Thursday, February 16, 2006

鬱病を楽にしよう~参

11、何故、医学的治療で心の病が治るのか?

先ず第一の理由は、脳細胞を死滅から守るから、だ。

此れは、積極的治療というよりは、悪化を止めるものだが、欝病の治療に欠かせないものだ。
欝病の人はコルチゾール濃度が高く、これに対して早く手を打たないとコルチゾールが脳細胞をどんどん壊してしまう

コルチゾールが増えるのは、扁桃体の興奮を受けた副腎が、コルチゾールを作り続けるからだ。
この経路は、
扁桃体が興奮する→脳の中の視床下部がCRFを放出→脳下垂体がACTHを放出→副腎がコルチゾールを放出
というリレーになっている。

ということは、扁桃体から副腎までの間の経路のどこかをブロックしてやれば、コルチゾールを止めることが出来る。

本当は扁桃体を直接止めることが出来れば良いのだが、今はその方法が見つかっていないので記憶が薄れるのを待つしかない。
扁桃体は過去の不快な記憶を反芻して興奮しているらしい。

さて、今すぐコルチゾールを止めるために取れる手段は以下の六つだ。

ホスファチジルセリンを飲んで、更に、脳下垂体がACTHを出すのを止めさせるリローラを飲み、コルチゾールを止める
作用機序は不明だが、コルチゾールが三十七%減るらしい。

扁桃体が興奮するようなことをしない。
やるべきことを減らし、マイナス思考が浮かばないように気を紛らわせることをする。
ガムを噛んで脳下垂体がACTHを出すのを止めさせる。
充分な睡眠を取る。
カフェイン等の刺激物を摂るのを止める。

これは難易度順になっている。

ホスファチジルセリンやリローラを飲むのは、カプセルを飲むだけだから簡単
ガムを噛むのは忘れがち、睡眠は寝付けない・眠れないという症状はそう簡単に解消できない。
カフェインに至っては、急に止めると禁断症状が出るので、そう簡単には使えない方法だ。
それでも徐々に減量して欲しい。

なお、コルチゾールの濃度は朝が一番高く、以後徐々に下がる
ホスファチジルセリンとリローラを夜だけ飲まないメニューにしてあるのは、はもともとコルチゾール濃度が低いからだ。

但し、それは普通の人の場合の話。

欝病の人は慢性的にコルチゾールが高いままという特徴があるので、気分が重いときはいつでもホスファチジルセリンとリローラを飲んで構わない

欝病の人の気分もまた、朝が最悪で、夕方から楽になるが、コルチゾールが多ければ単純に気分が重くなるという、相関関係を証明した実験結果はまだ見たことがない。
両者のサーカディアンリズム(概日リズム)がたまたま一致しているだけかも知れない。


12、医学的療法が心の病に効く理由

次に、思考力・記憶力を取り戻すから
此れも、思考力や記憶力を取り戻すから欝病が治る、という意味ではなく、欝病の主な症状である思考力・記憶力の減退をカバーすることで当座を凌ぐ、という程度の意味だ。

決して積極的な治療ではないが、特に欝状態が酷い場合は、思考力がなさ過ぎて欝病を克服しようという気力さえもない場合があり、まずは治る気になるという基本中の基本のために、思考力を取り戻すのは治療の一環とも言える。

此処でも悪影響の原因はコルチゾールにある。
コルチゾールは脳全体の神経伝達物質のリレーを邪魔し、海馬の糖代謝を邪魔する。
脳全体の神経伝達が邪魔されるということは、「考えがまとまらない」という状態になって現れる。

また、海馬の糖代謝が邪魔されるということは、海馬の働きが鈍って記憶力が悪くなるのとイコールである。
脳細胞のエネルギー源が主に糖だからだ。

極端な例として糖尿病が挙げられる。
糖尿病の人は、血糖値が低くなりすぎた時に、意識が混濁したり昏睡状態に陥るが、それは脳細胞に糖が届かなくなるからだ

よって有効打は、ホスファチジルセリンによるコルチゾール抑制である。
あわせて血流を活発にして脳に多くの糖を送り込むことも有効。
例えばガムを噛む、ギンコを飲むなどだ。

加えて、扁桃体の抑止力を用意するからという理由も在る。
此れは本質一歩手前くらいの有効打だ。
欝病のきっかけは、扁桃体の慢性的な興奮である。
そして、扁桃体が興奮して、コルチゾールが高い濃度のままになった結果、扁桃体のブレーキ役である前頭葉への血流が抑えられ、扁桃体の暴走がさらに続く。

つまりコルチゾールは、危機からの肉体的な逃避、には有効であっても、落ち着いて判断して危機を回避するためには、向いていないホルモンなのだ。

扁桃体を直接止める方法は今のところない
だが、脳の血流を回復させることで前頭葉の働きを復活させ、扁桃体への抑止力として再び動かすことは期待できる。
そのためのギンコとガムだ。

13、医学的療法が心の病に聞く理由

脳細胞を再生するから
此れは、慢性的な高コルチゾールで壊された脳細胞を修復するという意味で、積極的な治療の部類に入る。

手段としては、まず脳細胞の材料となるアセチルカルニチンを補給すること。
次に脳の血流を活発にして、アセチルカルニチンを脳にどんどん届けること。
基本的な栄養であるビタミン、ミネラルを摂って、代謝を正常に戻すことも、遠回しではあるが脳細胞の再生に貢献する。

なお、血流は早ければ早いほどよいという訳ではない。
例えば運動をすると血流が早くなって酸素や各種栄養を細胞に多く補給できるようになるが、心拍数で言うと一分間百二十拍以下で無ければ逆効果になる。
其れ以上になると血流が早過ぎて、細胞が酸素や栄養素を血液から取り込む前に素通りして行ってしまい、細胞が酸欠、栄養欠乏状態になってしまう。

また、肉体的にハードな運動、具体的にはボディビルなど、一時的に筋肉を壊す強度の運動を行うと、コルチゾールの濃度が上がる。
コルチゾール濃度を下げるホスファチジルセリンが、スポーツ用食品を扱うウィダー(森永製菓)から出ているのはそういう理由なのだ。

多過ぎるコルチゾールは脳にダメージを与えるだけでなく、筋肉を壊して発達を妨げる働きもあるため、ハードなトレーニングを行うボディビルダーはホスファチジルセリンを摂っている。

コルチゾール濃度は勿論欝病にとってマイナスになるので、いくら血流を良くすれば脳細胞の再生に貢献すると言ってもハードな運動をしてはいけない。

脳への血流を増やすには、ガムを噛む等の咀嚼も有効。特に咀嚼では海馬の血流が増えることが分かっており、慢性的なストレスで痛んでいる海馬の修復に有効ではないかと期待できる。

14、欝病が治っていく過程

安心と意欲を取り戻すことが、必要だ。

具体的には、セロトニンとノルアドレナリンの補充である。

但し此れらの不足は、欝病の原因ではなく結果の一部であり、ましてや抗欝剤でセロトニンとノルアドレナリンの再吸収を防いで、見かけ上の濃度を上げるだけでは、欝病の根本原因は解消されない

本当に治療するためには、セロトニンやノルアドレナリンを不足させている原因、を根本から取り除かねばならないのだ。

具体的には三つの各手段が採られる。

セロトニンとノルアドレナリンの材料=アミノ酸を確保する。
ノルアドレナリンの枯渇を防ぐ(使いすぎないこと!)。
セロトニンをより多く作る習慣を持つ。


以上だ。
一つ目にはセロトニンとノルアドレナリンの原材料であるアミノ酸を充分な量摂ること。
つまり蛋白質を多く食べることだ。

此処でアミノ酸の基礎知識に触れておく。

アミノ酸が沢山集まったものが蛋白質であり、人間の細胞は基本的には蛋白質の塊である。
そして、体を作る、つまり細胞を作って新陳代謝し、壊れた細胞を新しい細胞と入れ替えるには体の外部からアミノ酸=蛋白質を取り込まなくてはいけない

蛋白質は消化することでアミノ酸に分解されて肝臓などに蓄積され、使われるのを待つ。
このとき、人間が体内で合成できないために、外部から取り込まなければならないアミノ酸が九種類必要であり、これらが必須アミノ酸、と呼ばれる。

ということは、人間にとっての蛋白質の品質とは、この九種類のアミノ酸が不足なく含まれているかどうかということになる。

其れを数値として評価するものがアミノ酸スコアで、百に近いほど品質が良いということになる。
プロテインを買う時に、アミノ酸スコアが百に近いものを選ぶのはこういう理由だ。

セロトニンの材料は必須アミノ酸の中のトリプトファンノルアドレナリンの材料は同じくトリプトファンとフェニルアラニンである。

此れ等必須アミノ酸が足りない場合は、如何に抗欝剤を飲んでセロトニンやノルアドレナリンの再吸収を防いで有効利用されるようにしても、そもそもセロトニン類の絶対量が足りないため、欝状態は改善されない

そして、欝病の人はただでさえ食欲がないので、アミノ酸が足りなくなっていることはほぼ間違いない。

因みに、蛋白質の一日必要量は、体重一Kgにつき一g
つまり、男性なら一日に六十~七十gは必要なのだが、これは正常に食事をしていてもまかなうのは難しい量なのだ。

更に蛋白質には品質というものがあり、いかに蛋白質を大量に採ったとしても、その中に含まれるトリプトファンとフェニルアラニンが足りない場合は、セロトニンやノルアドレナリンを作ることができず、欝状態から抜け出すことはできない。

また、プロテインと一緒の食事で、炭水化物をメインに食べるメニューにしてあるのは、セロトニンの原材料であるトリプトファンを脳に届けるときにブドウ糖が必要だからだ。

15、鬱病にはとにかく休養を

二つ目には、ノルアドレナリンの枯渇を防ぐ
というのは、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの、意欲や快感に関わるカテコールアミンと呼ばれる神経伝達物質類は、使うと減る、のだ。

そしてカテコールアミンの生産速度には限界があり、作るよりも消費する方が早ければ神経伝達物質は枯渇する。
具体的には、ストレスがかかった時、不眠が続いた時などだ。
このような事態が続くと次第にやる気が失われていく。
これをカバーすることで欝病からの復帰を早める。
そのために休養が必要なのだ。

やる気があるということは、やる気ホルモンであるカテコールアミンを消費しているということだ。
常に意欲満タンということは、原理的にあり得ない
消費したカテコールアミンの補充のためには、意欲のないままに過ごす時間が必要なのだ。

なお、セロトニンの方には生産速度の限界がなく、材料であるアミノ酸さえあれば枯渇することはないと言われている。

三つ目には、セロトニンをより多く作る。
本来はノルアドレナリンも多く作りたいのだが、現時点ではその方法が分からない。

欝病の人の生活は、セロトニンを作るような行動が欠けていることが多い。

具体的には、一秒二回のペースの反復運動を五分以上続けることと、二千五百ルクス以上の明るさの環境に五分以上いることで、セロトニン生成器官である縫線核を刺激して、セロトニンを作らせる

早い話、運動不足と日照不足が欝病の遠因だ。

反復運動は、歩くこと以外にも咀嚼や眼球を左右に動かすことでも良い。
ガムを噛むことを勧めるのは、こういう理由である。

に関しては、蛍光灯の明るさでは足りないが、日光であれば問題ない。
逆に言えば、日光の入らない部屋にいるとセロトニンが不足しやすい。

北ヨーロッパなどでは季節性欝病といって秋から冬に欝病患者が増えるが、その理由は日照時間が足りないからだと言われている。

日光を受けると、視覚から縫線核に刺激が行って、セロトニンの放出が始まるが、同時に交感神経が優位になり、意識の覚醒が始まる。
つまり副交感神経から交感神経への切り替えは光によるのである。

人間の生体リズム(体内時計)は二十五時間制だ。
実験では、外界と遮断した常に一定の明るさを保った場所で、時計を見せずに過ごすと、十二日目に昼夜逆転し、二十四日目に丸一日ずれて、元に戻ることが分かっている。

体内時計のリセットは日光を浴びることで行われているのだ。
逆に言えば、日光を浴びないと目がすっきり覚めない

どうか、鬱病と診断され、とにかく眠れといわれた方も、少しだけ治そうという気力が出てきたら、とにかく朝八時にはいったん起床して、朝日を浴びて欲しい。
其の後はまた安心して眠ってください。
体内時計のリセットは、なるべく行ったほうがよいので、無理のない程度まで来たら、一日に十分間だけ、外に出てみよう。
それだけでいいのです。

以上で、鬱病治療について、自分で体験し、医師と相談し、投薬した結果の報告を終わります。
長々と付き合う頂きました皆様、誠にありがとうございます。
これからも、わたしの鬱病は続くので、また自己人体実験結果報告をいたします。

取り敢えず、此処まで。

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