロラクチン分泌濃度が高くなっているという報告もされている。

人、魂、ということことになると、化学的といわれるものも必ずしも真実ではなくなる。
人間の心が単なる生化学反応で、薬によって整えるということができるというのは、余りに単純な物質主義だろう。人間は遥かにそれ以上の存在、であって欲しい。人間は、意思があり自ら選択する能力を持っている。
さらに脳は余りに複雑過ぎ、脳内薬品は脳の助けになるより、むしろ脳を傷つけているともいわれる。
人間の心の問題を薬で解決しようとすることに、強い警告を発する科学者が増えている。

魂、とかになるともうお手上げだが、確かに心を落ち着かせる薬、があるなら、人に自分を愛させる媚薬や、郷土の恐怖を与えショックによる自然死を招く間接的殺人も可能になる。

小難しくなってしまった。大学にいるとどんどん小難しい言葉を使いたがるようだ。教授が悪い。法律が悪い。分かりやすく書けっての。



大人になりたくないの?
其ればっか言われる。
あのなあ、わたしが何歳だと思ってンだ?
大人通り越して婆ァだよ?
この年で子供で痛いなら、マイケル・ジャクソンみたく整形して美貌を保つしかないだろ!
同じ事ばっか訊くな! 言うな! 聞き飽きたし答え飽きた。
其れを又丁寧にカルテに書く。
ドイツ語使って。カッコつけンなっての!

医者は結局勝ち組みだ。医学部に入るのにどんな苦労したって、インターン中貧乏だって、今現在先生と呼ばせて良い椅子にふんぞり返ってンのはお前だ!!!

カウンセラーの方からメールが届いた。
わたしがここで書く内容が、間違っている、危険すぎる、過激すぎる、らしい。
何処が間違ってる?
本当だから困ってンだろ?
嘘っぱちなら一笑に伏し、自分の言葉で患者の心動かしてみろよ!!!

弁護士と同じ、あんた等言葉のプロだろ? ならテメエで患者を動かせ!!!
わたしがここでわたしなりの真実書いたって、どうせ大して誰も読んでくれない。影響力は微々たるものだ。
なのにそんな虫ケラに、仕事邪魔されて、ンで金取るの???
甘えンなよ、テメエ等こそ、大人になりたくない駄だっこじゃねえかよ!?

大学で学ぶ心理学、あんなもの屁の役にもたちゃしない。
わたしも学んだらいえる。
わたしにはいう権利がある。イチャモンつける前に、憲法短いンだから読んでみろ! ちゃんと人権として欠かれている。わたしは特定人を攻撃していない。
営業妨害していない。もしわたし程度に妨害される営業力なら、潰れろ!

確かに膨らみ始めた胸が嫌だった。丸味を帯びるケツも嫌だった。
でもそれが審査の対象だから、だけど決して肥っちゃいけなくて、でも成長期には食べたくて、でも大会で優勝したくて、だから食べては吐く生活が始まった。

父の目つきがいやらしかった。服をぬがされて、乳首をいじられて、「まだピンクだな」といわれて、もうホントにいやらしかった。

母もだ。初潮を、わたしは旅行先で迎えた。大変だった。父にも兄にも丸分かりで、汚ねえ、といわれた。
母はパンツを脱がせ、タンポンの入れ方を指南した。
見ている前で入れさせるのだ。
「感じるでしょ、血が出てくるの、そう、真ん中に女だけの穴があるの、息を吐きながらスーッと入れなさい、駄目世乱暴にしチャ、破れると男から愛してもらえないの、女なんだからソコは大切にしなさい」

あ~~~~も~~~~思い出しても嫌だ!!!!

男になりたい。でも男も夢精とかで大変らしい。と、旦那が言う。

旦那も旦那でいやらしい。会うたび迫ってくる。無理矢理入れてくる。
正常位ではとてもやれない。普段なの顔が見えちゃうから。
あの呆けた恍惚とした表情、夢に出るくらい嫌いだ!
そしてしゃぶれという。
最初なの事か全くわからなかった。
そしたら「俺のをお前の口に入れるんだよ!」と、無理矢理突っ込まれた。
勝手にピストン運動をはじめ、わたしの口中に射精した。
余りの不味さに吐き出そうと顔を放しかけたら、「のめ」といった。

吃驚した。排泄物を飲み下せというのだ。でも女は皆そうしてると言い張る。
私は一旦無理矢理鼻と口とを抑えられて飲まされた。
その後、すぐさま吐いた。
嘔吐は激しかった。未消化の細くなったパスタがまんま出てきて、まるで寄生虫に見えた。動いている気がした。実際動いていた。ビールやスープの液体に絡まったパスタは、粘液の中を泳ぎ、胃液に打たれビシャビシャ撥ねた。

もう恐ろしくて、キモくて、此れが男女の関係なのかとぞっとした。
嫌悪と嘔吐が交互に現れ、血が出るまで吐いた。
そんなわたしの背中を蹴り、レストランの駐車場に置き去りにしたのが、今現在別居中の旦那だ。

皆が言う、何故結婚したのかと。
わたしは身体をはじめて汚され、其れが結婚の義務なのだと思っていた。其れくらい、母に感化されていた。
母は何度も何度も処女の大切を説いた。
初めての男に身も心も捧げろと言った。
だからわたしは強姦した相手に身を捧げたのだ。

今考えると馬鹿みたいだ。皆早くからやってるんだ。わたしだけ話では大人ぶってたけど、まったくのド素人だった。

今激しい後悔をしている。
夕食や弁当を作った本人の目の前で捨てる、拒めば殴り蹴り無理矢理突っ込む、しゃぶらせる、腹の出た冴えないおじさん顔の、アトピーの男。
其れがわたしの夫???

死にたい。病気したら離婚できると思ったが甘かった。夫はがらりと人格が変わり、良い人になってしまった。憎もうにも憎めない。
傍からは良い旦那さんとほめられる。
アイツが夜毎強要する猥褻行為を皆知らない。
医者には打ち明けた。
だから強制別居させてもらえた。
わたしは大人になりたく無いんじゃない。
夫が嫌なのだ。
だから、治りたくない。
誰にもいえない、本音。


秋は欝日和。
この秋で、丁度欝と診断されて十三年になってしまう。
干支一回りだ。
最初センセイ様は「鬱は心の風邪、三ヶ月で治ります!」と、頼もしく言ってくれた。
其れがこの現実……なんで???
何でわたしこんなになっちゃったの?

原形を留めない指先、ネイルアートを先走りしてたわたしはもういない、死んでしまった。
綺麗だった指先、自慢だった爪、が、今はもうこんなの。
爪
切りつけた傷痕、腐って落ちた指先、剥がれた爪、全部わたしが悪いのか?

何が心の風邪だ!
簡単に勝ち組みが言うな!
わたしは負けている、けれどあんた等の思いとおりに簡単に治ってやるか!!!

此れがわたしの心の内側、認めたくない甘ったれ、夫と一緒が嫌で、一人でいたくて、仕事の邪魔されたくなくて、SEX避けたくて、全てすべて現実から逃げているわたしの本性だ。

だけど、指が腐ったときは吃驚したな。
七年前の夏だ。
蛆が湧いた。病院にいかなかったから。このまま全身腐ればいいと思った。
そのほうが、心が腐ったわたしに似合う。
真で焼かれて骨になったら、わたしやっと綺麗、やっと清潔、やっと貞淑。
願いは叶わない。


ブリミアの始まり。
わたしが十五歳のときだ。初めてはいたのは。
あの時は皆が心配してくれて、いつも突っ張って着わたしには初体験の心地良さで、以来、時折ふとその心地良さを思い出すようになった。

わたしは子供のときから突っ張ってきた。良い子だった。他人が言うのでも、成績優秀スポーツ万能容姿端麗指導力有り、だったようだ。
無論、自分にそんな自惚れは今でもない。
それどころか、わたしは絶えず怯えていた。

成績が落ちたら、五十メートル走のタイムが落ちたら、マラソンで負けたら、学級委員になれなかったら、部活で部長になれなかったら、絵が入賞しなかったら……物凄く疲れた。

分かる人にはわかると思う、この自分で自分を追い詰めてばかりでない、周囲からの期待と言う名のノルマ、圧力、押し付け。

苛められる前に苛めたし、クラス替えのたび女子も男子も仕切ってきた。皆がわたしをリーダーにした。卑怯なことに立候補はしない。他薦させ、さも鬱陶しそうに引き受ける。

いつからか、その圧力が物質的に感じられるようになった。
頭に覆いがされているような、急に脱力感に襲われたり、無気力に支配されたり。
でも周りが許してくれなかった。
あの子が八十点取れば褒められ、わたしが八十点取ると叱られる、そんな生活が大学入学まで続いた。

十五歳中学三年生の正月だ、御屠蘇を飲みすぎ(父は鮭は親が教えておくもの、失敗しないように、という教育方針だった)、吐いた。
吐いて吃驚した。
こんなに沢山の物が胃に入っていたのか?
全部肥る材料じゃないか。
肥ったら、体型が崩れたら、大会に出られない。
皆から見捨てられる。
そうなったらどう生きていいか分からない。
だってわたしは何時も上から人を見下して生きてきた。
今更見下されるなんて絶対嫌だ! 耐えられない!
見下す気持ち、優越感で優しくするあの快感を知っているからこそ、怖い。
そうだ、病気になれ。
どうやってなろう。

ああ、食べたもの吐けば、好きなもの食べても肥らないし、痩せれば心配してくれる、一石二鳥だ、そうだ、今から田畑物全部吐くことにしよう。

そうして地獄が始まった。
全然危機感なんてなかった。あの頃は過食嘔吐なる言葉も存在せず、ただカーペンターズの片割れが拒食症で死んだという、拒食という言葉だけしなかった。

わたしはちゃんと食べて、それから吐くだけ、拒食症じゃない、そう思っていた。
甘かった。
弁当以外、全て吐いた。過食嘔吐しながら高校も入学した。勉強はできた。なったって全てのストレスを食べる事で発散でき、加えてやせていくわたしを勉強のしすぎだと気遣ってくれる。
あの頃は、ほんの三ヶ月だが、狂った極楽だった。

高校にはいり、彼氏ができた途端、もっと心配して欲しくて、狂いは始まった。


狂っていく。
高校に入学して直ぐ年上の彼氏ができ、堂々と付き合った。
早くGWの頃にはクラスを掌握し、支配していたわたしは、室長になり、クラブでも一目置かれていた。
何もかも、傍目からは上手くいっていた。
よく食べるのにスリムだね、スタイルいいね、男子が騒いでたよ、あんたが水着になると観客できるよ……。

夢心地だった。

成績も、ワンランク落とした高校(それでも灯台入学率は県内では高かった)に入ったので、楽勝で上位をキープできた。
友人も大勢いた。ふぁんです、って手紙まで貰った。
嘘ではない。だからこそ、此処迄ボロボロに落ちたのだ。

どんなものでも順位がつく。日本では順位差別が多い。一度上位を占めたら落とせない。番付に常時載っていなくてはならない。

体操部でも上手くいった。先輩もわたしの芸には身をひいて、インターハイに出してもらえた。
ただ、彼氏だけが困った。
SEXを求めてきて。
わたしは、膣に勃起したものを突っ込むということも知らなかったのだ。
此れも本当。母が異常に潔癖だったので、性に関する知識が幼児波に欠如していた。
KISSも嫌いだった。フレンチならいいが、下を突っ込まれたり突っ込まされたりは嫌だった。汚いと思った。
「愛してないのか?」
拒むたび、何度も訊かれた。
嫌われてもよかった。だってわたしは男友達には不自由していないから。だからさっさとフリーになった。
自分を汚してまで男を好きになれなかった。

父を見たからだろう。わたしのアソコを敗れてないかチェックする父母、腋毛をそれと面白がる兄、ぜんぶ、大人や性を感じさせるものが嫌だった。

表面上なのも蚊も手に入れて優雅に見える毎日、本とに毎日、朝学校へ行く直前にも、吐いていた。
ゲロのにおいがつくと嫌で、朝晩シャワーを浴びた。
長い髪が便器に触れて、たまった水やゲロが顔に飛び散って、跳ね返って、おぞましかった。
でも止まらない。
偶にやめると物凄いイラついた。
母や父に対し、殺意さえ憶えた。
しかし自分への殺意は無かった。
だんだんゆっくり狂っていった。

気が付いたら、体重が三六キロに減っていた。レオタードを着るには丁度よかった。先生もよく食べよく運動し、一寸痩せてるけど演技はパワフル、と褒めてくれた。わたしの嘔吐を止める人はいなかった。

でも家族は気付いていた。
そりゃそうだ、食パンなら三斤、加えて牛乳、お菓子、カップめん、一日一万キロカロリーを食べていて、三十六キロの筈が無い。
でも気づかれてないと思っていた。
大量に食べて父母を驚かせ、其の後三十分以上のトイレに閉じこもっていれば、そして後ではいると必ずゲロに匂いが立ち込め、壁他便器に嘔吐物がこびり付き、夏には黴が生えてくる。

親は信じたくなかったろうが気付いていた。自分の子供が拒食症、ソコ頃はまだ過食嘔吐とはいわず、何でもかんでも拒食症といわれていた、その話題の病気になるなんて、ショックだったろう。

わたしは吐きだこに悩んでいた。何度もイボコロリを使って無理矢理取っていた。
痛かった。腐らせて強引にはがし取るのだから。
わたしの手は、過食嘔吐者が見れば一目でそうとわかる。

高校一年春休み、親と喧嘩して出て行けといわれ、本当に出て行って、とても貧しくなっても、わたしは自立どころか、益々過食嘔吐にはまっていった。

バイト先で食えるのだ。クラブだから酔ってゲロる客も多い。わたしも勤務中こっそり吐いていた。だがバレていた。
マスターから厳しく叱られた。素直になれた。でも止まらなかった。

アパートといえないくらい侘しい、風呂なし、洗面トイレ共同の雑居建物の中で、わたしは、バイト先で猛烈に食べ、急いで帰り、真夜中に吐いた。
生きる玉に食べていなかった。痩せるために吐くために食べていた。

もう狂った連鎖は止まらない。
まさに一度何かでかっとなってスイッチがONになると、もう食べずにいられない。
でも胃に物を留めておけない。
ゲロ塗れのヒロインだ。
学校では気付かれていなった。学校でだけははかなかった。その代わり昼を抜いた。何も食べ無ければ吐かずにすんだ。
くたくたで部活してせいと解してバイトして、もう後一時間でバイト終わりって時に、客の残り物貪った。そして大急ぎで帰り、消化吸収される前に吐いた。
地獄の釜が開いたときだった。


自律神経と理性の失踪。
発熱がもう一ヶ月間続いている。其れも生易しいものでなく、39.8~41.8度を彷徨っている。
医者には精神科医が以外行く気が無いので、誰にも言ってない。

脳味噌が生煮え状態だ。物質として感じる。多分脳炎だろう。夏場はいつもこうだ。

自律神経失調症は、多少誰でも持っている疾患だ。
程度が酷いと病名をつけられ、病人扱いされる。それだけだ。

わたしは鬱病と併発しているので、鬱特有の突発熱かな。鬱病患者はよく熱を出す。大帝が39度以上の高熱で、前触れ無く突発的に出る。

が本人はそんなに苦痛は無い。少少頭の働きが鈍くなるが、通常でも欝のときは何も考えられないので、普段と変わりは無い。
唯周りが騒ぐ。
確かに、大人になって39度の発熱は、健常者なら肺炎かウィルスかを疑う。
が、鬱患者はよく出るので、熱慣れしている。

だから誰にも言ってない。
わたしの奇行は珍しくないから、真水でシャワー浴びたり、凄く熱いのに鳥肌だったりしても、誰ももう余り気にしない。
だが本当の体温を告げたら騒ぐだろう。
以前騒がれ、時間外に病院に搬送され、だが何も処置されず、時間外の莫大な請求を受け、恥を掻いただけだった。

だから誰にも言わない。といってもしんどいので、此処で書いて発散している。

WEBはいい。無責任に書く殴り、他人のサイトを荒らし、うけをねらって死にますなんて書けば同情アクセス数が集まる、というのがかいしゃのブログオタク。
奴はホントにそういうことをしているらしい。現にわたしにサイトにもわたしと知らず、猥褻な文章を送りつけてきた。

わたしはやらない。
理由? いたって簡単、わたしはPCばかりが大型汎用機も扱う、プログラムも作ればシステムも構築する、ソフト&ハードのプロ(金を貰うのがプロという)だが、自宅のPCはISDNのままだ。だからオフラインで記事を書きまとめてバッチで送る。出ないと一分刻みで料金がかかる。

何でいまどき、と仰せの方多いかな。
重大な訳がある。
ウィルスとハッキング予防のためだ。
時代遅れになるほど、走した被害は減る。勿論、勝ったままのPCでは駄目。PC関係の仕事して二十年になるわたし程度の知識は必要。

光ファイバーも危険はある。現にわたしはハッキングで稼いでいる。裏稼業だ。
何だってする。
ATMたクレジットカードも盗む。現物じゃなく内部情報を。
又この稼業の需要は多く、わたしは徹夜を三晩程度すれば、軽く五十万は稼ぐ。

ァ~~こういうこと書けるのも、人気の無いブロガ―の特権だ。
人気は殆ど気にして無い。
読んでは欲しいが、ランキングに興味は無い。
ただ、勧誘メールがくれば、そのノサイトが本社で利用しうるものなら登録する。
要するに、登録情報を欲しがる本社では、ランキングサイトの解析によって自分の処に登録させられるから。
デカい会社の割りにセコい。
此れがIT業界の真の姿。
登録者数を増やしたくて、不法行為を堂々と行う。

わたしは其れで稼いでいるので文句は無い。むしろ喜ばしい。

此れ読んだあなた、わたしにハックされてかも???
ごめんなさいね、息す術なのよ。会社の命令だし。でもわが社のやり方は合法だ。
だってWINDOWS使ってたらウチのユーザー様だから。
殆ど、全世界の八割に当たるPCが当社ソフトを利用している。
だから、登録者の情報を車内でどう使おうが、カスタマーサービスの一環でしかない。

すまなへんなあ。今日は明日を考えてブルーなので、憂さ晴らしにディスクローズだ。
楽天さんも、独自のOSを開発して使わせない限り、常にハックは起こると、肝に銘じて、ユーザー管理をしっかりして欲しい。
ぽろぽろの丸出しなのだよ、此処は。
ライブドアはもっと酷い。登録者数が少ないので表立たないだけ。
YAHOOさんは少少手堅い。が、バレバレ。

皆、Webを使いこなした積りで満足してると、あなたの電話番号、口座番号、暗証番号、家族構成、子供の名前まで、売られていますから、自己防衛してくださいね。

ブリミアン・シリーズ。
飲み会だった。
しかも串揚げ屋だった。
氷酒と一緒に、わたしは高カロリーの串揚げ、それも肉類ばっかり食べていた。
二次会はカラオケだった。ソコでも二次会セットでなく、メインになるくらいの揚げ盛りをオーダーした。
フレンチポテトにケチャップたんまりつけて、唐揚げにもマスタードつけて、食った。
食った。
食ってしまった。
完璧過食だ!

吐かなくちゃ……其ればかり思いながら、歌い笑い食った。

止まらない。五年間食べなかった脂っこい肉が、蕩けるように美味い。
でも内心はどうしよう、だ。
肥ってしまう。痩せてると若く見えるね、といわれたばかりなのに。
肥ったらわたしいいトコ無しだ。
吐かなくちゃ、吐かないと肥る、肥ったら馬鹿にされる、相手にされない、自分自身が馬鹿にして相手にしなかったように!!!

ふしぎとカラオケ屋にトイレが無い。
店員に聞いた。地下にあるという。欧州みたいだ。
わたしは地下へいった。
そしたら……
皆が吐いていた。

いっしょに歌ってたあいつもこいつも、皆が堂々とゲロっていた。
営業の連中だから、吐くのが上手だ。実にスマートに吐く。皆で歓談しながら、話に切れ間に吐いている。
吐かないと駄目になるよ、体のラインが崩れるよ、それではもう生きてる価値無いよ、さあ、一緒にゲロしよう、将来のため自分のため、過食嘔吐は時代が生んだ社会的病気なんだ恥かしがらなくていい皆社会が悪いんだお前は悪くない!!!

で、目が覚めた。
目が覚めても暫く猛烈な恐怖感にとらわれていた。
吐かなくてはいけない、肥る、無価値になる、わたしはスリムだけがとりえの女だ、もうぜんぶなくしてしまう!!!

腹がグルグルなった。空腹なのだ。やっと安心した。夢だと分かった。現実は洞こんなに痩せている!

馬鹿にしてやれデブなんか、時事管理能力が無いんだ、欠格者だ、不具者だ!

久々、三月以来見た夢、過食嘔吐は現実世界では治まっている。
この五年間、車酔い以外ではいたことは無い。
あ、放射線治療のときはゲロゲロだったけど。
今もまだ、やせ願望は残っているし、一寸でも過食すれば、すぐさま過食嘔吐が再開するだろう。

此れが本当のわたしだ。

偉そうにわたしは克服したなんてほざいても、結局全然治っていない。
表面化しないだけで、潜在的に過食嘔吐願望は潜んでいる。
もう少し肥ると健康的だね、といいながら、必ず外食は残す。ケーキなんてこの五年間食べたことない。
怖いのだ、食べてしまったら又再発しそうで。
多分再発するだろう。この年で? もう人生のUターン超えたのに?
まあ其処まではいってないが、この年で過食嘔吐はもう厭だ。
でも恐らく何か一つ、自分で決めた以外の高カロリーのものを食べたら、再開する。確信ができた。

何度も夢に見る。
五年経っても夢に出る。
今だって自分でカロリー計算して決めた安心して食べられる以上のものは絶対食べない。でもなんとか旅行や外食はできる。残すけど、初めからサラダしか頼まないからいい。
海の幸は嫌いだけど、肉は大好き。脂質大好き。糖質に執着が無いのが救いだ。

わたしの過食嘔吐はまだ直っていない。
今朝、今、思い知った。


摂食障害は止まらない。
今のところ、過食嘔吐は収まっている。
内在しているが、表面化しない。普通の人の振りはできるようになった。
誰もわたしを病人と言わないし、でも思ってるかななんて疑うけど、何とか普通の振りはできる。

だけど、この夏休み、わたしの食事は、異常かも知れない。

精神科医にも言ってない。一人だから誰も知らない。
わたしが食べるのは、去年の今頃はパスコのミルクロール一個、を毎日三食其れだけをお茶で食べていた。
それがないと、車で何処まででも探しに行った。夫から見れば異様だったろう。
其れしか食べない、此れは拒食症かも知れない。

絶対肥らないと保証されたものしか食べない、もう充分痩せていても、肥るのが嫌だ。やせ願望は膨らみ続ける。この夏休みでよく分かった。

八枚切り食パンを一枚、全く甘くないシリアルを二十グラム(バナナは皮まで食う、ゴミが出るのが嫌で、フィリピンで貧しい子供達と仕事でであったとき、彼等が食べていたから、以来癖になった)、ヨーグルト百グラム、コーヒー、が、朝のメニュー。

昼夜は全く同じ。八枚切り食パン一枚、勿論バターもジャムも無し、ジャガイモ一個、人参少し(これらはレンジで加熱する)、そしてもやしを生で袋ごと洗いもせずにバリバリ食う。偶に豆腐。それだけ。
どんなに家事やら仕事やらやっても、家にいればそれだけ。それ以外は何を中元に貰っても他人にやってしまう。

肉が食いたい、と、思っていてももう食べられない。物凄い吐き気に襲われるのだ。入院中の思い出でがPTSDになっていると、精神科医から言われた。

ポータブルトイレに大小便して、その上に吐いたゲロを素手で掬って食う少女、洗面所の三角コーナーに残る毛の絡むから揚げを食うおばさん、他人の食べ残しを求めて早めに夕食後病棟を徘徊する娘……凄まじかった。

わたしは過食嘔吐を何とか抑えている拒食状態、だ。
何か一口のきっかけで元に戻るだろう。
でももうやり直せる年齢ではない。
今度なったら、もう死ぬより無い。
其処まで追い詰められている。

何時までこの日記続くだろう?
途絶えたときが、、か、入院、か、何も目に入らず耳を貸さず過食嘔吐している最中、だ。
もしかしたら、もっと楽しいことが見付かって、かも知れないが、その確率は極々低い。


もろもろハイだわ。
吐き気が止まらない。
といっても過食嘔吐ではない。
自律神経失調症から来る、異常な高熱の所為。
と、此処では正直に言おう、ODの所為。

皆ODって、どうやってますか?
オーヴァードラッグ、わたしの場合、あちこち他府県の病院廻って、抗欝剤、パキシル、ベゲA、コントミン、ヒルナミンなど比較的強いものをストックしています。
そしてOD使用と決めた日から丸五日間、一切の薬を服用しません。
ウォッカのストレートを冷凍庫でギンギンにとろみがつくまで半凍らせ、そのまま、そうだな、一日一部便を目安にのみ、後はパン一枚ずつとお茶だけで済ませ、ビタミン、ミネラルも取りません。

こうすると体が震えてきます。低体温の後、四十一度の発熱が三日目くらいから来ます。身体は欠乏してやっと飢えを感じます。

其れをまだまだぐっと堪え、五日目が終わる丁度午前零時、五日分の薬とストック分一回極量の十倍程度を服用します。
勿論アルコールで。このときは常温のをストレートで。偶にストレートをレンジで十秒チンして、酔いが早くなるようすることもあります。
すると、来ます。
できれば、つまり金銭的余裕があれば、またはつてがあって安く入手できれば、クラウド9、ナバーナプラス、エクスブロアーなど、一寸流行おくれのを使います。

物凄い効きます。
死ぬかと思います。
でも死にません。てか死ねません。

逆に自殺予防になります。
わたしは過食嘔吐を何とか抑えているけど、何時再発するか分かりません。正直自身がなくなって来ました。
でも、一度箇所悔やめたおかげで手に入れたもの、欲しかったけど金欠で変えなかったもの、禁止されていたバイク、憧れのほう学院入学など、そちらの誘惑のほうが強いため、多分過食嘔吐はしないと思います。
しかし今、まともな食生活してません。貧弱に徹しています。

やせ願望は治らず、今三十八キロ、まだ不満です。
四月には42キロまで増えて、若く見られて、嬉しかったのに。
夏休み、皆忙しく、引篭もり状態のわたしを誰も相手にしてくれず、そんな寂しさから、何度も流血沙汰。

構って欲しかった、心配掛けたかった、労わって欲しかった、其れが本音。醜い甘ったれた腐った根性。
夢には出ます、過食も嘔吐も。
強迫観念も抜けず、揚げ物を食べた夢ではトイレを探し回る自分がいます。
そしてゲロ。髪が、顔が便器に触れます。
誰のものとも分からない小便の黄ばみが顔に触れ、臭いがし、それで吐き気を催させ、吐きます。

そういう夢が続くときは大抵ストレスがたまっているので、悪いやり方だけど、頼れない医者を騙してODします。
もしくは切腹します。
殆ど無い脂肪が白い半透明に見えて、其れを掻き出し、紫や緑や赤い腸を引っ張り出します。
夢ではこの後、字便の糞の詰まった内臓を自分の口に押し込みます。糞の臭気や苦味やどろどろの下触りまでリアルです。
真実です。
お金がかかって困ります。まあ、過食人は皆金欠ですが。
真面目に論文書く人がいますから。「過食嘔吐による経済的不安」なんていって。
わたしの場合、全て精神疾患から来る奨励のひとつとして、保険が適用されちゃうので、三割負担ですみます。

で、いまハイから急落中。多分切るでしょう、夕方辺り。
もう誰もわたしを止められません。
わたしを止めようとすると応酬が激しいので。

「皆心配してる」
振りだけでしょ?血が壁紙を汚すのが困るのでしょ? 風呂でやるとあと気持ち悪くては入れないからでしょ?
「そんなことじゃない、君に生きて欲しいんだ!」
じゃあ面倒見てよ。養ってよ。代わりに会社行って働いて、学校行って勉強して、家事全部してよ、そして寂しいときず~~~ッとそばにいてよ。
「してやりたいけど、できるわけない」
なら放っておいて。無責任に頑張れとか生きろとか言わないで。何もしてくれないなら言う資格ない。出て行って、目障り。

とまあこんな調子で、わたしの弁論には精神科医もお手上げ状態。
だって、医者なんて、患者よりいい椅子に座って、わざとらしいドイツ語かいて、こっちの住所年齢経歴全部聞き出しといて、自分のは学歴以外何も言わない。

もし、本気信頼したい医者がいたら、聞いて御覧、住所。
教えないから。
つまり、こっちが自宅で死んだって、あっちは「嗚呼来なくなったな」で終わっちゃう程度の関係なの!!!

医者やカウンセラーの甘言に乗るな、此れが何より言いたかったこと。
まだハイだな。

Sunday, March 19, 2006

Mozilla FireFox導入!

突然ですが、IE止めました。
余りに遅いし重いし、ウィルスうようよだし、で。
んで、Mozilla FireFoxに移転しました。
早いです。
ペイド・オートサーフなさる方なら、絶対FireFoxがいいです。
今まで、マルチセッションしていて、15秒タイマーが三十秒かかっていたのが、リアルに十五秒で回転してくれます。
ま、ポップアップは一寸あるけど。加えて、接続がタイムアウトしました~のメッセージが続発するけど。
其れでも、IEよか余程早く終わります。それに何より便利なのは、カーソルを英単語に合わせると単語翻訳してくれること。
米国の大学出たわたしでも、時折忘れる単語なんかあって、かなり役にに立ちます。

因みに、FireFox日本語版は此処からダウンロードできます。
ロイヤルプルームとかからも入手できますが、ま、本家から手に入れましょう。

よく失敗なさる方がいます。
インストールしたのにエラーが出て画面が開かない、などなど。
わたしは一度も失敗していないので、再現できず、因って現象が把握できませんが、兎に角素直に指示に従えばOKです。
後、お使いのファイアウォールを確認してください。FireFoxからのアクセスを拒否しているかもしれません。

インストールは、できればほかのブラウザを全て閉じて、薄緑色の「無料ダウンロード」をクリックし、開いて実行するだけです。

インストールが終わって、初めてモジラを開くと、IEなどからのインポートをするか否か聞かれます。
勿論YESですが、お気に入りはブックマークの中に入って、順番が崩れます。
ついでに、オートコンプリートもおかしくなります。
オートコンプリート、つまりパスワードやフォーム、Cookie、履歴などはゼロから始めた方が早いです。

インポートするのはお気に入りやコンテンツの設定、程度でしょうか。

説明を読むと、途方も無く素晴らしく読み取れるThunderbird 1.5(メーラー)も、実際使うと大したことありません。
Outlookでヤフーや他のフリーメールが読めなかった方は、Thunderbird 1.5でも矢張り失敗します。
HD空き容量の無駄な消費でしかありません。
Outlookがあるなら、そっちを使っても支障は全然ありません。

次にツールバーですが、特段のサイトからわざわざGoogleツールバー搭載FireFoxをインストールしなくても、モジラのホームページをYahooやGoogleに後から変更し、んでもって必要ならツールバーを導入すればよいです。

わたしはツールバーが嫌いなので、前は使っていませんでしたが、あればあった出便利は便利でした。
マウスがもっと嫌いなわたしは、Ctrlとアルファベットの組み合わせ機能が好きで、よく誤作動しますが、できたら慣れてください。

だって、モバイルノートにマウスぶら下がってたら不便ですよ。NXパッドもなれてしまえばマウスより使いやすいものです。

IEのインターネットオプションと同じ機能がモジラにもあります。
ツール→オプション、其れだけ。
詳細設定はIEのほうがきめ細かくできます。
が、よく分からない方が(お客様に多いです)何でもかんでもチェック入れたり外したりしてどうしようもなくなってしまう自体は免れます。
親切、といえば親切かも。

さまざまなプラグインを導入することで多機能Webブラウザーへとカスタマイズできる、オープンソースのタブ切り替え型Webブラウザー。スキンやプラグインをダウンロードすることで、ソフト外観を変更したり機能を拡張できるようになっている。各種設定項目をインポートする機能があり、「Internet Explorer」「Netscape」「Opera」からスムーズに乗り換えることができる。そのほかWeb描画エンジンに“Gecko”を使用しており、IEのセキュリティホールの影響を受けにくいのも特長。

なんて謳い文句が書かれていますが、使ってみれば単なるオープンソースのWebブラウザ、ってだけです。よくタイムアウトします。だけど立ち直りも早いです。ただ、サイトによってはIEでしか見られない頁もあります。オートサーフもFireFoxだと動かないもの(召集令状赤紙様、わたしだけ?)もあります。

得て不得手があるのでしょうね。

特徴を引用すると。

Mozillaを開発する際に作られたレンダリングエンジンGeckoを使用することで、HTML、XML、CSS、canvas、SVGなどの多くのウェブ標準に対応している。基本的にはウェブ標準技術のみを採用しているが、過去に書かれたページとの互換性から非標準のタグなどもサポートしている。

同一ブラウザウィンドウ上に、タブと呼ばれる表示ウィンドウ切り替え機能を搭載することで、複数ページの閲覧や操作性を向上している。また一つのウインドウだけでブラウジングができる「シングルウィンドウモード」も搭載されている。ポップアップウィンドウの制御も行いタブが無駄に増えないようにしている。

XUL(ずーる、XML User Interface Language、ユーザーインターフェースマークアップ言語で、JAVAやってた方には習得しやすい)によって記述される Extension(拡張機能)をインストールすることが可能である。これによりブラウザのコアは最低限の機能のみ搭載し、ユーザーが自由に拡張機能をインストールし機能を向上させることが出来る。インターネットで公開されている拡張機能は、タブブラウズ機能拡張やマウスジェスチャー機能やRSSリーダー機能に関するものなど、多種多様に存在する。XULの機能を利用することでマルチプラットフォームに展開できるという利点もある。

自分好みの Theme(テーマ)をインストールすることにより、ブラウザの外観を変更できる。

ロケーションバーから直接 Webサイトを検索できる機能。Yahoo や Google 、Wikipedia などの検索窓を登録しておけば、それらで瞬時に検索することが可能である。また、この機能については簡単な記述で設定の変更が可能であり内部Webサーバーに検索エンジンを使っている場合なら簡単にその検索エンジン向けに対応することが可能。

Flashや、Adobe Acrobatなどのプラグインをサポートしており、これにより、マルチメディアを利用したウェブページの閲覧が可能。

っつーても、はっきりいって使いこなせている方はかなり少ないのが実情です。

FireFoxとは???を御覧頂ければ分かります。
専門用語がぎっしりです。
タブだのテーマだの、エンドユーザー様が使いこなすのはきわめて困難です。

使う、より、使われる、といったほうが適切かもしれないくらい、熟知すれば快適、無知ならば単に早いだけの、ブラウザの一つです。

ただ、ペイド2オートサーフするなら、お勧めできます。
単なる検索だけなら、別段導入する必要はありません。

現場の声、でした。

Thursday, March 16, 2006

*くすんだ白い部屋と精神

自己形成についての論文。

今どきの若いものは、というのがいつの世でも大人達の嘆きの言葉だな。

社会の中に地歩を固め、生き方がかなり安定している大人達から見れば、変化を遂げつつある若者達の姿は、受け入れ難いものに映るのだろう。

何を物差しとするか、それはおそらく自らの青年期のあり方を基準にしているのだろう。人はそれぞれが固有の生活史を刻んで今に至り、其の刻み込まれた身体を通してもっぱら判断を下す

一人一人は個性的な身体を抱え持つことになり、其処で為される判断は、異なりつつ広がりをもったものとなる。

しかし、同時代を生き抜いてきた身体同士では、恐らく異なるものよりも共通のもののほうが多いのではないか。

時代精神という言葉があるが、いわば時代身体というものが形成されており、比較的似通った価値観を共にしているものと推測される
其のように考えると時代身体、もう少し細かく見て世代身体というものどうしの微妙な不協和音の響きの一つが、先の今どきの若いものは、という形で現れているのだろう
不協和音はそもそも響きやすいということになるが、現代青年の人格形成には、やはり独特な展開がありそうに思えるので、この点を身体性に絡めて考察してみよう。

まずは社会や世界というものと、各個人の人格形成がどのように関係をもっているのか、其処の辺りの確認から始める。
人格の出来上がり方について。

人間の人格とは、各個体(身体)の内部においてのみ成長するものではない。人格は個体(身体)の領域を越えた広がりをもち、また個体(身体)の内部にもいわば深さをもっている。此処で人格と表現しているものは、人格者という意味での人のあり方を指すものではなく、システムとしての人格、システムとしてのパーソナリティというものを表わす。

つまり、一人一人の人間がお互いに影響を及ぼし合いつつ共存し、他方、各個体其のものの、いわば内部に、何か独自の其の人らしさのようなものを築きあげているイメージとでも言うか。
あるいは堅苦しく言えば、人は共同存在(共存在)でもあり独自存在(私的存在)でもあるということにもなるか。

其の事態は各人に視点を置けば、外部世界と内的自己に分かれている。
自分等の周りには、自らを中心にして世界がまわりに広がっており、と同時に、自らのいわば身体の内側に、わたしというものがある。
この内的自己のみをわたしの人格と考えてもよいと思えるかもしれない。身体の其の皮膚の内側にのみ、其の人の人格が宿ると考えられないか。

確かに素朴な経験として捉えられるわたしの人格とは、そういうものだろう。ある人物を他ならぬ其の人、と認知し同定するのは、其の身体を生きている其の人を指し示すことに他ならない。

内的其の人=其の人、其の人格であり、其の人にとっての外部世界は一応考慮外のものとなっている。

けれどもこうは考えられないだろうか。何でもいいのだが、ある人が例えば怒りっぽいとする。怒りっぽいという特徴は、なるほど確かに其の人の人格の内的一部だ。とは言え、其の怒りっぽさはひたすら其の人の内部でのみ形成されてきたわけではないだろう。

其の人がこれまで生きてきた過程で、いろいろな他者との関わりやいろいろな体験を培地にして、其処にそういった性格特徴がいわば積み上がってきているのではないだろうか。

怒りっぽいという特徴は、まさに他者との関係の中で発現するわけであり、従って怒りっぽさとは、其の人と他者との間にあるものとすら言えるのではないだろうか。
人の性格特徴とは其の人独自のものでもあると同時に、其の人をとりまくまわりの世界との関係を表現するものなのだ。
また其処で言う世界とは、人類に普遍な世界などではなく、其の人にとっての外部世界であり、其の人にとっての生活世界だ。

こうして人の人格というものが、生を授けられてから以後、他者やまわりの環境との関係の中で築かれてきていると捉えるわけだ。
そうなら、人の人格とは、其の外部世界がかなり内側に折り込まれて内的自己を形成しているとも言える。
もちろん人間には想像力、思考力が備わっており、其の力によるセルフ・イメージの形成という側面があることも無視できない。
其の力は、生きつつある人格システムをメタ認知することを可能にする。わたしとか自分という概念を、当たり前のようにわたし達は用いるが、それはこの力をわたし達が持っているからだ。

生きて機能しつつある人格システムがあることに加えて、認知されたわたしシステムと言うものが並存する。
このわたしシステムは、セルフ・イメージだとかセルフ・ストーリーとして、通常は暗黙のままに働いている。

このように二つのシステムを抱えているところが、人間の人間たる所以かもなあ。
またこの二重システムを抱えて生きていく其のこと自体の中に、人間的な悩み(実存的な悩みとでも言うか)も生まれてくる。
人間集団と人格とて、其の人にとっての外部世界がある程度内側に折り込まれて内的自分を形成している。

が、外部世界は、全部其のままベッタリと内に折り込まれるわけではない。其処には濃淡のようなものがあるわけで、わたしらしさに近しいところにあるものから比較的遠いところにあるものにまで渡る。

例えば近しい人間関係、親子だとか兄弟姉妹関係などは、其の人の内的自己の、かなり中核に近いところに収まるものと思われる。

次いで身近な人間集団(もっともこれも幅が広いが)の世界が其の外側に広がり、さらに大きな単位かつ公的な単位である社会なり国なりの領分が広がる
外のほうでさらにさらに遠いところにあるのが世界なり宇宙なりということになる。

ちなみに文化というものは、内的自己の中核から辺縁に至るまで幅広く折り込まれている

ついでにもう少し言うなら、自然環境も含めた物的世界環境も、何がしかの折り込みが施されて、やはり内的自己の一部を担っている。
人間の人格システムは、こうして生物、無生物、組織やシステム、諸関係や諸制度などなどを其の組み立ての材料としている。
以上の如く、生理的なものを含めた身体を其の在り処とし、外部世界を内に折り込みつつ内的自己は成立している。

改めて其の内的自己についてだが、此処で話の焦点を青年の人格形成に絞るとすると、其処で一番重きをなす外部世界は、身近な人間集団ということになると思われる。
親との関係を初めとする近しい人間関係で培われるのは、人格の中核あるいは基盤となる部分だが、青年期は其の人格形成の段階は一応通過していると見なす。
もちろん人は誰でもが、乳児期から幼小児期にかけて、自らにとっての大切な人との関係によって、何らかの傷を負っている。
つまり人格の基底部に其の傷を抱えている

それでも多くの人は、其の傷をいったん包み込むかたちで、人格の新しい部分を作り上げていく。そしてとにもかくにも青年期に辿りつく。

其の時期の人達にとって身近な人間集団が、人格形成の主たる対象世界となる。もちろん人間集団といっても、さまざまな種類が考えられるわけだが、此処で主としたいのは、現代日本社会における同年齢集団ないし同年代集合だ。

此れは、小は友だち集団から、大は同年代の青年全般を包み込む集合にまで及ぶものだ。日本の教育界におけるいわば同年齢構造(たとえば何才になったら一斉に入学するとか)が、この種の人間集団を母体とする人格形成を一層強化している。


誰が正常???

昨日の回診で、某大学教授の偉いさんがやってきて、個別問診した。
わたしの部屋の他の住人は、リカくらいしかまともに話ができない。
リカが何故かないて戻ってきた後、わたしが個室に入った。
セクハラ???とおもったら、大間違い。

現在、わたしは夫と別居中。精神科医から強制的に離された。わたしの鬱に夫の暴力と社宅の上下関係が影響ありと診断したからだ。

別居して十年になる。一緒に暮らしたのは一年半。夫婦とはいえない。
離婚を申し出たが、夫が拒否した。其の後駅前にマンションを購入し、夫のDVも一見納まり、もう戻ってもいいかと二〇〇〇年に戻ったら駄目だった。

そういう経緯があり、わたしは今現在は法学員に通う別居妻だ。

で、白髪の教授先生様が仰せになったこと。

あんたは主婦って書いてあるけど、別居中で子無し、其の年で復学? 要るんだよね、勘違い女が。女は女の仕事があるのに放ったらかしで、無い頭で勉強しに来るの。あんたみたいのはね、主婦って言わないの、無職、っていうの!」

む、無職ぅ~~~~~?????

婚だけ納税して無職?
時差勤務で請負仕事してて無職?
ちゃんと年齢は外れてるけど、大学院に在籍してて無職?

じゃあ、退役してのうのうと患者よりいい椅子にふんぞり返ってるあんたは何者だ????

リカが泣いた理由がわかった。同じことをいわれたのだ。
確かにリカはニートだ。学校中退、バイトもしてない、のにパートのママにおんぶに抱っこで過食嘔吐費に一日五千円費やす。

わたしよりはるかに過酷なことを言われたのだろう、リカは。

わたしは其れを思うと腹が立ち、言い返した。

「子供がいないのは、先生みたいな人に教育されたくないからです。わたしの納税額は先生より上ですよ」

わたしは本気怒ると静かになる。怒鳴ってる間は皆安心している。が、口調が鎮まるとビビる。しかしこの先生様はそんなこと知らない。
弱気になったのだと勘違いした。

「ははは、めけ犬って言うのは君みたいな女を指すんだねえ、初めてよ、本物の負け犬!!!ハッハッハッ!!!」

「今の言葉、全て録音しましたから。刑法二三一条侮辱罪に該当します。覚悟してください」

意思はまだ分かっていない。
「ほおおお~~~ぅ、昼ドラ見ていれば其のくらい出てくるよね。分かった分かった、訴えなさい。君は本当に精神的におかしいねえ~~ははっ!!」

「今のも録音しましたから。ご自分の使命と役職を仰ってください。証拠とはならなくても裁判官に対する心象にはなりますので」
「はいはい、僕は○○大学医学部神経内科教授の××です、これでいいかね?」
「はい、承りました」

白髪の医師は、勝ち誇った顔つきで、わたしを追い払った。
わたしはケータイもって屋上へ。わたしが通う格上の国立大学法学部法学員刑事訴訟法講師の△△先生へ電話した。
全部話し、ボイスレコーダーの内容を聞いていただいた。

「勝てるね、其れは」と、尊敬すべき△△先生。
「ですよね、酷いですよね」内心笑ってるわたし。

今日、先ずは白髪先生様の大学へ電話して、名古屋地裁へ電話する。逆でもよいが、もし万が一、誰かが謝ったら許してやろう。

こういうワクワクどきどきサスペンスが大好き。
自作自演じゃないから、もっと面白い。
嫌な女なのは、確かだ。



かなり鬱。

二学期が始まり、駆け込み自殺未遂が増え、自己申告鬱病やら、不治の病、仮病が増えてきた。入院していると分かる。

摂食障害の患者が、最近増えている。
多くは心療内科や精神科などを受診して、そこでは治らないとがっかりし、ようやくカウンセリングに最後の道を求める。残念ながら、摂食障害は、薬では治らない。心理療法が、もっとも摂食障害の治癒には効果的であるという点は、多くの医療関係者が認める。

摂食障害とは、食衝動に異常をきたすもので、たくさん食べる過食、食べ物を受け付けなくなる拒食、それに食べたものを吐き戻してしまう嘔吐、栄養の吸収を妨げたいという意図で便秘でもないのに下剤を飲むなどの症状に現れる。

たくさん食べて、それを吐き戻すという行動を繰り返すものを「過食嘔吐」と呼ぶ。昔からあったものと思われる。文献などにある狐憑きなどというものは、この症状であるように思われる。
差別的だし摂食障害を抱えている方には非常に心が傷つく表現だから、摂食障害の方に狐憑きなどという言葉は使わないでくれ。

最近、この過食嘔吐の患者が増えてきたなという印象を持つ。比率は圧倒的に、女性が多い。

また、やたらと食べたくて、普通の摂取量とはとても言えないような量をどんどん食べてしまう過食期と、食べ物を見るのも嫌、食欲不振、食事が苦痛などの拒食期を定期的に繰り返すというケースもある。
過食期に嘔吐をせず、拒食期にのみ嘔吐が起こる場合など、人それぞれに症状の組み合わせが違う。

しかし、ごく普通に普通の量を美味しく食べて満腹感を楽しめないなら、それはなんらかの摂食異常が起こっているかも知れない。

何か辛いことがあれば、誰でも食欲がなくなって、しょんぼりしてしまう。しかし、それが何日も何週間も続くようなら、これには心の手当てが必要だ。
食欲がないという事は、生物が生きる事から目を背けているという事で、放置したり、軽視したりしてはいけない。
心の手当てをして、生きる力に刺激を与える事が必要だ。そうすれば心は元からもっている回復力を発揮して、体の傷と同じように、自分の心の傷を少しずつ治していけるだろう。

怖いのは、摂食障害を起こしている方は、これをやめたいと思う一方で、やめたくないとも願っている為に、症状を深刻に捉えようとしなかったり(逃避)、自分を冷静に客観視できない心理状態にある事が多いという事だ。それによって、手当てが遅れがちで、カウンセリングに行った時にはすでに習慣化している場合がほとんどだ。

習慣化すると、のどに指など突っ込まなくても、吐こう、と思っただけでトイレで自在に吐けるようになっているなど、体が嘔吐に慣れてしまっている為に、正常な状態に戻るのに時間がかかりる。普通に食べようと思っている時まで、トイレに化粧直しに行くと条件反射で「トイレ=吐く場所」と体が勝手に吐いてしまうという事が起こりもする。

摂食障害が治しにくいのは、表面的には、痩せているときれいである、という美意識による場合が多いのだが、これは本当の原因ではあらない。
多くの場合、ありのままの自分では親から受け入れられない、という思い込みによるものだ。
これは、幼少期に食事のしつけを厳しく受けた事や思春期に、親が太っている人をきつい言葉で非難したり、本人に太っていてみにくいと言った、などの様なシーンなどによって作られる心の傷だ。
もちろん、原因となっている内容は人それぞれだが、その原因を探しだし、本人がその傷に気づかなければ、摂食障害は根本的に止める事が出来ない。

実に恐ろしいが、一度思い切って入院するほうがいいと思われる方もいた。
待合で話し掛けてくるのだ。
「あなたも食べ吐き?」と。
「そうだった、今は拒食です」そう答える。
答えがいつ、「そうです、わたしも」に戻るか、自信がなくなってきた。
それでも死ねない限り生きるしかない。
かなり疲れている。全部捨てたい。何より身体を捨てたい。其ればかり考える。

昨日九月四日の日曜日は、この病院開院以来駆け込み自殺未遂が過去最高を記録し、休日の呼び出された外科医や精神科医が不機嫌そうに院内を疾走していた。
失踪したい気分だったろう。

Tough shit!
ざまあみろ! いい気味!!


やってしまった。

昨日、土曜日。あまりにリスカ患者が多く、うんざりしていた。

何がって、皆自慢するのだ。

「わたしはこんなに辛いよ」
「わたしあんだけ苦しんだ」
「わたしはそんだけ泣いた」

といって、わざわざ包帯と外し、縫い口生々しい傷痕を見せびらかす。

其れが何だ。
手首や肘に横に切ったって死ねない。本気で死にたい奴は縦に切る。

みんな、辛く苦しい気持ちを紛らわす為。

わたしもつられて昨日やっちゃったじゃんか!!!

ストレス解消法の一つだと思う。他にはけ口が無かったりとか、誰かに助けてもらいたいとか……。私もその1人ですけどね。誰かが助けてくれるわけはないのにね。精神的な痛みを肉体的な痛みでごまかすためかな。すごく楽になる。

何もかもから自由にされた感じ。血を見てると癒される。心の傷が具体的な形になるので安心するのかな。生きるために切る。

傷跡は自分の出来る範囲で 精一杯生きてきた証だと思える。流れる血にどれだけ癒されたことか。でも切るところなくなってきているのが悲しい。

自分で納得出来る人生で終わりたい、誰しも理想は。でも境遇、環境、運、色々な人生があって、自分でこれも人生よ、ってあきらめ、我慢、歩み寄りもあるけど
と思える人だって居る 何も打たれ強いのがえらい訳でもないし逆にそんな事我慢しちゃ人間として思われたくない場合だって、あるよね。

なんとなく寂しくなったりして、死にたいわけじゃなくて、心が傷ついたときなんかは、心より体を傷つけてそっちに逃げてる感じ

自分の中の嫌なもの。嫌いなもの。全部血と一緒に外へ出してあげるの。行き場の無い愛情とか。自分自身でさえも。要らないもの全てを解き放つの。カッターは心のドアの鍵。

私はどんな気持ちとか考えたことはないな。ただ血が見たいだけなのかもしれないけど。でもね、私はリスカすると落ち着くんだ。特に苛々してるときとかね。八つ当たりに自分を選んだのかもしれないね。

無心。涙と意味の判らない笑いが込み上げて来る。どこか遠くで私は泣いている。もう二度と、幸せには戻らない様に。

皆こんな気持ち?

わたしは弱い。
どうしようもなく弱い。
大事な人を傷付けてばかり。でも、逢う約束をした人がいるから、生きねばならない。ひょっとして、其の人にみせたかったのかな。

わたしだって苦しんでるって。

心のどこかで、解離した自分が囁く。

死ね。

まるでパーティに誘われたように、甘美な誘惑。
寿命があるなら、生きたくても生きられない人にあげて欲しい。
何故毎日事故で人が死ぬのに、わたしは事故に遭わない!?


自殺系に登録されてしまった……。

昨日とうとうグリセルダは戻ってこなかった。
ナース曰く、「大量の下剤を飲んで、多量の浣腸を何度もされて、絶食中」だという。

ナースは医者に問い詰められていい迷惑だとこぼしていた。

「だって摂食率0%なのにあんなに排泄物が溜まるなんて。おかしいじゃない? 気付いてはいたけど、管理不行き届きだって叱られたわ。もう旦那さんに差し入れしないよう言っておかないと」

相当怒っている。
そりゃそうだろ。

配膳されたものは一切食べず、医師の問診にもダンマリ、なのに、吐糞するなんてなあ。

始めて見たよ、吐糞っての。
本では読んだけど。
胃ま今で糞が詰まって、口から糞出すんだよ。見てられねえよ。
気色イ……!

話し変わって、リカのリスカに触発されて、わたしもやっちまって、叱られた。

リスカでもアムカでもネクカでもない。
仕事で使う万年筆で、左手の甲ぶっ刺したのだ

縫わなくていいのから、見逃せよって思う。
ま、管理不行き届きを咎められちゃ、ナースも困るわな。

あと日曜日にやったのが根性焼き
あんまり甘チャンの娘ばっかで、自分の傷痕を自慢するから、「これができるかああああ~~~!!!!?」って、リスカ六人衆の目の前でやってやった。

此れも治療が不要だから、叱られないと思ったけど、叱られた。

ナースもドクターも、自分の保身に必死だ。
患者なんてゴミ捨てより後の関心事
金が無いから退院するっつーたら、ローン会社を紹介された。

馬鹿にすンなって。わたしの納税額見ろ!!! どんだけ稼いで払ってるか。インターンの十倍はあるぞ。

自慢は如何でもいいが、自殺サイトからリンクの申し込みがあった
怖い。

死にたいなら一人でじわじわ苦しんでゆっくり時間掛けて死を実感して、ちゃんと、死ね!!!

心中相手募集なんての見ると、張り倒したくなる。
結局死ぬのが怖いんじゃねえか。

本気で自死に臨むとき、人間はうまれて始めて真剣に生を考える。
あらゆる手段を尽くし、全てが粉砕し、其の中の一つの一%でも上手くいったら死なずにすんだのに、と、生きることへ物凄い執着を持ちながら、未練たらたらで、首を吊る。

生きたいと願いながら自殺するのが本当の自殺だ

興味本位や安心感や構って欲しいとか注目を集めたいとか、そんな気でやるのは飽くまでも、自己満足の自傷行為。
それはそれでいい。ストレス発散方法は人それぞれだ。

ただ、血で周りを汚さないよう気をつけてね。
風呂場でやると、臭いが取れなくて生臭くて、家族がいれば困る
いなけりゃいいってもんでもない。

賃貸なら大家が困って、敷金返してもらえず、加算される。下手すれば債務不履行で提訴される。
現に賃貸契約での敷金訴訟は多い。差し押さえもできる確定債権だから、取り立ても必死だ。

やるときは、公園とか山林とか、幽霊スポットになっても人気が出て困るどころか喜ばれる場所でやりましょう

ペットもちゃんと始末して。遺して逝っちゃいけない。
ちゃんと安楽死させること。動物病院行ってね。保健所はダメ。

皆誤解してるけど、保健所での薬殺は安楽死と程遠いものだ。
七つの檻があって、日毎に右へずれる。一番右、つまり八つ目は毒ガス場。延々六時間掛けて苦しませて、殺す
何故か?
保健所の周囲にも民家はある。一瞬で楽に死ねるほどの猛毒を密閉されているとはいえ、流すわけには行かない。
万が一、地震などでガスが漏れたら大量殺人になる。
だから、少しすった程度では死ねない毒ガスでじんわり殺す。
此れが真実だ。

だから、本気で死にたいなら、ちゃんと一人で死ね!
目一杯苦しんで、未練を全部嘗め尽くして、死ね!

わたしは怒っているのだ。
勝手に自殺系サイトに登録しないでくれ。
心中なんてわたしは嫌だ。
死体を見られるのも嫌だ。
汚いぞ。大小便垂れ流しで、顔浮腫んで、ゲロって
そんな姿晒したくない。

死にたきゃ一人で青木が原へ行け。
心配無用、捜索隊は出ない。念の定時期にしか捜索しない。
ただ、一番近いバス停の傍にある民宿のお上さんには注意
お節介この上ない。
くどくど説教される。ならあんた借金返してくれるのか、職探してくれるのか、彼を帰してくれるのか、って、云いたくなる。
が、負ける。
あの人は自殺防止の達人だ。あの手この手で攻めてくる。
立ち寄らず、樹海へ直行してください
仲間が一杯いるから怖くない。誘いに来るよ。ロープも、先人のを使わせてもらえばいい。
もってくものは酒と煙草と、最後に食べたいものくらい。
睡眠薬は、却って死に難くなるので注意。
途中で寝ちゃうんだな。目が覚めるとパニック。で、ケータイで連絡して大金払わされる。
ちゃんと死ね、馬鹿野郎!


超ウルトラグロゲロ。

わたしだって吃驚した。
本では有り得ると読んでいたけど、まさか本当に目の前で起こるなんて。

わたしの隣のグリセルダ、ポータブルトイレに吐き、本当のはちゃんとトイレへいっていた。ただ、喋らない。日本語、差し入れ持ってくる旦那さんとは喋ってるが、ナースにもヘルパーさんにも、絶対口を利かない。。

で、この三日間、ベッドから一度も降りなかった。
点滴で水分補給し、旦那が山と買ってくる菓子類を、カーテン閉めて真夜中に食い漁り、吐いていた。昼は寝ている。

そんな人が、全くトイレへ行かない。

ちゃんと、大小の回数を、テーブルに張ってある紙に正の字で書かねばならないのだが、全く書いていない。それに、尿の料を袋に溜めておかねばならないのだ、摂食障害者は脱水し易いから。

だから皆点滴を受ける。飲むと吐いてしまうから。

で、ナースもポータブルトイレでしていると、思ったのだろう。

上からとしたからと、同じ便器に吐き垂れるんだからぞっとするけど。

まあ、五年前は、その糞と一緒にゲロ食う奴がいたし、現に今も斜め左の中嶋はそうだ。

「まだ食べれる」と、糞の上に積もったカップラーメンを手で掬って食っている。

が、グリセルダは一寸違った。
いや、大部違った。

今日未明、確か午前三時ごろ、突然左隣が、「ンふうううう~~~!!!」と、うめきだした。
驚いて、でも暫く見ていたが、一向にナースコールもせず、よくもならない。

で、わたしが自分のボタンでナースコールした。
夜勤の看護師は不機嫌そうにやって来た。同室のものも目が覚めた。
だって凄まじいうめきなのだから。獣みたいだった。

グリセルダ本人は構わずうめき、激しく寝返りを打つ。というか、ベッドの上で暴れる。
迷惑だ、と、眉を顰めた瞬間、凍った。

みんな揃って、絶句した。

彼女は吐き始めた。でも今夜は過食していなかった。というか、この三日間、ホントに少ししか食べていなかった。唯ジュースだけはがぶ飲みしていた。
だからデブなんだと、わたしは嫌だった。

が、彼女の身体には異変が起きていた。

彼女が吐いたのは、茶色い太い芋虫みたいなの。ゲロみたく流動性が無い。固形といってもいい。

食べたものにより、特に水分不足でパンを食べて吐くとき、こういうのが吐き出されるが、一寸違った。

臭いだ。

室内に立ち込める匂いが、下痢の酸っぱい臭いでなく、どちらはといえば、下痢便垂れた後の臭い。

そうです、吐糞です。

つまり、口から糞吐いたのです

ナースが悲鳴をあげ、医者が駆けつけてきた。
彼女はストレッチャーで何処かへ運ばれていった。
そのまま今も戻らない。

ナースの説明によると、便秘が超酷くなると、とくにお年寄りに多い症例らしい。
臨床的には珍しくは無いが、現場では珍しいという。

いまは、ちゃんと癖にならない下剤が、重度の鬱患者には処方される。わたしもそうだ。
精神安定剤やらで、腸の動きが緩慢になり、便秘を誘発するので、漢方薬が処方されている。

それでも便秘な奴がいる。彼女はそうだったようだ。
羞恥心はまだ残っていて、誰にも、言うべき医師にもナースにも、庇ってくれる旦那にも、いえなかったようだ。

可哀想だが、傍迷惑。

こんな地獄、脱出したい。
結構堪える。刺激ありすぎ……。


大丈夫!

自分を責めないで。
精神疾患は、自分ひとりでなる病気じゃない、だから周りに甘える権利があるの。
堂々と胸張って甘えていいの。

ただ自分自身に負けないで。
違う、吐いてもいい、拒食も過食もいい。
負けるってのは、摂食障害について自責しなくなること。

自責の念があるなら、負けてない。闘ってる真っ最中なの。
立派だよ。たった一人で闘ってるんだから。
周りは支えるしかできない。回りが誘発させた病気なのに。
だから一杯、状況が許す限り甘えて。

わたしでよかったら行くよ。実際五人の人と別サイトであったし。今も繋がってる。
日時場所指定してくれたら会いに行く。疲れて眠るまでずっと一緒にいる。
誰より汚い行為をしてきたわたしになら、優越感もって話せるよ。
話して楽になるなら、何時だって会いに行くから。

ま、退院してからだけど。

あんまり皆苦しそうだから、わたしも苦しくなった。いまわたしはゲロ地獄にいる。五年前のわたしがああだったと思い知るために。

皆、ちゃんと頑張ってる、戦ってる、誰がなんていおうと、戦わない奴等の言葉に耳をかさなくて言い。聞いてしまっても、ショックを受けても、其れを一個一個乗り越えて、最後にきっと笑える。見返せる。

All or nothing、なんだよね。
摂食障害乗り越えた人に聞くと、皆そういう。治ったきっかけも、大切な誰かの、些細な、でもショックな、言動だったって。

わたしもそう。
母の「もうパン買うお金ない」の一言で、十六年止められなかった過食嘔吐が止まった。
必ず其の瞬間が来る。信じられないだろうけど、人生は長くて、人は一杯いて、傷付ける言葉も励ます言葉も沢山あって、其の中のたった一つが、あなたを救う。必ず救う。

いまは、耐えるときかも知れない。
耐えるのも闘いなんだよ。
威張っていいんだよ。
何も苦労せず終わった人生より、ずっと中身が濃いよ。自信もって、自分と周りを信じて。
もう充分頑張ってるんだから、少しだけ自責して、自傷して、紛らせて、戦って。
生きること自体が戦い。いまそれをやってるのだからね。

ありのままの自分を、先ず自分自身で受け止めてあげて。
其れから始まるよ。


ダイエットに意味が無い。

最近では、痩せる=ダイエットと、間違った広告が多量に流されている。

ドッグフードで有名な、ナチュラル。・サイエンス・ダイエットのように、本来ダイエットとは食餌、食餌療法をさす言葉だ。

其れが、日本では「ダンベル・ダイエット」「ウォーキング・ダイエット」などと、英語圏の人が腰を抜かすような表現が使われる。

日本では箸と一緒に手首にダンベルをつけて食べるのか?」とか、「歩きながら食事をするのか?」と、訊かれる。

マナーも糞も無い。

日本は落ちた。

今日も駆け込みリスカが多かった。眠れやしない。
引篭もりについて、今後この環境を逆手に取り、物を書いてみよう。

論文提出期限が間近だ。早く退院したい。いい加減いやだ。
いまも、リカが吐きにいった。
横井さんは吐き疲れて寝ている。鼾五月蝿い。
中嶋さんはナースに叱られ、しょんぼり。しかたないだろ。吐いたカップラーメンを、「細いけどまだ食べれるね」といって、ポータブルトイレに手を突っ込んで食っているのを、ナースに見つかったのだ。

此処は地獄の精神化病棟。
誰からも持て余された非人間が巣食う場所。
わたしも其の一人だ。


グリセルダ復帰!

あの吐糞したぐリセルダが戻ってきた。昨日の夕方のことだ。

すっかり痩せていた。

旦那からの差し入れ金しれが出され、仕方なく断食したそうな。
でも耐え切れず(だってペプシ1.5リッターとバリバリスナック菓子貪り食うのだから)病院食に手を出した。

ペルパー曰く、「食うわ食うわそりゃもう丼飯おかわりして、まだ他人の残り物盗んで、看護婦に怒られてもやめない。ICUは食べられる人が少ないからね、一杯食べ残しがあるはずなのに無い、で、看護婦が調べたら、ビニール袋にごちゃ混ぜに入れて隠してたのよ! ご飯も味噌汁も煮魚も一緒くたよお、気持ち悪かったわ。それにね、他人のお菓子とかお見舞いを盗むの! ICUだから口が聞けない人が多いでしょ。其れをいいことにやりたい放題、バイキングだったよ

一気にまくし立てた。聞いててこっちも吐き気がした。
とうとう盗癖があらわれたか……。
こうなると社会復帰が難しい。
過食者の三分の一が盗癖に走るという。勿論万引きとかスリとか、ちゃんとした犯罪構成要件までは満たさず、要件外の、ゴミ漁りとかバイト先の客のの衣の食うとか、コンビニや総菜屋で廃棄をわざと作るとか

其れがトラブルで辞職または退職する人も多い。
過食者は何故か、食べ物関連の職に就きたがる。廃棄目的だろう。
私はそれだけはしなかった。
一度やったら癖になると、散々万引き常習者から聞いていた。わたし自身、そうだと納得する。

嘔吐も同様、一度やったら止められない。
無料で吐くためだけの食い物が手に入るなら、こんないいことはない。

拒食は幸せかもしれない。生活費が余裕できるし、何故か渇望中の方が活発になれるし、痩せたスタイル維持できるし、何もかも、他人から咎められる要因は無い。

堂々と拒食できる世の中だ、この現代は。
ダイエットと語呂のいい言葉使って、食べなくていい、食費で好きなものが買える、痩せてていいねと褒められる。

だから私は拒食から抜け出せない。
過食嘔吐よりはましだが、摂食障害の病名は剥がれない
無論、鬱も解離性障害も、ある。

冷たく別の自分が食うなと指令を出す。お前なんか飯を食うに値しない屑だ、飢えて苦しんで死ね、と罵る。

言い返せない。
其のとおりだ。
わたしの鬱も多重人格も終わらない。
何で生きてンだろ。


キョウフのメール。

あなたが別れようって言っても、わたしはあなたのことを愛しつづける。
生きていても、死んでいても、あなたが死んでからも、わたしはあなたを追いかけつづける。
だから、今あなたが何処で何をしてるのか分かってる。
この間中庭で気持ちよさそうだったね。わたしも見ていた。
これからもずっと一緒だよ、永遠に、わたしはあなたを見つめている。

ってのはまだ可愛い。無視すればいいが、中庭???って、わたしを見ているのかああああ~~~~!?

次は訳分からん呪い。
浮気をしていたのは旦那ではなくお前だったんじゃないのか?
自分がそうだから一番近くにいる人、旦那もそうしていると思い込んだのだ。
無理もないよな。
お前は自分の事しか考えない。
自分が一番と思い込んでいる性格だから。
相手の気持ちなんか全く捕えようとしない。
思い込みの激しい嫌な性格。とても一緒の職場にはいて欲しくない。
消えるのは俺ではない。お前の運もこれまでだ。
我欲に捕らわれてばかりいる者が行き着く先は、魑魅魍魎の世。

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!
お前の脳みそには蛆が沸いてる。俺を苦しめたな……。いつかお前が地獄に逝くことを俺は望んでいる……。

知的障害の利用者相手に赤ちゃん言葉を使えば良いと思い込んでいる。自己中心的の考えしか待たない愚か者! お前を断じて許さない!七つの地獄へ行け!七つの石を集めて墓を築け。七つの石の卒塔婆を建て錠鍵下せ!血を吐け、泡を吐け! おん阿毘羅吽欠姿婆呵!

訳分かります、誰か???

Tuesday, March 14, 2006

柳寛順の生涯

32、彼女は、デモの首謀者として日帝に逮捕された。
そうして西大門刑務所に留置され、連日、過酷な拷問を伴った取り調べを受ける。
「首謀者は誰だっ!」
「わたしだ!」
彼女は、どのような拷問にも屈しなかった。
一九二〇年四月の恩赦の時にも、逮捕された多くの学生が釈放されたのに、彼女だけは釈放されなかった。
自分の信念を曲げなかったからだ。

「お前達は私の父母を殺し、兄まで留置し、無実の同胞を殺している。その大罪はきっと神が裁いてくれるでしょう。私は大韓の人間で、日本人の裁判を受ける理由はない! お前達にわたしを裁く権利はない!」

拷問は来る日も来る日も続けられた。
やがて、栄養失調と劣悪な環境と度重なる拷問により、一九二〇年一〇月一二日、柳寛順烈士は息を引き取った。
最後の言葉は、日本は必ず滅びる、だった。

此れが、韓国のジャンヌ・ダルクと呼ばれる柳寛順の生涯。

ソウルでの万歳示威は、商店街がシャッターをおろして、学校は休校となる状態で、あらゆる市民が参加して、三月末まで続けられた。
その熱気はソウルだけのものではなかった。万歳運動は釜山、平壌は勿論全国の主要都市に広がっていった。
ソウルと同じく、地方都市での万歳示威も、主に学生と若い知識層を中心にしてすべての市民が積極的に参加し、民族の強い独立の意志を見せた。

リー将軍の言葉が甦る。

「戦争が此れ程悲惨であるのは結構なことだ。でなければ、我々は戦争を好きになってしまう」

古来の日本も欧州も、いくさ、が好きだった。今だって変わらない。只、法律に縛れらているから現実の殺人をためらうだけだ。
其の捌け口として、人間は映画、ドラマ、ゲームなどで、憂さを晴らしている。
人間は競うのが好きだ。
運動会、各種試験、営業成績。
そして勝ちたがる。
負ければ死にたがる。

戦時中は特攻隊員を軍神として崇め、遺族は泣くことさえ許されなかった。
戦争は戦争を呼ぶ。
終わりの無い螺旋が解けるのはいつだろうか。

Monday, March 13, 2006

サミル独立運動

三月一三日、柳寛順烈士は故郷に帰り、独立運動を行うことを目指した。

そして、地元の有力者に働きかけて説得し、四月一日(旧三月一日)、地元の並川市場(ピョンチョンシジャン)にて運動の狼煙を上げた。

柳寛順烈士、時に弱冠一六歳だった。
彼女は並列市場に集まった数千の群衆に対して、少女とは思えぬ堂々とした演説を行った。

群衆は、少女の訴えに感動した。
「大韓万歳!」
人々の独立に対する意気込みは、彼女の演説によって頂点に達した。
「憲兵分遣隊に行こう!」
誰からともなく、そのような声が沸き上がった!

人々は、日帝による圧制の象徴でもあった日本軍の憲兵隊に、平和的デモ行進を敢行した。
其れに対して憲兵隊は銃口をもって応えた。
世にいう並川事件だ。
憲兵隊の発砲により人々の悲鳴が上がり、あたり一面血の海となった。
人々はひるまなかった。

その最中、父、重権は憲兵隊の発砲により被弾、瀕死の重傷を負い、三日後死亡する。
急を聞きつけた妻の李少悌は、夫の恨みをはらすため、今度はデモ隊の先頭に立った。
だがその日の四時頃、夫の後を追うがごとく、彼女までもが憲兵隊に斬殺された。

目の前で一度に父母を失った一六歳の柳寛順烈士にとって過酷な一日だった。

島原の乱を想起させる出来事、否、悲劇だ。
わたしが十六差のころ、父に反発して一人暮らしを始めた年齢だ。
わたしは何と甘えた小娘か。
柳寛順は生来激しい気性だったのではないと思う。
我慢強く自立してはいても、本当は普通の平凡な女性になりたかった筈だ。
強い女なんていない。女は守られ甘やかされてこそ、優しく綺麗になれるものだ。
ジェンダーフリーが叫ばれるが、肉体的差異は変えられない。
力では男が勝つ。
だから柳寛順だって、優しく可愛く、生きたかったと思う。
時代の所為にするには大き過ぎる犠牲だ。
日本の女が強いといっても、今の子は甘えている。守られている。そして其れを自覚していない甘ったれだ。
無論、わたしも其の中の一人。
雑踏に埋もれて生きていく、死んでも何も残さない、つまらない存在。だけどこの世で唯一の存在。
数多の犠牲と歴史の上に胡坐をかいている。
しかし、其の轢死の中、必ず生まれ変わり死に変わり、犠牲者の一人であったと信じる。
生まれたというだけで、生きる価値と意味はあるのだ。

Thursday, March 09, 2006

2005年夏の隔離病棟

拝啓ICUより。
いきなり話が飛んだようだが、昨日入院した。
夏休みに入って直ぐ行った、悪性リンパ腫の手術痕が、いきなり疼き始め、よーく見ようと股開いたら、ビリっと裂けた。

うえ……ゲロった。
誰でもゲロると思う。
だってね、だって……。
蛆が湧いてたンだよおおお~~~~!!!!!
生きるとか死にたいとかぶっ飛んだね

不潔にしてたわけじゃない。一日二回シャワー浴びて、消毒液で消毒して、ちゃんとやってた。
原因は……。

「退院が早すぎたんですよ!!!」
と、医者の第一声。
「免疫力が落ちているし、時節柄こうなり易いんです。しかし此れは酷い。
入院です!!!」


う…もういい、中に出して!
うっ、も、もう我慢できない!」
「あっ、いいのそのまま中に出して!」
「ふ、うっ!」
「全部出して!」
「……あ、あ~ん」

「嫌、恥ずかしい……」
「僕は気にしないよ、さあ足開いて」
「アン、あああ~いいっ!」

……こんなんの連続よ、真夜中のICUは。
ゲロをマグカップに吐き出したおっさんは、とてもすっきりしたようで、ナースに礼を言って再び鼾を掻いて眠り始めた。オムツに垂れた若い女は、しきりに恥じ入りながらも、排尿の快感に酔っていた。

あのなあ、こっちは眠れんぞ。
そういや、わたしってずーっとトイレいってない。ってか、チューブに繋がれていて、行こうにもいけない。ど~なってンだ?

恐る恐る下を見た。下っていっても水平だけど。まさか、わたしもオムツじゃないだろうなあああああ!!!!

あ、オムツのがまだよかった。

思い出した、すっぽんポンでした、わたし。
綺麗に剃られた○×△に、カテーテルが……その先にはビニール袋が……お~血尿。
殆どカゴメトマト一〇〇%だ。
今日は回診があるから、早く此処から脱出しよう。

真夜中のよがり声はもう、独り寝のわたしには刺激あり過ぎ。


Tバック・バージン。
ICU脱出は言いが、しかしなあ、六人部屋の真ん中だぜ、キツイぜ。

で、ストレッチャーか車椅子で移動と思ったら、点滴毎ベッド丸ごと移動だった。始発で駆けつけたママリンが三越バッグぶら下げついて来る。
が、わたしはノーパンノーブラ手術着Only!!!!

ノーパン&ノーブラ全開でガラガラ移動だもん、照れるわン
 
昨日カテーテルを筈と訊いた。いつまでノーブラは許せてもノーパンは嫌だから。

が、手術の部位が部位だけに、フツーのショーツじゃ駄目って言うのよ、スケベ医者が。わたしはこのまま何日もノーパンで過ごすのかって詰問したら、信じられないお言葉。

「タンガ、っていうんですか、あの紐みたいなのならいいですよ!」

……なんで男のあんたが知ってンだよ!!!!

病院の売店にそんな刺激的なモン売ってる訳ないし、自分で買いにもいけないし、通販で頼んでちゃ日数かかるし、ナースに頼むか!? それとも……!!!?

「はい、わたし買ってきます」と、ママリン。

おいいいいい~~~~、若くは見えるがあんたもう五十過ぎだろ、恥を知れえええ~~~!!!


赤面したわたしだけど、ママリンに頼むより無い。ナースもあてにならないし。オムツよりゃよかろ~~~と赤面改め、ママリンにお願いした。ママは張り切って昨日十六時に病院から三越へ向った、らしい。

夕べ一晩、刺激的な言葉飛び交うICUで、独りわたしはわくわくしていた。
果て、ママはどんなの買ってくるやら???

ママリンは速攻で昨日Tバックを三越で買い、今日の始発で駆けつけてくれた。
が、移動には間に合わなかった。
ママはベッドに移るとさっとカーテンを引き、言った。

さあ、穿きなさい

その結果、いま穿いてまあすぅ~~~。
六枚も買ってきてくれましたあ~、ローズピンクに黒のレースパーフルにレッドのフリルイエローにグリーン総レースのすけすけとか……。

今現在、Tバック初体験第一号は、ライトブルーに黒のレース。控えめにしてみました。
だってわたしぃ、Tバック・バージンだったしぃ~~~。

しかしこれ、楽だわあ。今まで知らなかった開放感。ああ、もうわたしタンガから離れられない。
旦那が見たら鼻血ブシュかな。うふふ、夜の楽しみが増えた。ま、退院してからだけどさ。

あ~マジ退院したい。食事がね、駄目なのよ。病院の流動食は焼く前のシフォンケーキ生地みたいで、非人間的で、食べられない。
いまだ眼前に鎮座するポテサラや攪拌卵よりは、生ゲロもどきのがずっとよかった。


マジゲロ。
いきなりだった。

「其れ残すの、ちょうだい!!!」

と、唐突にお向かいさんから声がかかった。

「は? はい、いいですけど?」
「早く!!! 看護婦がこないうちに早く!!!」

おばさんだった。名前もまだ知らない。はっきりいって小太り。ぽっちゃりじゃない。密使るとか体脂肪に覆われた手が、わたしからトレイを引っ手繰った。

ガツガツガツガツ……ゴキュッ…ガリガリ……!!!

見事な食いっぷりだった。過食嘔吐していた頃のわたしみたいだった。
醜い……過去の傷を見せ付けられ、吐きダコを抉った痕が疼いた。

と……!?

「おううぇええええ~~~ゲロっヒック、グウェエエエエっ!!」

ビシャ! ベチャ! 丈夫そうなビニール袋に、おばさんは嘔吐し始めた。
ゲロのにおいが病室に立ち込める。誰も文句を言わないのか、周りを見た。

三人はカーテンを閉め、一人まだ重大らしき女の子は、平気でスナック菓子を貪り続ける。

ブシャッ!! ズバババ!!! オエっゲホッ……ハアハア……!

ベッド脇のポータブルトイレに下痢便垂れ、その上に吐く人がいた。カーテンの中でも分かった。昔、強制入院させられたときと同じだ。

ぼーっとしていたら、一膳食った後に袋目のポテチを空にしたティーネイジャーが、徐に立ち上がり、多分トイレへ向った。

此処は……精神疾患の……???

配膳したヘルパーが回収しにきた。
綺麗に平らげられたトレイを次々台に載せ、ガラガラと去っていった。
ゲロの臭気に動じない。ってことは、慣れているってことだ!!!

整形か外科に移されたと思っていた。
ママリンも唖然としてみている。
「此処、嗜好癖の病棟じゃない?」
ぼそっとママが言った。

そう、わたしは戻されたのだ。

依存症の患者の寄せ集め、ゴミ溜めの肥溜めのゲロ溜めの中に!!!

今日は日曜、担当医はいない、何故此処に戻されたか、訊こうにも訊けない。
首切り自殺未遂のお仕置きか、いまだ上がらない体重への罰か、食べようとしないわたしへの戒めか……?

はっきり分かった。
嫌だ!
言っちゃ悪いが、一緒にしないでくれ!!!
普通の過食嘔吐じゃないのだ! 食べて吐いたものを又食い又吐く、狂った世界なのだ!

頭がくらついた。
これから、ありのままを掻いていこうと思う。
気が向いたら、しんのおぞましさを味わって、疑似体験してください。
落ちる奴は底なしに落ちる……。


わたしが生息した部屋。
六人部屋である。元は余人部屋だったのを無理矢理六人にしたものだから、ベッドとベッドの間が非常に狭い。

その狭い隙間に、ポータブルトイレが鎮座している。

とりあえず、ご案内。

わたしの廊下側隣が草薙さん。トドだ。体重百二キロとか、痩せ~~~た旦那さんが言ってた。この旦那さんは毎日仕事帰りにやってくる。
草薙さんは怖い。直ぐ怒る。看護師にでもヘルパーさんにでも、何のかんの文句をつける。そして毎夜、旦那さんが謝っている。
但し、金持ちだ。きているパジャマもワコールだし、使うタオルもレノマとかブランド物ばっかり。
ポータブルトイレ使用。

そのお向かいが中嶋さん。眼鏡のおばさん。ぽっちゃり型。絶え間なくTVをぼんやり眺めている。決して笑わない。表情がない。何を考えているか全く分からない。加えて不潔この上ない。遠めからでもフケがバサバサの白髪混じりの髪に浮いているのが分かる。
これもまたポータブルトイレ使用。

で、わたしに向かいが横井さん。陽気なおばさん。いきなりわたしの残した朝食を引っ手繰り貪りカーテンも閉めずにビニール袋に吐いた人。とにかくよく喋る。だが九州訛りが強く、聞き取れない。しかし適切な相槌を打たないと怒る。

その隣がリカ。一番話が合う。まだ十七歳。学校が厭でリスカを繰り返す過食嘔吐者。本人は病院での嘔吐は気づかれてないと思っている????のか、ちゃんとトイレで吐く。だが、お掃除おばさんがしょっちゅう悪口を叩いている。
「吐くなら洋式吐いて欲しい、和式だと飛び散って掃除が大変」云々。

で、わたしの窓際隣ブラジル出身グリセルダさん。この人は異常なまでに無言。旦那さんらしき男性が毎日来るが、その人ととも喋らない。ヘルパーさんが何を語りかけても、医者が問診にきても、喋らない。だが、子供はちゃんと日本語を喋る。お姑さんらしい人もちゃんとしている。

一応此れだけがわたしの狭い世間。他の病室の人とのほうがよく喋る。
たぶん、その人の何らかの嗜好癖を知らないから、喋れるのだろう。
しかし最近の過食嘔吐者の増えたこと増えたこと。
鬱病より多いのでは???と思う。
鬱病は、昔仮面鬱病という言葉があったが、現在は仮装鬱病者が多い、と、精神科医がぼやいていた。
CMであっけらかんとやりすぎだ。鬱なら一ヶ月、だの言って撃つを煽り立てるから、鬱病でもなんでもないただの怠け者が「わたし鬱です」と、告げに来るという。

医者は検査結果、何らホルモン異常もなく、心電図も血圧も脳波も全部正常で、ああやっぱりと思い、カウンセリングに移行する。
「最近悩みは?」
患者は喋りだす。医者が止めてもしゃべり続ける。その点では或る意味異常かも知れないが、鬱病ではない。仕事や家事や通学に支障はない。

と、医者が無病宣告すると……!?

「ナンだって!? わたしはこんなに頭が重くて気が重くて胃が破れそうで、気分が落ち込み何もする気になれず、こうしてやってきたのに、病気じゃないって? 健康だって? それじゃあ此処に来た意味ないだろう~~~!!!!!」

と、喚き散らす。手におえない。この病室の草薙&中嶋&グリセルダが其れだ。医師が困っている。出て行かないのだ。

三ヶ月ごとに病院を点々として、またやってきたらしい

そしてポータブルペアは兎に角汚い。
としか言いようがない。

草薙は(もう呼び捨てます)食事中、ズーッズー鼻かんで、ついでに箸持ったまま、カーテン一寸だけ閉めて、ポータブルトイレを使う。
しかも音が凄い。
ZUBABABA~~~~!!!! ZAPA! JO~~~~~SYA~~~BUSUBUSU!!! BURIBURI!!! SYA~~~~……。
で、鼻かんだティッシュでササっと拭くだけ。でm持ったままの箸でまた食い始める。手も洗わず、だ。臭いそのまま立ち込めて、平気。
信じられな~~~~い!!!!

草薙の向かいの中嶋も、ポータブルトイレ愛好者で、兎に角不潔。毎朝暑い押し墓地タオルが体洗浄用に配られるのだが、十秒足らずで拭き終える。一度わたしが来てから、医者が血液検査をしたら、うようよ黴菌群がいたと叱っていた。
ナースも、ポータブルットイレを開けっ放しなので叱っている。が、へへへと口をゆがめるだけ。言語を発しない。笑わない。笑われても困るが、笑わないのも困る。
この二つのポータブルトイレが、わたしの食欲不振の原因。当たり前だ。
だが、皆食う!!! 
内三人が吐く!!!

要するに、廊下側二人はポータブルトイレ、窓際二人と真ん中は吐く。
ただ、リカだけがトイレで吐く。グリセルダはカーテン閉めてゲロ専用ポータブルトイレで吐く。トイレは別途行くのだ。

においが染み付きそう。
出せ!!! 俺を此処から出せええええ~~~~!!!!


この現実。
夏休み最後の日曜日と言うことで、駆け込み自殺未遂者が相次いだ。

いや、正確には未遂者ではない。

だってやつ等にゃ、死ぬ気なんてさらさらないのだから。

そうじゃないすか?

リスカ自慢しあう近頃の若者は、自分の血を見て安心すると言うし、わたしもそうだが、本気で死ぬ気はない。

本気で死にたいなら、首吊りか切腹する筈。わたしは両方やったが、それでもまだ本気で死ぬ気はなかったと思う。

だって、首吊りのときは、両手を首をロープの間に挟んでやったし、切腹だって抉らずに刺しただけだった。(充分か?)

それでも本気で殺されそうになったときは怖いと思った。

インフラ整備で、イラクのバグダッドへいっていた頃。足を撃たれた。
まだ破片が埋まっている。

リスカ自慢するRチャンに、わたしの腹を見せてやった。
絶句した。
無数のミミズが這うこの体、どーーーーだ!!!

ナースが言う。
「もっとみせてあげて、そのためにあなたは此処に来たんだから」
え????
わたしは見世物? 見せしめ? 金取るぞおおおおお~~~!


此処は隔離かも知れない。
いや、間違いなく準隔離だ。

だって地下にある。窓は小さいのが二つ、天井近くの高さにあるだけで、ジメって暗い。
窓の外を眺めていると、外を歩く人の靴と足が見える
雑草も見える。


つまりわたし達は雑草以下の存在、隠して置かねばならない、見るに耐えない存在、だ。
分かっているし、分かっていた。

飛び降り防止のためでもある。まあ、わたしは食料など貨物搬入口から、結構自由に屋上まで延々階段を上り下りしているけど。
リカも大抵一緒だ。リカはわたしにくっついて離れない。多分、まともに話が通じる人間を欲していたのだろう。

わたしはママリンが来てくれるので、助かっている。何とか正気を保っている。ママリンはわたしをこの世と正気に繋ぎとめる鎖だ。

重くてきつくて苦しい、でもかけがえの無い鎖。血の繋がりに関係なく、体当たりでわたしとぶつかってくれる、大切な鎖。
大事にしたいのに、偶に傷付けてしまう。
ママリンは泣きそうになり、偶に泣きながら、其れでもわたしを放さずにいてくれる。
こんなにも深い愛情に包まれていたなんて、今の今まで知らなかった。


きっと、途中でこの閉鎖病棟のおぞましさに負けて、来なくなると想っていた。内心其れを願っていた気もする。
其の訳は、責めたいから。何でわたしを生かしておくのか、何でわたしを殺さなかったのか、何であんたなんかが母親面しているのか、何で身元引き受けなんてしたのか、何で手術に同意したのか、何で救急車を呼んだのか、全部全部、思い通りにならず、悔しくて恥かしくて情けなくて。

だから責めたかった。誰でも良かった。思い切りわたしと喧嘩してくる人が欲しかった。叱って欲しかった。怒るのでなく、叱って欲しかった。
丸で飼い犬だ。ご主人様のご機嫌を撮らねば餌を貰えず死んでしまう、脆弱な犬畜生だ。

だが、わたしが子供代わりに買っている、というか一緒に暮らしているわんこを、畜生と思ったことは無い。わんこもまた、わたしを死なせない三大原因の一つだ。

一位はママリン。どうやってもやしなってもらった恩は忘れられないし、今、心底母親なのだと、守り守られる関係なのだと、強い絆を実感している。

二位はわんこ。るーというウェルシュコーギー、ブリーダーも所へ五年間も夫と通い、この子!と閃いた大切な、産んではいないけど同じくらい手間隙掛けた、大事な子。

三位はやはりだ。散々殴ったり蹴ったりしたけど、わたしが二十五キロまで痩せたときには、すっかり優しい男に変わってしまっていた。メタモルフォーゼといっていい変貌だ。

後は、此処まで落ちると、どうでもいいものばかり。
どうでもいいといのは、わたしを必要としない人達、の意味だ。
兄も叔父叔母も義父母も大切だが、わたしを必要とせず、わたしがいなくてもやっていける。
ママリンはわたしが先立ったら瞬時に死ぬと宣言した。本当にやりそうだと、今なら思える。


わんこは私以外に懐かないので、辛うじて生きていくための最低手段としてママリンか夫を利用しても、決して満足を得ない。
可愛過ぎ。でも、わたしもるーが死んだら、生きていけないくらい悲しい。其れを補うのが夫だ。
夫は必死に今償っている。よく分かっている。でも苛めてしまう。
やりきれない重い思い、秋は一層物思いを誘い、辛い季節だ


駆け込み見舞いが相次ぎ、おまけにモバイルのバッテリーがイカれ、いいこと無しのわたしに、今日の夕方衝撃が走った。

いつもTVを見せてもらっているオッチャンが、わたしのケツを撫でるので、Tバックを自慢したら、とんでもないものを披露してくれた。

「お前がいっつも楽だ言うとるで、俺もネットで買うてみたわ」
「何を?」
「これだわ、これ!」

Oh! My god~~~~~~~~~~~~~~~~~!

「何言うとんのだ? おおまいが?」
「嗚呼神様って叫んだの!」
「そうか、神様にも見せたるか? ええだろ? これ?」
「なんだそりゃああ~~~~!?」
「ええだろ? 俺も若返るわ、ははは」

オッチャンは自慢げに言う。わたしは慄く。見せンでいい!!!


こんなものがこの世にあったのか!? 知らなかったのはわたしだけで、真面目な面して経理やってるアイツモソイツもこっそりこんなものを穿いているのか!?

何だか世界が広がった。
この世にはわたしの知らない禁断の領域が一杯あったのだ。嗚呼わたしなんてまだまだ小娘ね。

と、泣き寝入りした夜が明けたか明けないかの午前四時、同室の横井おばちゃんにたたき起こされた。


「はるちゃんっ!!!!」
「はいよ~?」
「ちょっとっ、外見てよ!!!」
「へいへい???」
「曇っとる!!!」
「はあ???」
どうも横井おばちゃんは、自分が退院するめでたい日に、お日様が祝福しないのが気に入らないらしい。
そういわれても……。

「許せん!!! あたしが退院するってのに!!!」
とセツおばちゃん。ちなみに呼びかけるときは皆「ヨッチャン」、いないときの三人称は猛烈おばちゃん、怖いのだ。

ついでに九州訛りが強くて、何喋ってるかまったく分からん。
なのに相打ちを間違えると、叱られる。否定形で返事をすると、怒鳴られる。
食事の内容が、わたしは痩せ方なので同じカレイでも唐揚げだが、おばちゃんには煮付けだったりすると、怒る。

やっとご機嫌取りから解放されるときを抜いていたら、朝っぱらから怒鳴られた。

デイルームに一人で行くと、スモーク仲間が聞いてきた。
「どうだった?」
「今日くらいは機嫌いいだろ?」
「なんて難癖つけた?」

「曇っとる!!!……だって……」

皆に笑いをくれて有難う。
なんて明るい癌病棟。
貴方のおかげよ、よっちゃん。

そんでママリン、甘~~~~いケーキの数々有難う。
自分が食べたかったのね、そいで皆に配って人気者になりたかったのね、実の娘のわたしが甘いもの食べられないと知っていてこんなに買ってくるなんて。

しかし、ママリンはやはり娘思いだった。
こんなのまでしっかり買ってきて、「着て見せて」とせがむ。
親の頼みだ、一丁穿いたるかい!
って訳で、今ひらひらTバックです。

誰が正気か?
此処にいると、誰が正気で誰が狂気か、分からなくなる。
患者は当然のように吐くし、他人の食べ残しを回収に廻る。
ナースやヘルパーは愚痴るだけで叱らない。
其れが此処の治療法らしい。

前この病院の違う病棟にいたときは、心療内科で、認知症の人が多く、オムツの臭いなんかが厭で、文句を言ったが、此処は違う。

まともな人間がいない。

昨日月曜だったからか、面会者が誰一人いなかった
わたしのママリンだけだった。
来るなといっておいたのだが、ママリンは毅然とやって来た。

だって、わたしも一緒に戦わないと、あんただけじゃあ、また、何も知らない癖にって文句言うでしょ

ああ、わたし一人ぼっちじゃなかったんだ……過去のことや出生、血の繋がりなんてどうでもいい、この泣くだけだった優しい人は、強く、逞しく、そして以前優しかった

食事はプレイルームで摂ることにした。
あまりに強烈な臭いと光景に圧倒され、私は珍しく負けた。
因みに今日は、こんな感じ……ウフッ♪
黒tバッックだワン。
って、ふざけてる場合じゃない、又やりやがったのだ、りかちゃんが。

真夜中に突然泣き出して、人騒がせて、挙句に
「こっちこないで!!!死んでやる!!!」
と喚き、ホントにスカッツ……!

勿論マジで死ぬ気なんかない。リンゴ剥くナイフで手首横に切ったって死ねない。
承知の上で、やるのだ。
ナースの気を引きたかったのだろう。
わたしという新入りが入ってきて、ナースと仲いいから。
縫うほどもない程度の傷だったらしい。唯、入院時にやった傷に重ねたから、縫い直しになっただけ。
馬ーーーーーーーーーーーーーー鹿
としか言いようがない。

だってだって、彼女は知っていないのかわざとなのか、工学治療費を親に払わせ出ている。何度も書いたが、自傷行為は保険適用なし、加えて二百%の加料がある。
今日だけで親はプラス五万円は払うだろう。

そう言うと、「知ってるよ」と呆気羅漢。

「親への復讐なんだ、あたしを全然構ってくれなくて、成績が著落ちたくらいで、塾増やすし。それも数学が五から四になっただけだよ。十分いいほうじゃん」
「でもさあ、親は全然気付いてないと思うよ、あんたの復讐に」

リカは凍った。

「だってね、親なんてのは産み捨てる権利だってあったわけよ。其れをお情けで此処迄育てた貰ったんでしょ。もう充分ってのは、親のほうが思ってンじゃねえの? 好きでお前を産んで育てたんじゃねえって、親の言い分よ」
「そんなんあり? だってあたし隙であの人たちの家に生まれたわけじゃない! あの人たちのSEXの結果でしょ!? 責任あるじゃん!」
「あたしは生後二日で施設入りしたけどね。あんたは手元に置いてもらえたんでしょ? それってわたしから見ると羨ましいけどな」
「あたしは姉さんが羨ましい! 一人で生きて行けるもん! もうこの身体なら売れるもん!」
「遅いって、今の流行はね、ランドセルの小学五年生をバックでヤルの」
「……何よ、オッサンはアタシのパンツ目の前で脱いだの二万で買ってったよ」
「セーラー服好きだっただけでしょ? あんた、単に家のトイレでは句の禁止されて困って、リスカしただけだろ? 本とに死にたいなら、ホレこうしてみな」

わたしは自分の切腹痕を見せた。
リカはまたも絶句していた。だが今度はじっくり見た。触った。
盛り上がり熱をもつこの傷痕を。

「姉さん本気で死にたかったの?」
「違う、わたしはわたしを殺したいだけ。死ぬ気はない」

リカは笑った。明るい声だった。五時間前のあの釣りあがった目とは全く違う、ロリコン好きならたまらないであろう、大きな丸い目を細めて笑った。

「姉さん、分裂してる」
「そう、わたし多重人格だから」
「あ、其れ夕べTVでやってたよ、実録多重人格とかって」
「触り覗き見したけど、あんなのまだ軽いよ」
「姉さん見てるとそうだね」

今度はわたしがガクッとした。

「姉さんころころ変わるもん。話し方や声まで変わる。ああいう時って自覚あるの?」
「ない、あったら止まる」
「そっかあ~~~!きゃははっ!」

笑うなよ。

そのためにわたしはここの放り込まれたのだ。
此処は一般病棟じゃない。鉄柵が窓に嵌った、更生施設だ。アル中、パチスロ中、ヤク中、過食嘔吐、拒食、過食、自傷行為常習者など、家庭ではもうどうにもならなくなった者を寄せ集め、一気に薬漬けにし、ヤクやアルコールやパチンコを抜き、摂食障害者には互いの醜さを見せ付け合い、自殺常習者にはその経済的負担を思い知らせ、治していく荒療治の病院だ。

わたしが子供の頃、気違い病院といってたこの病院に、今わたしはいる。

その事実だけでも充分にお仕置きだ。
今日は担当医が来る。午後になるが聞いてみよう。

何故、わたしは此処に入れられたのか?


小児病棟。
まだあどけない子供達の心が病んでいる。

昨日知り合った、十一歳で早くも過食嘔吐のかなり進行したヒロコは、今現在23キロ、骨と皮だ。
其れでも彼女は自分を綺麗だと言い張る。
点滴も引き抜く。糖衣錠も洗ってから飲む。
そのくせ、滅茶苦茶大量に食べる。
母親が買ってくる菓子やら甘いパンやらを食って食って食い捲くる。
そして吐く。
やはり本人は誰にも知られていないと考えているようだ。
食べて、其れも吐きやすい菓子やパンやハンバーガーを母親に買ってこさせ、病院の食事を母親に食べさせ、吐きにトイレへ行く。

リカと似ている。

ただ、ヒロコは罪悪感の欠片も無い。幼さの所為だろう、両親が抱える経済不安を全く考慮していない。
昨日ヒロコが吐いているとき(通常三十分は掛かる)母親に訊いてみた。

「今日だけで幾ら使いました?」
「……五千六百円くらい」

五千六百円が安いか高いかは、個々の経済状態に因るが、わたしは毎月の食費が参禅を上回ったことが無いので、高いと思う。

???と思われる方へ。
過食嘔吐中でも、ずーーーーっとわたしはお勤め品しか買わないし、パンは耳だったし、バナナも五十円で一パックのだし、米は食わない、加工食品は食わない、安い減量で自作していた。だから安くて済んだ。
これは一人暮らしを早くから始めた所為だろう。いや、お陰、か。

だからヒロコ一人で一日平均五千一寸というのは高すぎると思う。
実際、父親は怒っているらしい。

「吐くなら食うな!!!」
「分かった、食べない」

その繰り返しで、ヒロコは超拒食と超過食を交互にして、学校からも言われているという。
「異常です、給食は絶対食べません」
と、担任に言われ、母親は思い余って打ち明けてしまった。
「あの子、食べては吐くんです」
「過食嘔吐症ですか? わたしの手には負えません、入院させてください」

ああ、やっぱり。わたしの感想。
自分の担任する児童に死なれては困るのだ。しかも、殺人や事故ならいいが、精神疾患などで。

「校長から許可を貰った」
「出席しなくていい」
「何とか平均体重の一割減まで戻してくれ」
「中学までに治さないと内申書に響く」

責任逃れの脅しだ。
ヒロコの両親は、この言葉で参ってしまい、此処へヒロコを放り込んだ。
父親は一度も着ていないらしい。
母親はパートを病院近くの店舗に変えてもらい、その廃棄を持ち、安売り品を買占め、毎夕やってくる。
夕方に一日分の食糧を買ってやってくるのだから、凄い。

母親はキティちゃんカートを引いてやってくる。リュックも背負っている。
中身はといえば、吐き易い三つで百円のコロッケ、百円均一菓子、ツナ缶、そして賞味期限切れの大量のパン。

潰れていても平気だ。味なんてヒロコは構わない。おにぎりを買ってきたら激怒したという。
「ご飯は喉に引っかかってやだ!!!」
自白したようなものだ。

それだけ幼いのだ。なのに痩せ願望は膨らみ続ける。
わたしから見ると、やせ願望の強い子は、ぽちゃぽちゃのものに惹かれる傾向にある。
例えばぬいぐるみ、キティちゃん、ピカチュー。
どれもお世辞にもスマートといえない体型だ。
痩せたいくせにくびれの無いものを可愛がるのは、どこかぎこちない。かみ合わない。おかしい。

「わたしを見て嫌がるんです」
母親が言った。
確かにお母さんはぽっちゃり型。ついでに撫で肩、出っ腹だから、サザエさん一家のようだ。
ヒロコはそんな両親の体型を恥じているようだ。

「友達に、お誕生日会のとき笑われた」
と、機能の朝いっていた。出会って直ぐだ。出会って直ぐから、ヒロコは両親の悪口しか話さない。

裏返しだろうか?

本当は忙しい両親に構って欲しいのでないか。甘えたいのではないか。
そう母親に言った。すると……。

「あの子がそんな可愛いこと思うはず無い!!!」

まるで、知っているのに知らぬ振り決め込んでいて、その痛いところを突かれたような反応だった。
皆が可哀想だ。
救いはいつかくるのか、先に誰かが死ぬだろうか、それとも……。

「わたし、あの子を殺すかも知れない。だから入院させたの」

母親が本音を漏らした。
もうやっていけないという。自分のパートの日給より高い食料を娘に食わせ吐かせている、その異常事態に、母親はもう耐え切れないのだ。
父親は詰るだけ。
どこも此処も同じらしい。

退院後は知らない。無責任だが引き受けられるほどの度量を、わたしはもたない。
神様に聞いてみた。

わたし達を愛してる?


横井の叔母ちゃんが退院してから、一昨日の月曜日、新入りが来た。
思い切り弾けている、女子高校生だ。

可哀想なくらい、食欲がある。寝ても醒めても食べのもので頭が一杯、というか、寝る間も惜しんで食べている

はっきり言って、デブ、だ。
過食嘔吐しているのに、吐きタコまでできているのに、上手く吐き切れず、太るのだと泣く

「なら食うな」
の一言しかない。

ああも人は食欲に支配されるものか、と、改めて過食症の恐ろしさを思い知った。
兎に角、食う。
食って食って食い捲くる

わたしの食べ残しやグリセルダの残飯はもとより、リカのお菓子を盗み、果てはカーゴ内の誰かの残飯を漁り、ついに売店で万引きした
どうしてもポッキーが欲しいの、マロンは今限定なの

は???? と、思っていたら、草薙のトドが説明してくれた。

「毎年、月見バーガーみたいに期間限定で発売されるポッキーなの。毎年各メーカーが競い合って秋の味覚を刺激するの。ついでに職種も疼くのよ」と。

う~~~ん、月見バーガーは分かるが、ポッキーが罪を犯してでも欲しがるべき価値あるモノなのか???
あたしも好きだよ、毎年盗むモン」あっけらかんとリカは言う。

誰が正気で、何が正しくて、何が狂っているのか、分からなくなった。
わたしが十六年も過食嘔吐をしてこられたのは、多分、人間として最低のレヴェルを保ったからだと思った。

もし一度でも万引きしたら、癖になり、金も掛からないので止め処がなく、際限なく食べて吐いてしていただろう

そりゃあ、自費でも朝から晩まで食べていたのだ。唯、出費を恐れて、廃棄品やらお勤め品やら、飲食店で客の残り物やらを掻き集めて、食べて吐いていた。

屈むだけで吐けた。もう条件反射だ。食べれば吐く、おかしな習慣が自律神経の一部となり、呼吸と同じ感覚で無意識に吐いていた。

辛くは無かった。喜びに溢れた毎日だった。毎日毎日飽きもせず、パンの耳でサンドイッチ作って、マヨネーズたっぷりにして、はちきれるほど食べて食べて、吐いた

そして痩せた。

羨ましいといっていた人が、だんだん遠ざかり、最後はコンビニ来店拒否された。
あんたが触ったモン、気持ち悪いから全部買ってってよ、もう二度と来ないでくれる? 他のお客が気味悪いってさ
わたしは金を払っても来るのを拒まれる存在になっていた。

ぞっとする骸骨顔だ。でも、其れが美しいと信じていた。ママリンの姉と間違われるくらい老けて見えてたのに。

今は拒食状態。子供の頃、施設でのマナーが厳しく、食事の時間は即お仕置きの時間へ直結していたので、食事の時間が嫌いだった。

給食もいつも残していた。そんなわたしが何故か食嘔吐に走ったか?

実は自分でもわからない。吐くために詰め込んだ食べ物は、確かに其のときは美味しかったが、今食えといわれたら絶対拒否するだろう、高脂肪、高カロリー、栄養ゼロのものだ。
うん、拒食は繰り返すにしても、過食はもう絶対やらない。この入院でつくづく思い、誓った。

あんなおぞましい真似は嫌だ。食べて吐いたものをまた食べる、其処まで落ちなかったが、今度過食したらやらないとは限らない。
糞尿の沈むポータブルトイレに顔を突っ込み、糞の上に吐き、其の原型の残る吐瀉物を手ですくって口へ運び、噛み締め、嚥下する……嫌だ、絶対嫌だ!
何より、わたしとこの世を繋ぐ三大原因達のため、すべての北房を此処の拭い落として、退院してやり直そう。
まだ間に合う、わたしはまだやれる。
信じている。誰でもない、自分を。


退院の朝は。

退院者の恒例、朝のコーヒーミルクパックを喫煙&屋上仲間に奢ること。リップサービスも無料でした。
わたしの時給は高い、大盤振る舞いだ。ジョークの嵐だ。
リカはケタケタ笑っていた。こんな笑顔、親にも見せなくなってどのくらい経つのだろう。

リカはわたしを「透けパンオネエ」と呼ぶ。わたしの言うことはよく聞いてくれる。

今日も不味そうな病院飯を美味そうに食べていた。其の後菓子。んで嘔吐。今日もリカは変わらない。少し自暴自棄気味だった。
温かいご飯や味噌汁など、小学三年で塾通いが始まってから食べていないそうだ。

ママリンはが手作りポテチをキティちゃんのセロファンで包み、夜食用の三色おにぎりと一緒に、プレイルーム仲間に差し入れした。
「毒入ってないかあ~~~」とかいいながらも、皆上辺は喜んでくれた。内心はわからない。こんな風に親を含めて他人全員を疑うようになって、わたしもどのくらい経つだろう。

リカには、わたしのようになって欲しくない。騙されてもいいから騙して欲しくない。酷なことを言うが、身勝手なことをほざくが、もう人格崩壊を見たくないのだ。
最後にリカと屋上へ行った。新入りもついてきたがったが、断った。
リカと話があったのだ。

「君さ、自分は頭悪いって言うけど、あややの歌はフルコーラス覚えてンじゃん」
「だって好きだモン」
「好きなものなら覚わる頭は、悪いとは言わない。認知症や精神薄弱の人に失礼だ」
「だって皆あたしを馬鹿だって言うよ」
「なら言い返せ、日本語が出来て英語できない道理はない。此れからど~すンだ? 何時までも入院してたら、単位落とすぜ。落第したら、ガッコ辞めンだろ。其の後ど~するよ? 悪いがわたしは忙しい。今まで見たいには面倒見てやれねえ。自分で生きられっか? できんっつーてもするっきゃねえけどな。やるな? 自分で。入試が待ってンだぜ、のんびりカショっている暇はねえ」
「だって出来ないもん」
「命令、二度とわたしの前で、だって、を使うな。もう一つ、わたしは出来るか出来ないなど訊いていない。やるかやらないかを確認している。どうだ?」
「だっ……あ、そんなん無理だって」
「無理かどうかは入試が決める、君はやればいいだけ。努力はダサい? 失敗したとき格好が悪い? いいじゃん、笑われたって、どうして怖がるよ?」
「これ以上惨めになりたくないもん」
何もしない今が、君の人生のどん底だよ。でも人生ってのは底なしでね、もう此処が最低最悪だと思っても、もっともっと考えもしなかった悪いことが湧きあがってくる。今は序の口、君はこのままだと今想像もできないくらいの惨めさを味わう」
「先生は何のかんの言ったって勝ち組みじゃん、落ち零れの気持ちなんて……」
「痛いほど分かる。わたしだって落ち零れてた。今なんか君の数百倍悪い状況にいる。わたしには父親がいないし、頼る人は誰もいないし、皆から嫌われている
「ンなことないよ、此処でだって楽しそうだったじゃん」
君はまだ他人を信じる余地が残っている。わたしにはない。今君と話していても、わたしは君を信じていない
「キッツ~~~」
「世間ってのはいつだってキツい。こんな現代に生まれた不運を呪って、諦めてダサくカッコ悪く目一杯努力しろ。今やらずに逃げたら、逃げ癖が付く。逃げ癖がついた奴は、人生絶対負ける。何やったって、宝くじで三億円当たったって、其れは負け、自分の手で勝ち取ったもの以外、この世で確かなものはない
「もういいよ、聞きたくない。今日変じゃん」
「時間がないから急いでいる。わたしの五年後生存率は低い

会話も時間も止まった気がした。
そう、わたし自身、認めてはいるが他人に告げたのは初めてだ。母親も知らない。

「わたしはこの五年後生存率ともう十五年も付き合っている。だから、いつも、今だけ見ている。次の瞬間死んでも後悔しないよう、蛆虫の悪あがきを精一杯している。とっても惨めだぜ」

この惨めさは、確かに余命宣告された人間以外分からないだろう。
わたしは試験に合格しようと法律を学ぶ。其の試験の日まで生き延びているか否か不確かなのに、がむしゃらに気張っている。
其れがどれほど残酷で、虚しくて、馬鹿げているか、自分が一番知っているが、頑張り続ける。

棺桶の中で後悔したくない、それだけでいいだろ、頑張る理由なんて

ほそっと漏らした、わたしの本音は、リカの心に少しだけ響いたようだった。

明日がくるかどうか分からないのは、命あるもの皆同じ条件だ。元気も事故死するし、病気でも事故で生き残るし、自殺を試みても失敗するし、生きようと臨んだ手術は失敗する。
わたしの馬鹿は、死んだら治るだろうか。