医学的見地から
タバコや薬物の依存症をワクチンで治療。
もっとクスリが欲しい、というのが薬物中毒(依存症)者の唯一の願いだ。だが、薬物依存症に対する新しい治療法のアプローチは、まさにその願いを実現するものなのだ。
しかし、この治療で使われるクスリは、依存症者が望むような効果はもたらさない。それどころか、まったく正反対の効果を服用者にもたらす。こうした抗依存症薬は、コカイン、ニコチン、メタンフェタミン(覚醒剤)といった薬物が脳に入り込むことを阻止し、ハイな感覚をもたらす引金となる快感受容体と、結び付かないようにするのだ。
依存症を緩和する薬品を誰よりも早く開発しようと、競争が始まっている。世界中の研究者たちは、基本的にはワクチンを使った戦略により、依存症の症状を抑えようと躍起だ。こうした治療法は、薬物依存症の治療法を飛躍的に改善するものだと、研究者たちは述べている。
米ナビ・バイオファーマスーティカルズ社で臨床・医療・規制関連業務担当上級副社長を務めるヘンリック・ラスマセン博士は「接種後もタバコを喫うことはできるが、何も効果が得られなくなる。
何も良いことがなかったらそうした行動を取らないだろう、という考え方だ。
喫煙者の大部分は、ほんとうのところ、タバコをやめたいと思っている。禁煙を促す手段さえあれば、タバコはやめられる」と述べた。
同社のニコチン用ワクチンは、米食品医薬品局(FDA)が定める三段階の臨床試験の第二段階に入っている。
専門家たちは、依存症に関する従来の治療法にはまるで効果がないとしている。
米疾病管理センター(CDC)によると、五千五百万人はいる米国内の喫煙者の大部分はタバコをやめたがっているという。
しかし完全に喫煙の習慣を断ち切れるのは、年におよそ百万人しかいない。喫煙は、米国人の死亡原因のトップとなっており、年間あたりの医療費と生産性の減少額は、合計で千五百五十億ドルにものぼると、CDCは発表している。世界に目を移しても、世界保健機関(WHO)の調査によると、世界中で毎年五百万人が喫煙が原因で死亡している。
タバコへの依存は強力で、ニコチンのパッチ、無煙タバコ、心理療法などでは防ぎきれないと専門家たちは述べている。
このため、ニコチンのもたらす多幸感を除去する方法の研究が進んでいる。この多幸感があるために、喫煙者はガンのリスクをかえりみず、コカインやメタンフェタミンの使用者は、服用を続けるために犯罪に走ったりする。
「喫煙がどうしてもやめられない主要な理由は、ニコチンが脳に効くときに感じる快感を得たくてたまらなくなるからだ。そのため、禁煙して何年も経った人でさえ、またタバコを吸い始めるようになってしまう。あの快感を、もう一度手に入れたいと強く願ってしまうからだ」とラスマセン博士は説明する。
これと同じことが、コカインやその他のあらゆる依存性物質の場合にも当てはまる。
『ネイチャー・ニューロサイエンス』誌サイトに三月二八日付けで掲載された研究論文によると、コカイン依存症が、少なくともマウスの場合には、以前考えられていたよりも急速に発生することが判明したという。
この実験に使われたマウスは、コカインをたった一回投与されただけで、一年近くも依存症状態が続いた(比較のため、コカインの代わりにコンデンスミルクを与えたマウスは、三ヵ月後にはミルクを欲しがらなくなった)。
現在、各種抗依存症薬は臨床試験のさまざまな段階にさしかかっているが、そのすべてに、ほとんどのワクチンに使われている同じ技術が応用されている。
作業は、たとえばコレラ菌などが産出する毒素を無毒化した分子をもとに始められる。
この分子は、身体の免疫系によって侵入者と認識され、抗体に攻撃される性質を持っている。このキャリアー役の分子に少量のニコチンやコカインを付着させると、抗体がコレラだけではなく依存性薬物にも攻撃を仕掛けるようになる。
ワクチンを接種した後に、依存症者がタバコを喫ったりコカインを吸入したりすると、すでに血液中を巡りながら待ちかまえている抗体が、ニコチンやコカインの分子をつかまえる。
抗体が付着してしまうと、薬物分子はサイズが大くなりすぎて、血液が脳に入り込む関門を通過できなくなる。
このため、喫煙者やコカイン吸入者が期待するような心地よい快感が発生しなくなるという仕組みだ。
ロンドン近郊の製薬会社、ゼノバ・グループ社も、ナビ社と似た原理を使っている。
両社のワクチンの主な違いは、依存性薬物を付着させるキャリアー役の分子にある。
ゼノバ社は無毒化したコレラ毒素を、いっぽうのナビ社では、別の細菌が産出する『エクソトキシンA』という毒素を使っている。
ゼノバ社の製品のなかで一番開発が進んでいるのはコカイン用のワクチンで、現在、安全性と効力を検証する臨床試験が行なわれている。
ニコチン用ワクチンの開発者たちは、このワクチンが禁煙に役立つと考えている。ただし、禁断症状が激しいコカイン依存症を断ち切るためにワクチンが役に立つかどうか、科学者からは疑問の声も上がっている。しかし、いったん身体的な依存症状を取り除いた後ならば、依存症患者がコカインに手を出さないようにするためにワクチンがきっと役に立つだろうという点では、両者の意見は一致している。
「得られる感覚が非常に強烈なため、(コカイン)依存症者はクスリを人生の最優先事項にしてしまうほどだ。そして食物や睡眠といったもの――そして愛する人たちや道徳さえ――捨て去ってしまう」と、ゼノバ社のニコチン/コカイン用ワクチン開発プロジェクトの責任者、キャンベル・バンス氏は述べた。
ゼノバ社はコカイン用ワクチン研究の成果を、二〇〇五年はじめまでに出したいと考えている。また同社は、基本的に同じ技法を使ったニコチン用ワクチンに関しても、臨床試験の第1段階に入っている。
そのほか、カリフォルニア州サンディエゴのバイオテクノロジー企業、米アプライド・モレキュラー・エボリューション社では、ニコチンとコカイン用のワクチン開発に取り組んでいた。
同社はその後、世界的製薬企業の米イーライ・リリー社の傘下に入っており、ワクチン開発が続行されているかどうかイーライ・リリー社にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
一方、連邦政府では、依存症治療用ワクチンの市場には、さらに競合企業が参入する余地があると考えているようだ。
米国立薬害研究所(NIDA)では最近、ニコチン用ワクチン開発目的で、ネブラスカ州の新興企業、米プロミューン社に十万ドルの助成金を与えた。
薬品が臨床試験の審査を通過するのに五億ドル以上を要することを考えれば、この助成金は取るに足らない額だ。
しかしプロミューン社の最高経営責任者(CEO)で、ネブラスカ大学医療センターの医療短期大学で準教授を務めるサム・サンダーソン博士にとっては、臨床試験が可能な段階に到達するまでワクチンの開発作業を進めるための、少なくとも助けにはなる。
サンダーソン博士は13年前、ワクチンの土台の部分、ペプチドと呼ばれる合成分子の小さな集まり、を作り上げた。
博士は無毒化した毒素を使う代わりに、自らMIRADS(molecular immune response activator and delivery system分子免疫反応活性剤および配送システム)と命名したペプチドをニコチンのキャリアーとして使っている。
サンダーソン博士のワクチンの主な長所は、ペチプドが合成物であるため、他のワクチンと違って粉末状態で何年も保存できることだという。
同博士は、NIDAからもっと多額の助成金を獲得し、MIRADS開発を次のレベルに引き上げるのに必要な75万ドルにあてたいと考えている。
これまでのところ、このワクチンは動物実験では成功を収めており、メタンフェタミン用のワクチンも作成されている。
また、このペプチドは、ほとんどあらゆるワクチンの基盤技術として使える可能性があると、博士は述べる。加えて、生物テロ兵器用のワクチンを開発するため、米国防総省とも共同で作業を進めているという。
他にも、米ファイザー社では抗依存症薬バレニクリン(Varenicline)の臨床試験の最終段階に入っている。
この薬は、喫煙者が毎日服用する飲み薬で、脳内の受容体の働きを阻害する。この受容体は通常、タバコに対して正の強化刺激を与え、どうしてもタバコを喫いたいという欲求を発生させる。
しかし、この薬を喫煙者に服用させるのは難しいのではないかと述べる専門家もいる。
「ワクチンを使う手法のほうが、ずっと合理的だとれれわれは考えている。ヘビースモーカーの場合、飲んだら快感がなくなるのなら、そんな錠剤は服用しなくなるに決まっている」とラスマセン博士は語った。
煙草かあ。
私はピーク時一日六十本吸っていた。
K色の人にはいいかもと、今でも思っている。
デブよりゃ喫煙者のほうがまだいい。
セクハラ。
セクシュアル・ハラスメントの定義を明確にすると、
相手の意に反した性的な性質の言動
身体への不必要な接触
性的関係の強要
性的うわさの流布
衆目へ触れる場所への猥褻な写真の掲示等
様々な態様のものが含まれる。
特に雇用の場においては、職場、即ち労働者が業務を遂行する場所において行われる、性的な言動に対する女性労働者の対応により、女性労働者がその労働条件につき不利益を受けること又は性的な言動により女性労働者の就業環境が害されること、とされている。
施策の基本的な方向を列挙する。
性犯罪への厳正な対処
性犯罪の防止に向けた意識啓発
安心して被害を届け出られる環境作り
女性の警察官による事情聴取
相談室の整備、被害者等への支援や情報提供
民間被害者援助団体と連携した被害者ケア
捜査状況、加害者の処分の連絡等等。
性犯罪の被害者は、暴力により身体的、精神的に大きな被害を受けるとともに、第三者の心ない言動によっても精神的に大きな傷を負う。
そのため、加害者の責任を厳正に追及していくとともに、被害者が安心して被害を届け出られる環境作りやその精神的ケアも求められる。
施策の基本的な方向として、売買春への対策の推進、売買春及び児童買春の根絶に向けた取締りの強化、女性と子どもの人権の尊重についての意識啓発、売買春からの女性の保護、社会復帰支援の充実、相談体制の充実が図られる、らしい。
売買春は、女性の性を商品化し、女性の尊厳を傷つけ、女性の人権を軽視するものであり、決して許されるものではない、が、世界最古の職業でもある。
売買春の根絶に向けて、関係法令を厳正に運用するとともに、広く「買春は恥ずべき行為」との意識啓発を行う。
さらに、売春防止法に基づく要保護女子の早期発見と保護、社会復帰支援を行う。
特に児童買春やその被害児童について対策を講じる本的施策の基本的な方向は、ストーカー行為等への対策の推進、ストーカー行為等への厳正な対処、相談体制の充実、被害者の保護、支援、情報提供及び防犯対策、「ストーカー規制法」及び「迷惑防止条例」の普及啓発、だ。
ストーカー規制法を適切に運用することによって被害者が早期に相談できるよう必要な措置を講じる。
関係機関が被害者の立場に立った迅速かつ適切な対応、支援に努めるとともに、「ストーカー規制法」等の対策に係る広報を行う。
と、カウンセラーはのたまった。
はっきり言って、書面主義の現れだ。現状を知らない恵まれた政治家による、机上の空論に過ぎない。
心理学から見た異常行動、犯罪、嗜好癖。
カミュの異邦人にこんな一節が有る。
「僕は初めて世界のやさしい無関心に自分を開いた。
世界を自分と非常に似た、いわば兄弟のようなものと悟ると、僕は幸福であったし、今でもそうだと感じた。
すべてが完了し、僕の孤独をやわらげるために、僕はただ処刑される日に大勢見物人がいて、憎悪の叫びで迎えてくれることを望めばよい」
こんなんこと、わたしも書中思っているけど、こんな文章は思い浮かばない。
だから先人の知恵が有り難い。
わたしは只、模倣すればいいのだ。
連続殺人犯テッド・バンディに長時間面接した法医学(心理学)の専門家、リード・メロイによれば、猟奇殺人犯は、病的なほど極端に被害者を物体化する、被害者は欲望を満足させるための単なる物体へとおとしめられる。
"They take the objectification of women to a pathological extreme…… She must be reduced to an object with no meaning except to gratify his desires."
研究が明らかにしたところによれば、サイコバスは人格の中心部に攻撃的ナルシシズムが存在し、それが人格の基礎をなしている。そうしたナルシシズムを除去できれば、サイコバスにはならない。
"We know from the research that psychopaths have a core, aggressive narcissism that is fundamental to their personality. If you remove that narcissism, you don't have a psychopath."
精神分裂病が異常な猟奇殺人の原因となることは多いが、精神分裂病患者が犯罪を犯す確率は一般人のそれより遙かに低い。
ただ、最高水準の精神医学でも患者の言うことを原則として全て事実としている点で、患者の危険度を測る客観的な尺度が現実には存在しない。
職場と家庭に於ける性的嫌がらせ。
ドメスティック、バイオレンス(DV)の施策の基本的な方向。
夫、パートナー等からの暴力対策の推進、検挙その他の適切な措置の推進。
配偶者暴力相談支援センター、警察、一時保護施設、福祉事務所、男女共同参画推進施設等の取組の推進及び関係機関の連携。
相談は何だって?
配偶者暴力相談支援センター、福祉保健総合センター、警察総合相談センター、犯罪被害者相談センター等における相談による対応を設置かよ。
なんか逃げてンなあ。たらい回しじゃん。
一時保護の充実として、一時保護施設の充実、民間シェルターの支援、育成が見込まれる。被害者とその子どもの自立支援……って、自立できたらしてるって。
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の周知は大事だよな。
何より、加害男性への対応が必要だ。
夫、パートナー等からの暴力が重大な社会的、構造的問題であるとの認識について意識啓発を行うとともに、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」を周知させ、相談、保護、自立支援に至るまでの総合的な対策を図らねば、一時凌ぎに過ぎない。
家庭内で暴力がふるわれている場合、子どもに対して大きな影響があるため、子どもへの配慮も必要だ。
暴力をふるう男性は、年齢、職業、学歴、年収に関係ないことが明らかにされている。社会的に信用のある、ごく普通に暮らしている人物で、世間的には穏和な人物と評価されている人もいる。
日本では、加害者が自主的に参加するという形態で、加害者に対するプログラムとして、暴力を克服するプログラムを実施している場所が僅かながらある。
アメリカ、シアトル市のDV加害者向けのプログラム(財)女性のためのアジア平和国民基金の研究会報告(二〇〇一年三月)。
「DV加害者として逮捕された者は、法定命令により刑務所に服役するか執行猶予期間中に保護観察下でプログラムを受けるかのいずれかを選択することになる。
法定命令を受けた加害者らは、自費によりプログラムを最短一年間、最初の六ヶ月を週に一回、残りの六ヶ月を月に一回受けることとなる。
途中ドロップアウトした場合には裁判所に戻され、刑に服することになる。
加害者向けのプログラムを運営しているのは基本的にNGOであり、良質なプログラムを提供していると認められた先に、法定命令により加害者が送り込まれてくる。
受け入れ先を指示するのは、保護観察課のDV担当官で、加害者本人の経済的状況や特質、希望に応じて行き先をふり分ける。
アルコールや麻薬中毒、精神障害が疑われる者については別のプログラムが用意される。
しかし、加害者向けプログラムそのものの効果に疑問をもつという意見が少なからずある」
DV加害男性への取組は、日本はまだまだ後進国だ。
シェルターとは、暴力などから逃れてきた女性のための一時避難所であり、根本的解決には至らない。
施策の基本的な方向として、
セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進
雇用の場における企業等のセクシュアル・ハラスメント防止対策の推進
「男女雇用機会均等法」の普及
雇用以外の場におけるセクシュアル・ハラスメント防止対策の促進
学校、地域社会、医療、社会福祉施設等での相談体制の充実
苦情処理機関の周知
が取り上げられている。
セクシュアル、ハラスメントは、個人としての尊厳を不当に傷つけ、能力発揮を妨げるものであり、社会的に許されない行為であるとの認識を浸透させるため、意識改革を進めるべき。
また、雇用の場をはじめ、あらゆる場におけるセクシュアル・ハラスメント防止に向けた取組を進め、特に雇用以外の場における実態把握を行い、具体的な対策を検討してくれ。
事業主の方針の明確化及びその周知、啓発は肝心だな。
事業主が、職場におけるセクシュアル、ハラスメントを許さないことを雇用管理の方針として、明確にし、これを周知、啓発することによって、職場環境や慣習を変えることが重要だ。
相談、苦情への対応は、相談、苦情窓口を明確にし、気軽に苦情の申出や相談ができる体制を整えるとともに、相談、苦情に適切かつ柔軟に対応することが必要。
現在は不便で実質機能していない。
職場におけるセクシュアル・ハラスメントが生じた場合における事後の迅速かつ適切な対応として、その事実関係を迅速かつ正確に確認するとともに、事案に応じて適正に対処することが、再発防止の近道且つ救いだ。
米国のDV対策。
「身体的虐待」と「感情的虐待」とは、相互に関連している。
ともに相手を意のままに操りたいとの欲求を基礎としている。
感情的な暴力は、必ずしも身体的な暴力につながるわけでなく、身体的な暴力とは感情的な暴力の一種だと考えることもできる。殴られることで感情的にも傷つくからだ。
虐待者のタイプには三つあり、人間としての行為の基準を破ったときに自らをとがめることができない精神病質的な虐待者。
何でも自分でやりたい過剰にコントロールされた虐待者。
暴力と嫉妬が絡み合った感情の複雑な心的機制を有している周期的に感情を爆発させる虐待者だ。
虐待の周期は心理学上三つの段階から形成されて、「緊張が高まっていく段階」「虐待が爆発する段階」「悔い改める段階」となっている。
彼らは、感情的な衝突が地震のように激しくなる異なった世界観を形成し、地殻変動のような感情の爆発が起こる。そして、爆発後は、紳士にもどる。
緊張が高まっていく段階では、虐待したくなるという欲求に突然襲いかかられる。
彼らの心の中に存在する根本的な恐怖心と精神的な弱さが、彼らの”気分の変化”と”思い込み”の背景に存在する。
女性にとって危険な時期は、二人が別居している時、シェルターを探しているとき、妊娠したときだ。
虐待が爆発する段階は、加害者がアイデンティティを害されたと感じたときだ。
心が身体から離れていくように思える解離状態。周期的な虐待者にとって、物理的な暴力的行為は、鬱積した緊張と回避的な覚醒による感情を開放するもので、虐待者が疲れてへとへとになるまで暴力は続けられる。
虐待者はこの過程を繰り返すうちに、緊張からの解放感から中毒になっていく。最後の悔い改める段階では、虐待者は暴力について受け入れない態度、償いたいという態度と暴力をなくすという約束をする。
犠牲者はこの悔い改める段階で示される行動こそが、本来の夫なのだと信じ、彼を助けることができるのは自分だけだと思い込んでしまう。
虐待は、男性が酔っているときに起こることが多い。そして暴力をアルコールの責任に転嫁するする。彼らは、アルコールは迎鬱と不安の不快感を抑え、覆い隠すための方法だと学習し、また、アルコールが抑制を解き放つことも経験しているこうした過程で暴力を振るう危険が高まる。
専門家たちは、虐待の攻撃性を二つに分類し、敵に対しての正常な攻撃と、全く見知らぬ人や愛する人に向けられる異常な攻撃だ。妻を攻撃する者は脳の構造に欠陥があるために暴力を振るうのだと医学は信じてきた。
家庭内暴力を振るうものの脳の状態は、一時的な脳の癲癇にあるという。
最近の研究では、子供のころに虐待を受けたことが、男性の場合、大人になってから自らが虐待をする側へまわるという危険な要素になっているという主張もある。
精神医学も妻への虐待のため外来治療にやってきた男性の六一%が頭部に損傷を受けた経験があることを発表した。
また、遺伝子が命令するという研究やフェミニズム的説明もある。 ただ、このような研究には、暴力の爆発の対象者がどうして配偶者や愛人、恋人に集中しているかという疑問に答えていない。
周期的に暴力を繰り返す男性たちに、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の兆候を持っている。
その兆候とは、迎鬱、不安、睡眠障害、そして解離だ。この分野の常識では虐待者ではなくて、犠牲者のみが心的外傷を患うとされている。しかし、このことから虐待者の幼児期に規則的に起きていたトラウマが、彼らの怒りと関係があることを示唆している。
虐待者は父親から肉体的、感情的に厳しく、そして、後の妻への暴力に影響を与えるようなやり方で罰せられていたケースが多い。
虐待されていただけでなく、拒絶され辱められていた。
父親による辱めの体験は、成人になってからの暴力、PTSD、親密な関係性にある者に加えられる虐待に大きく関係している。
断続的な虐待で辱める父が、確かな自分というものを感じられない少年を形成する。
恥辱が加えられると、人は耐えがたい不安にかられる。
彼の存在は死んだも同然だ。同じようにして、身体全体に怒りの感情が影響し、怒りに身体が従属してしまう。つまり、自分自身を優位な位置に置くのだ。
一方、母親との関係では、非常に早期の母親と幼児の間に形成された破壊的なトラウマに、親密な者同士の怒りが何に由来するのかについての源泉を見出すことができる。
母親が子供を拒絶し、脅かすと、子供の愛着欲求を強く刺激する。彼を落ち着かせることができるのは母親の身体接触だ。
しかし、母親が、子供との接触を拒むと子供の内部に深刻な葛藤が起きる。
さらに愛着欲求が進み、母親になだめられなければ怒りが込み上げてくる。これが繰り返されて、愛着と怒りのシステムが形成される。怒りで反応するスタイルが出来上がるのだ。
虐待者は支配できる女性たちを追い求める。
私たちが何かをコントロールしようとしている時、普通、不安と怒りが私たちの行動の背後に存在している。
過剰にコントロールすることで、捨てられることの不安を軽減しようとする。
このコントロールが脅かされたとき、隠された心配や怒りが、表面に出てくるのだ。
虐待者は制御できない人間だと思われている。
しかし、暴力を受けている子供たちにとって虐待者は全能のように見える。
虐待が行われている時、子供は自分自身に対する嫌悪感がこみ上げ、それに耐えなくてはならない。
嫌悪感から生き残るためには嫌悪感を鈍感にさせなくてはならなくなる。
どのように押さえ込むかは学習の経験による。
虐待を受けないように父親の行動をコントロールすることは賢明ではないことはそれまでの経験から学習している。父親に対する見方を訓練しているのだ。
しかし、ほとんど解決の手段は失っている。
もし部屋にたどり着ければ、父親の怒りの声から逃げるように音楽を聴き逃げようとする。
それがうまくいかず自由にならない時は、学習性無力感という耐えられない状態に身を置かざるを得ない。
このような環境で育った子供は嫌悪感をなくそうとして消極的な引きこもりという行動を学ぶ。音楽、コンピュータ、本などの世界へのめり込む。
もう一つの反応は解離だ。
身体と心を分離することを学ぶ。子供たちが虐待からの出来事をコントロールできると感じると、嫌悪感は、怒りの感情へと変わる。怒りは報酬をもたらす。自己強化する感情だ。
怒りを表現することで、満足感を得る。怒りはまた、傷つきやすさを回避するための不安感情でもある。
男性は怒っているというよりも、恐れを感じていることに嫌悪している。怒りと恐れは表裏一体だ。
辱める父親、母親との両義的な愛着、家庭での暴力、これらすべてがあいまって暴力に走りがちな男性を作ることを助長する。
虐待者の見捨てられることへの不安、極端な欲求、親密さを必要とするコミュニケーションができないことが満ち溢れている。
妻を傷つける言葉と行動で、彼女を遠ざける。しかし、時には彼女に助けてもらいたい。はかない感情が非常に迅速に飛び交う。そして、すべての悪を彼女としてとらえるのだ。
治療グループへの参加で虐待をなくすとか、カウンセラーはほざいている。
初回のセッションでは虐待者自身の恥ずべき行動が暴露されるかもしれないという恐れを感じている。
初回セッションは時間厳守で、お酒を飲んで参加しない。
セッション内容には秘密厳守。
なにより正直なこと。
自らの暴力行為には自らが責任を持つ。
そしてさらに乗り越えなければならないことは、加害者自身その暴力行為について認める、本人で説明すること、だ。
これがうまく乗り越えられないと、ほかにどんなことをやっても効果はない。
第二週目からは、別のレッスンがはじまる。
感情や行動を区別して、争い事がなんだかを明確にする方法を教える。ほとんどの患者が時折、後退の症状を示すため、この準備として「逆戻り防止」モデルを応用する。以下の通り。
問題熟視の前段階……問題は自分にあることを理解。
熟視……問題を理解。
準備……援助を求める。
行動……暴力からの回復。
維持……暴力を利用せず冷静になる。
終結……非暴力の維持の階段からの抜け出る。
治療の結果初回に逮捕されてから暴力行為がなくなるまでの期間が短くなり、何度も犯していた暴力の数も減少する。
十年間での追跡調査で、治療を完了した人の中で完全に暴力を克服したわけではない人は、全体の三%であった。
女性は、男性が虐待をはじめる危険な兆候を理解し、事実を確かめる。パートナーから離れるつもりなら、その意思をパートナーに伝える前に安全確保をしっかりとしておく必要がある。
男性に思いつくことがあれば治療をすすめる。不安や羞恥心に行く手をさえぎられてはならない。
と、力説されてもなァ、できたらやってるンだっての。充分分かりきったことを、かね貰って話すなんて、イイ仕事してますねええええ~~~!
DVについて法学生の見解。
配偶者からの暴力(Spousal abuse)、ドメスティック・バイオレンス(DV)とは、配偶者(届出をしていない、いわゆる内縁関係にある者を含む)から受ける虐待をいう。ここでいう虐待には身体的虐待、精神的虐待、性的虐待の三種があるとされる。
なお、ドメスティック・バイオレンスという用語は、元になった英単語 Domestic Violence が家庭内暴力全般を意味する言葉であるため、原語と意味にずれのある広義の和製英語に含まれる。
法的な定義としては、日本ではいわゆるDV防止法(正式名称:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)の中で、配偶者からの身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動と規定されているが、同法の保護命令の対象となる暴力は前者のみであり、後者の精神的暴力は対象とはされていない。
被害者及び加害者は、DV防止法の適用上では被害者の性別は問われない。
日本においては被害者の多くが女性であるとされているが、平成十五年度に於ける配偶者間の殺人事件のうち約四割(二百十五件中八十二件)と暴行、傷害の約一割は女性による加害であり、女性が加害者となることも稀ではない。
また、DV防止法上は、加害者として異性のパートナーのみを想定していると解釈されるが、国によっては同性のパートナーによる虐待もDVとして扱うとする規定を持つ立法例もある。
解決に向けた取り組みとして、ローマ法以来の家族観や、司法機関の介入により関係が破綻することへの危惧、犯罪性の認識の欠如などのため、配偶者からの暴力について刑事介入がなされることは従来稀だった。
豪い昔の話だが、法学では今もローマ法の議論や論文があるのです。
また、離別しようとしても強引に連れ戻されるなどしてしまい、女性が被害者となった場合女性側の生活力が乏しいことが多く、配偶者による暴力そのものが持つ依存的構造などのため、被害者が泣き寝入りする結果となってしまう傾向があった。
米国では一九七〇後半から女性の権利闘争やいくつかの致死事件により、配偶者からの暴力が耳目を集め、配偶者からの暴力概念が学問上創られた。
これに対し、現在は徐々にDVを不法行為と認める裁判例が出始め、NPOなどによる被害者保護活動も活発化してきている。日本でも二〇〇一年十月より配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が施行された。
また、加害者は一種の精神疾患であるとして、治療やカウンセリングの対象として捉えるアプローチも試みられている。
かうんせりんぐと暴力の根絶。
女性に対する暴力は、人権を侵害し、男女共同参画の推進を阻害する重大な社会的、構造的問題であるにもかかわらず、これまで潜在化しており、社会の理解も不十分で個人的問題や家庭内の問題として容認されてきた。
そこで、女性に対する暴力は人権問題であり、性別による固定的な役割分担、経済力の格差、上下関係など今日の社会において男女が置かれている状況等に根ざした構造的問題であるとの認識を広く浸透させ、女性に対する暴力を許さない社会意識を醸成する必要がある。
また、女性に対する暴力の潜在化を防止し、安心して被害を訴えることができる環境作りをはじめ、女性の人権の尊重の視点に立って、暴力の形態に応じた幅広い取組を進める必要がある。
併せて、子どもに対する性犯罪や人権侵害が多発する状況から、子どもの権利への配慮も必要。とりわけ女児は性的虐待を受けやすいことから、適切な対応が必要だ。
一七人に一人が命の危険を感じるくらいの暴力を受けている。
という調査結果がある。
夫から暴力をうけた経験の有無、暴力に対する相談の有無、セクシャル、ハラスメントを受けた経験の有無に、ついて……。
相談した三四.七%
相談したかったが、相談しなかった一三.七%
相談しようと思わなかった四〇.一%
無回答 一一.六%
半数以上が暴力に対して相談していない。
セクシュアル、ハラスメントの経験は二割ある。
命の危険を感じるくらいの暴力を受ける。
医師の治療が必要となる程度の暴力を受ける。
医師の治療が必要とならない程度の暴力を受ける。
嫌がっているのに性的な行為を強要される。
見たくないのに、ポルノビデオやポルノ雑誌を見せられる。
避妊に協力しない。
何を言っても無視され続ける。
交友関係や電話、郵便物を細かく監視される。
「誰のおかげで生活できるのだ」とか「甲斐性無し」と言われる。
大声でどなられる。
わたしの場合と丸丸同じだ。
警察は民事不介入といって助けてくれなかった。
女性に対する暴力の根絶の基本的な課題。
施策の基本的な方向として、女性に対する暴力を根絶するための基盤作り。女性に対する暴力根絶のための意識啓発。学校教育におけるあらゆる暴力行為の防止に向けた指導。
わたしは中学高校で、相当体育教師からHHHHな嫌がらせを受けた。今もトラウマだ。
相談しやすい体制の整備として、関係窓口への女性の配置など相談、カウンセリングの充実、研修、人材の確保、地域の理解の促進。
被害者等への支援や情報提供として、民間被害者援助団体と連携した被害者ケア、適切な自衛、対応策の教示、特別な配慮を必要とする人への対応が挙げられる。
暴力の発生を防ぐ環境作りは警察の本分だろ~~~なあ。
パトロール、防犯ビデオ貸出、地域安全情報の提供、講習会、防犯指導、防犯機器の貸与等防犯対策の強化を望む。
女性に対する暴力に関する調査研究、被害実態の把握及び加害者の研究を進めるべきだな。子どもの権利を救済するための機関の設置は近年急増するネグレクトに対しても対処すべきだ。
女性に対する暴力は、犯罪であり、決して許されないものであるとの認識を広く社会に徹底するために意識啓発を行う。
ってのは、男が出頭したら、の話しじゃん。こなかったら放っておくのか???
また、被害者が相談しやすい環境を整備するとともに、配偶者暴力相談支援センター、警察、一時保護施設、福祉事務所、男女共同計画推進施設、関係機関と連携し、女性に対する暴力に対処するための体制整備を進めて欲しい。
さらに進んで、女性に対する暴力の発生を防ぐ環境作りを進めていって欲しい。
併せて、子どもに対する性犯罪や人権侵害が多発する状況から、子どもの権利への配慮も必要だ。
夫や恋人などの親密な関係にある男性が、女性に対してふるう身体的、精神的、性的、経済的な暴力、または、子どもを利用した暴力をドメスティック、バイオレンスと言う。
DVは、これまで、家庭内の問題、あるいは個人的なトラブルとして、潜在化する傾向があった。しかし、近年、家庭内といえどもDVは犯罪になる行為であり、人権侵害であるとの認識の高まりとともに、パートナーからの暴力に苦しむ女性が相当いることが明らかになっている。
このような中、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」DV防止法が平成一三年一〇月一三日から施行された。
DV防止法では、保護命令が創設され、被害者が更なる暴力により、生命身体に危害を受ける惧れがあるときは、裁判所が、加害者を引き離すための命令を発することができるようになった。
暴力はふるう方が悪い。被害者のあなたには責任はありません。一人で悩まず相談してください。
ってなあ、口先だけじゃんか。
ちっとも誰も何も、わたしを助けてくれなかったぞ。
DVカウンセリング~バタラーの心理学。
何故夫は、愛する妻を殴るのか?
「バタラー」とは、妻や家族に暴力をふるう男性のことを言う。
もっとも危険なバタラーとは周期的に繰り返して妻を殴る男だ。
このタイプの男性の危険性は、暴力が繰り返して起こり、人目につかないことだ。
アメリカンフットボール史上、類いまれなランニングバックだO・J・シンプソンは、元妻のニコルとその友達ロン・ゴードマンを殺し容疑で告訴された。
彼は、スポーツの場だけでなくTV番組の人気コメンテーターであり、映画にも出演し、アメリカの誰もがわかる有名人だ。
ところが家庭では全くの別人であった。
O・Jが家庭内で殺人を犯したのだ。
信じられないファンは、裁判所の外で多くの人々が集まりO・Jへの忠誠を誓っていた。
しかし、カリフォルニア州検察官によって公開された妻ニコルの警察への通報電話の録音テープはこの神話を崩し、家庭では暴力的であり、対外的な面とのギャップを知らしめる事となった。
わたし達は、見ただけで彼ら「バタラー」を識別することはできない。
家の外では他の人と同じように見える男性が、何故家の中で暴力を振るうのかを理解することができない。
親密な間柄における虐待は、殴ったり、叩いたりすることだけではない。
過去から現在に渡りすべての社会的関係から妻を切断し、孤立させるために、心理的・物理的に彼女らを支配することだ。
妻の自己の価値を低下させることにより、奴隷状態に陥れようとすることだ。妻たちは腕の骨を折られても「事故」と偽り、また、何十回も殴られながらもう一度夫にチャンスを与える。
虐待する男性の多くは、「見捨てられた」と心で感じたときに、虐待がエスカレートする。
この「見捨てられた」感覚は、勝手な思い込みであり、誤解でしかない。虐待者は、最悪の事態を想定し、「予言の自己成就」(思い込みを実現するように行動する)をしているのだ。
この「見捨てられた」という男性の幻想には、性的な要素が強烈に影響している。
妻が他の男性を求めていると性的な三角関係に結び付け、夫はわずかな証拠をかき集める。妻の下着を何らかの痕跡を確認するためにチェックし、男性から電話があるだけで暴力を振るう。
虐待する男性は、犠牲者だともいえる。感情的な渇望や欲求をもった人格が作りだされてしまったという意味で犠牲者といえる。
何とか和訳した。
O・Jシンプソンのことは聞いてたけど、殺人かァ、したくも成るよ、やられる側だって。
ただ、殺意の対象が自分に向いたのがわたしの症例。子供がいれば子供に向ったかも知れない。
何故かわんこには向かない。同属嫌悪か。何だか暗いなあ。
解離性障害が起きる環境。
まず、家庭内が挙げられるようだ。
両親が権威的、つまり、知識、人柄、人望などに対する他者からの尊敬、敬意によって裏付けられているのが本来である権威を、上下の力関係による上位者に対する絶対服従、と誤って理解している人達を形容することだ。
権威を単に力と誤解釈しているのが特徴。
自分が下、だと思っている相手には媚び諂い、盲従し、自分が上、だと思っている相手には、殊更に自分の力を誇示し(しかも根拠薄弱)、下位者には絶対服従を強要(相手の意志は完全に無視)する。話し合いによる説得、合意より、力による一方的封殺を好む。
違う考え、見識、価値観には不許容性が強く、白か黒かの極端な思考様式が目立ち、自分の意に沿わない者は敵と見なす傾向が強く、中間層の敵でも味方でもないという受け取り方が出来ない。
次に時代ハズレな男尊女卑。男尊女卑、という考え方の可否はともかくとして、こういう人達は男尊女卑の考え方にフィットしやすいメンタリティーを持っている、という意味だ。男尊女卑、の考え方だから、こういうメンタリティーになった、という捉え方はあべこべ。
そして、PTSDが確定的診断を得るのに要する平均年数八年という長期戦であること。
発症のきっかけや、その時の年齢、環境素因などによって主たる病態として表に出てくる症状、は様々である事が多い。
外傷性精神障害は、その時の顕現症状によって鬱、と診断されたりパニック障害(PD)、と診断されたり、ヒステリー、と診断されたり、自律神経失調症、と診断されたり、と変転していき、此れを数年繰り返した後に初めて外傷性精神障害であると判断できる病像の全貌が正体を現わす。
ここに至るのに要する平均年数が八年であるという意味だ。過去の診察医をヤブ医者呼ばわりする外傷性精神障害の方は多いのだが、この話でも分かる通り、その時はまだ病像の全貌が顕現しておらず、後年から結果的に誤診だと言えたからとて、それをヤブ医者呼ばわりするのは、ちとその医者が可哀想だ。
かといって、と同時に精神分裂病(統合失調症)と誤診されるケースは思いの外多く、此れは厳に批判されるべきだろう。
長くなった。
PTSD治療の安全な場所の確保。
外傷性精神障害者には安全な場所の確保、が、まず何よりも必要だ。
ここで言う安全な場所、というのは、ストレスが極力少ない状況であり、かつそれが安定的であること、また心理的に安心感を抱ける場、のことで、現実実在レベルの話であり、と同時に心理的、内的レベルの話でもある。
外傷性精神障害の治療にあたっては、カウンセラーは安全な空間の提供者、であろうと努めるべきで、無闇に過去の記憶をほじくり返したり、それを分析的に過ぎる分析をするべきではない。
治療を受ける立場であれば、無闇に過去の記憶を掘り返したり、それを分析的に過ぎる分析をしたりするカウンセラーは絶対に避けるべきで、温かさ、と安定的に保護する力、を有すると感じるカウンセラーを選ぶべきだ。
たとえば風邪にしても、その時に病院に行って貰ってくる薬は風邪を治す薬、ではない。よく風邪の特効薬を開発したらノーベル賞ものだ、と言われる如く、実際風邪に効く薬はない。
その時服用するのはあくまで風邪の諸症状を抑える薬だ。
つまり、こういったものを服み、安静にしていることで自然治癒力が働けるだけの体力の余地を作る努力をして、自然治癒力が働いてくれる事を期待して待っているわけだ。
で、実際この対応で大抵の風邪は治る。だから治しているのは自分自身の自然治癒力だ。
外傷性精神障害は心理疾患の中でも特に目立って向精神薬の類が効果を発揮しないが、この観点で酷い症状を少しでもマシにする意味合いで、服薬することは無意味では決してない。
外傷性精神障害は、症状のデパート、と呼べるほど、ありとあらゆる色んな症状を発症する。
思い付くままに並べるだけでも、鬱症状、情緒不安定、自殺企図、自傷行為、離人症(解離症状の一つ)、人格分裂(正確には解離性同一性障害と言える)、各種依存症、多いのは、男性なら仕事依存、アルコール依存。
女性なら対人依存、セックス依存、躁状態、パニック発作、不潔恐怖、自己臭恐怖、対人恐怖、広場恐怖、視線恐怖、チック、書痙などの痙攣性症状、被害妄念、自律神経失調症、過食症、拒食症、不定愁訴、ノイローゼ、これだけ挙げることが出来てしまう。
このように色んな症状を、状況ごと年齢に応じてカメレオンのようにその様相を変転していく。アメリカ精神医学会でPTSDが確定的診断を得るのに要する平均年数は八年、という報告もある。
なので、その時々に係った医者によって診断名がマチマチという事は珍しくなく、むしろ当たり前とさえ言える。長年精神科に係っているが一向に病状が快方に向かわず、また診断名がイマイチ不明確(不安定)な人は、外傷性精神障害を疑ってみた方が良いかも知れないかな。
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