Sunday, June 22, 2008

摂食障害

摂食障害(Eating Disorder)


世間では「過食」や「拒食」と言われていますが、正式には過食の方を、神経性大食症(Bulimia Nervosa)別名ブリミア拒食の方を、神経性無食欲症(Anorexia Nervosa),別名アノレキシアと 言います。アノレキシア(拒食)からブリミア(過食)への移行はよく見られますが、ブリミア(過食)からアノレキシア(拒食)への移行はあまりありませ ん。しかし、病歴を取ると、ほとんどの場合、ブリミアの前段階にアノレキシアの時期があります。ですからまず、アノレキシアを理解することが大切です。


病前性格は、完璧主義・強迫性という傾向です。強く完璧を求める背後には低い自己評価が根底にあることも少なく ありません。彼女達は(患者は圧倒的に女性が多い。)体重のコントロールで、意識するにせよしないにせよ、自己達成感を感じているところがあります。です から単純に「食べろ」「食べろ」というメッセージによる働きかけは、彼女達には無効です。特に、当初の「食べない状態」から「食べられないからだの状態」 になってしまった段階においては、これらのメッセージは、「もっと苦しみなさい」と同義の残酷さを持ちます。ですから援助する側は、まず彼女達が摂食障害 になってしまった背景にある、自己不全感への共感が大切になります。痩せがはじまると(低体重)、しばらくすると生理が止まります(無月経)。痩せていく姿に、まわりは心配し、ひたすら食べることを進めますが、彼女達の肥満恐怖感、やせ願望ボディーイメージの障害(がりがりの状態でも自分ではまだ太っていると思っている)の前には、私達のメッセージは多くの場合、馬耳東風となります。食べることのできない状態であるにもかかわらず、勉強も部活動にも、精力的に取り組みます(過活動)。しかしその裏では、指をのどに入れて吐きだこができるほど吐いたり(自己誘発嘔吐)、下剤の使用も躊躇しないケースも多くあります。(浄化行為)。



摂食障害には、これといった決め手になる治療法はないのが現状ですので、精神療法・精神分析療法・薬物療法・認知行動療法・家族療法など、いろいろ組み合わせていくことになります。治療の目的は①社会生活で対人関係の適応も良くなり、普通の状態の自分で良いのだと思えるようになる。②体重、食行動、月経の正常化 というところになります。いずれにせよ、自己不全感の解消がひとつの鍵となります。

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