Wednesday, February 15, 2006

各国の研究

WIRED NEWS~肥満を化学的に解決

病的なまでに肥満した人が贅(ぜい)肉を減らすのは、容易なことではない。だがもうすぐ、楽に肥満を解消できる日が来るかもしれない。新開発の装置を使って胃に電気パルスを送ると、満腹であるかのような錯覚を起こせるという。

トランセンド・インプランタブル・ガストリック・スティミュレーター(トランセンドIGS)は、胸郭のすぐ下に埋め込まれる懐中時計サイズの装置だ。心臓ペースメーカーに似た電気パルス発生器で、リード線を胃壁の筋肉に取り付けて使用する」と語るのは、タフツ=ニューイングランド医療センターの外科医で、同施設の肥満相談センターの副責任者を務めるスコット・シコラ博士。

臨床試験の過程ですでに二十七基のIGS埋め込み手術を行なったシコラ博士によると、現在の減量手術では患者の臓器に手を加える――それも文字通りの意味で――ことが多いが、この装置を使えば、より安全な処置が可能になるという。現行の手術では、胃を医療用のステープルやバンドで二つに分けて、食べ物を消化する小部屋を作る。この新しい小さな胃の許容量を超える食べ物は、吐き戻されるなどして消化されない。

効果が得られる反面、この手術にはいくつものリスクがつきまとう。米国立衛生研究所(NIH)の試算では、減量手術を受ける患者の十~二十%が合併症のために追加手術を要し、一%が死亡するという。

一方、IGSでは、臓器に手を加える必要は全くない。
「IGSを使用すれば、胃に何の細工もせずに満腹感が得られる。装置の埋め込み手術による合併症は、統計的に見て、いかなる軽度のものも起こらなかった」とシコラ博士は話す。

IGSはチタン製で重量四二グラム、埋め込み手術には一時間もかからず、患者は術後数時間で帰宅できる。一方、現行の胃バイパス手術は約三時間を要し、患者は最高4日間入院しなければならない。

「われわれは腹腔鏡を使ってリード線の位置を確認し取り付ける」とシコラ博士は言う。腹腔鏡手術では、患者の体の数箇所に小さな切開口を開け、そこから手術器具や腹腔鏡を挿入する。

埋め込みが完了すると、外科医が装置のテスト作動を行なって、すべてが正常に機能するかどうかを確認する。IGSは、胃壁を回復させるため初めのうちは作動しないようになっており、埋め込み手術から十四日後に、体外のプログラマーと呼ばれる機械を使って装置のスイッチが入れられる。

「プログラマーは基本的に心臓ペースメーカーと同様の働きをする。小さな棒状の機械で、携帯型コンピューターと無線通信装置を兼ねたものだ。IGSの上にこれをかざすと、無線電波で情報をやり取りする」とシコラ博士。医師はプログラマーを使って電気パルスの強度や周波数やパターンを設定できる。

「実にさまざまなパターンをプログラムできる」と、IGSのメーカーである米トランスニューロニックス社(ニュージャージー州アーリントン)のスティーブ・アドラー副社長は言う。

患者には、自分の体内で電気刺激装置が作動していることはまるでわからない。「患者は満腹感と食欲に変化を感じるはずだが、電気ショックを感じることはない」とアドラー副社長。

電気パルスがどのように作用するのかは、今のところわかっていない。「脳へつながる神経を刺激するのか、あるいは食欲に作用するホルモンを抑制するのか。もしくは、胃の筋肉を緊張させて満腹感を与えるのかもしれない」とシコラ博士は推測する。

IGSはこれまで世界で約四五〇人の患者に埋め込まれた。そのほとんどはすでに装置が市販されているヨーロッパだ。ところが、肝心の成功率は、必ずしも高くない。

「結果にはかなりのばらつきがある。驚異的な効果を示し、超過体重を四十%も減らした患者がいる一方、何の変化もない患者もいる」とシコラ博士。

IGSの欠点は、装置がうまく機能して満腹感を与えたとしても、患者がその感覚を無視すれば何の効果も得られないところだ。

「このペースメーカーには欠点を補うシステムがない。ストレスから過食に走る場合、患者の多くがこれに当てはまるが、たとえ空腹でなくても食べてしまう。これは装置をつけていても、いとも簡単にできることだ。しかし、バンド装着手術や胃バイパス手術を受けていれば、嘔吐してしまうので過食はできない」と、バージニア州リッチモンドの肥満専門外科医で、米国肥満外科学会に所属するニール・ハッチャー博士は言う。

この欠点を解消するため、近く始まる二年間の新たな臨床試験では、事前にスクリーニングテストを行なって治療効果があがりそうにない患者を除外する計画だ。「われわれは過食を行なわない患者を求めている」と、シカゴにあるノースウェスタン・メモリアル病院の健康研究所の医療責任者で、次回の臨床試験に参加するロバート・カシュナー博士は述べた。

試験で有効性が立証されれば、心臓の状態や以前に受けた開腹手術といった医学的リスクによって、体内に器具などを埋め込む外科的処置が受けられない患者に、代替策としてIGSが使用されるようになるだろう。

また、IGSはコストの面でも有利だ。胃バイパス手術の費用は最高4万ドル、バンド装着手術は最高三万ドルかかるが、ヨーロッパで行なわれているIGS埋め込み手術は、わずか五千ユーロほどで受けられるという。

「次回の臨床試験後に、米食品医薬品局(FDA)の認可が下りることを期待している」とシコラ博士は語った。

テキサス大学のMDアンダーソン癌センターの研究チームが、太ったマウスをスマートで健康にする薬を発見した。人間にも、同じ効果を期待できるかもしれない。

研究チームは、肥満マウスに小さなタンパク質のかけらを注射すると、短期間で安全に標準体重に戻せることを発見した。

岸センターが肥満に取り組んでいる理由は、癌細胞と脂肪細胞には、血管を通して栄養補給をするという共通点があるからだ。テキサス州ヒューストンにあるMDアンダーソン岸センターの研究チームは、肥満に対して、癌治療と同じ方法を試してみた。体内の有害な組織が死ぬまで、血液の供給を止めるというアプローチだ。

「われわれは、血管の生化学的特徴の違いを探そうと取り組んだ。そして、脂肪細胞に栄養を供給している血管を調べれば、腫瘍内の血管で何が起きているかについて重要な手がかりが得られるかもしれないという仮説を立てた」と、MDアンダーソンのガン研究者で、論文執筆者の一人でもあるワディ・アラプ教授は述べている。

研究開始後まもなく、癌細胞に試していた方法が、脂肪細胞の血管にも有効だということが分かった。そこで研究チームは、とくに脂肪細胞の血管に付着して栄養の供給を妨げるペプチドを見つける作業に取りかかった。

豊富なペプチド・ライブラリーからさまざまなペプチドを選び、マウスに注射したのだ。アラプ教授と、MDアンダーソン癌センターで医学と癌生物学を専門としている妻のレナータ・パスクアリーニ教授は、1996年に動物実験でこの手法を初めて導入した。

実験によって有効なペプチドを特定したあと、両教授はマウスに大量の餌を与えて、六ヵ月間で体重を二十五グラムから五十グラムに倍増させた。この肥満マウスの尻尾にそのペプチドを注射したところ、およそ一ヵ月後、マウスの体重は三十%減少したという。

一方無効なペプチドを注射した対照群のマウスは、有効なペプチドを注射したマウスと同じ餌を食べていたにもかかわらず、体重が増え続けたという。

脂肪細胞の血管に付着するペプチドを注射したマウスは新陳代謝が高まった。さらに、運動能力と内臓の検査を行なったところ、以前より健康になっていることが分かった。

「これらのマウスは実際に、やせたネズミと同じ状態に戻っていた」とアラプ教授は述べている。

栄養補給を絶たれた脂肪細胞は、そのまま体内に吸収され、明確な副作用はなかったという。

次の段階は、ヒト以外の霊長類での試験だ。アラプ教授は、飼育環境では肥満する傾向のあるヒヒが適していると考えている。三年か五年後には、人間を対象とした臨床試験を予定しているという。副作用については、マウスでは認められなかったものの、人間でも同じかどうかは分からないとアラプ教授は述べている。

米国では、成人の六十五%が標準体重を超えており、三十%以上が肥満だと言われている。

現在、販売されている抗肥満薬としては、スイスに本社を持つF・ホフマン・ラ・ロシュ社製の、ゼニカル(Xenical)がある。
ゼニカルは、脂肪の吸収を妨げる効果を持っているため、リパーゼ阻害薬と呼ばれている。よく見られる副作用として下痢があり、米食品医薬品局(FDA)のガイドラインは、カウプ指数(BMI:体重(kg)/身長(m)の二乗)が三十以上、あるいは高血圧、高コレステロール、心臓病、糖尿病などの健康上の問題を抱えている人は二十七以上の、肥満と診断された人だけに投与すべきだと定めている。

英アリザイム社は、ゼニカルと類似した効果を持つ抗肥満薬について、FDA認可を受けるための最終試験を行なっている。同社によると、この薬を三ヵ月間服用した場合、ゼニカルと同様に体重が減少したが、深刻な胃腸障害のケースがゼニカルよりも九十%少なかったという。

MDアンダーソン癌センターの研究チームは、このような抗肥満薬とはまったく違うアプローチをとっている。同センターの薬は、脂肪細胞に栄養を補給する血管の働きだけを阻害するという、非常に限定された効果を持つため、副作用を軽減できる可能性がある。

「ゼニカルは基本的に、脂肪の吸収を阻害するものだ。このアプローチはそれとは違い、身体がエネルギーをもっと急速に燃やせるように手助けする方法だ。分子レベルでの脂肪吸引と言ってもいいだろう」と、同じくテキサス州ヒューストンにあるベイラー医科大学の医学と分子細胞生物学の教授で、この研究論文の執筆者の一人でもあるローレンス・チャン博士は語った。

読めば色々肥満に関する記事は多い。
中でも英語サイトは興味深い。さすが肥満大国、痩せ薬では間に合わず、外的方法を考え出した。

日本での発売も近いか???


本当はもっと恐ろしい肥満――脂肪が死を招く要因が次々と明らかに

脂肪の実態を調べる研究によって、肥満が死を招く要因について驚くべき知見が加わりつつある。明らかにされた重い事実、それはなんと、脂肪それ自体が健康に有害な働きをするというものだ。

専門家たちはもう何十年も前から、太った人が早死にする傾向にあることを知っており、その理由は明白だと長い間考えてきたのだ。余分な体重のせいで、心臓や他の臓器にひどく負担がかかるからに違いないと。

しかし、それは間違いだったようだ。贅肉の物理的負担は、たしかに関節炎や睡眠時無呼吸などの原因になるが、その程度のことは、現代人の体についた、かつてない量の油っぽく黄色い脂肪のかたまりが及ぼす複雑で隠れた悪影響に比べれば、些細なものでしかない。

最近の一連の発見によって、脂肪を蓄積する細胞が、体のエネルギーバランスを微調整するさまざまなホルモンやその他の化学的な伝達物質を作り出していることがわかった。だが、脂肪で膨れあがった細胞から大量に分泌されると、それらの物質は多くの臓器を攻撃し、健康に悪影響を与えるようになるという。

詳しいメカニズムはまだ解明途上らしいが、こうした生物学的な相互作用の異常が、心臓病や脳卒中、糖尿病、ガンなど、特に肥満の人に共通した疾病による死亡率を高めていることは間違いないと研究者たちは述べている。

「われわれはもはや、脂肪組織をただ黙って脂肪を蓄えておくだけの場所とは見ていない。体の他の部分に送る信号物質を盛んに製造している場所だ」と、コロンビア大学のルドルフ・ライベル博士は話す。

脂肪が単なる不活発な贅肉以上の存在であることが初めて本格的に示唆されたのは、十年前にレプチンという物質が発見されたときだった。一見何もしないように見える脂肪が、食欲を制御するこの化学物質を作り出すことで自らを維持管理していることを知り、研究者たちは驚いた。

今では、レジスチンやアディポネクチンなど、約二十五種類の信号物質が脂肪細胞によって作られることが判明しており、この先さらに多くが発見されることは間違いないとライベル博士は見ている。

米国立衛生研究所(NIH)に付属する糖尿病、消化器病、腎臓病研究所(NIDDK)の責任者、アレン・スピーゲル博士は、脂肪について次のように話す。
「その正体や働きについての情報は急激に増えている。とてつもなく活動的な器官だ」

今や脂肪組織は最大の内分泌器官と認識され、それが体に占める割合は普通の体格の人でさえかなりのものだ。健康的な女性で身体の平均三十%、男性では15%を脂肪が占める。これだけのエネルギーがあれば、人間は三ヵ月間何も食べなくとも生きていられる。

脂肪細胞の主な仕事は、摂りすぎたカロリーを脂肪として蓄積することだ。太ってくると、脂肪細胞が脂肪で膨れあがり、通常の大きさの三倍にもなる。太りすぎの人がなおも太り続れば、そうした脂肪細胞の上にさらに多くの脂肪細胞が層をなしていく。

問題は大きくなりすぎた細胞が出す化学物質の量にあると、ルイジアナ州立大学のジョージ・ブレイ博士は語る。
「大きくなった細胞は、小さかったときに比べ、すべての分泌物を多く出すようになる。そうした分泌物が増えることは、健康によくない」

そうした過剰な分泌物が人体にどう害を及ぼすのかを正確に知ろうと、多くの研究者が努力を続けている。詳細がわかれば、肥満の蔓延がもたらす本当の悲劇、肥満が健康に与える悪影響を解き明かすヒントとなり、おそらくは解決策の発見にもつながるだろう。

肥満は、米国人の寿命を縮める主な要因として喫煙のすぐあとにつけており、その割合も増加している。中程度に肥満した人の場合、平均寿命は普通の人より2~5年短いという。重度の肥満の場合、寿命は五~十年ほども短くなる。

肥満がもたらす最大の脅威はなんといっても心疾患だ。
体格指数(BMI)[体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値。二十二が標準]が三十を超える人は、心臓病になる危険性が通常の三倍となる。専門家によれば、脂肪細胞が分泌する化学物質は、さまざまな形で心臓発作や心不全、心停止を引き起こす原因になるという。

だから、体脂肪二十程度で悩まないで!

たとえば、体重過多が血圧を上げることは以前から知られている。かつて医師たちは、これは物理的な問題と考えた。余分な肉に栄養を送るため何メートルか伸びた血管に血液を送り出すには力が必要というわけだ。

しかし今では、脂肪が高血圧を引き起こすのは、いくつかの化学的要因を通じて血管を狭くするためであることが判明している。たとえば脂肪は、強力に血管を収縮させる物質、アンギオテンシノーゲンを作り出す。同時に、交感神経も刺激するが、これも循環系を収縮させる。これらの作用はしかも、脂肪が及ぼす影響のほんの一端に過ぎないかもしれないのだ。

「これは非常に複雑なシステムで、知れば知るほど複雑さが増していく」
と、ニューヨークにある聖ルカ・ルーズベルト病院の肥満研究センター責任者、ザビアー・ピスンヤー博士は話す。

膨らみすぎた脂肪細胞がもたらす明白な害の1つに、体内でのインシュリンの製造と使用への影響がある。
インシュリンは、筋肉にエネルギーを燃焼し、脂肪細胞にエネルギーを蓄積するよう指令を出すホルモンだ。
肥大した脂肪細胞は、血中に脂肪を漏出させることなどによって、インシュリンの作用を鈍らせる。

そこで膵臓は、その埋め合わせをするために、より多くのインシュリンやその他のタンパク質を作らなければならなくなる。

今では、インシュリン分泌量の増加、インシュリン抵抗と呼ばれる状態の一環、が特に有害であることが、研究者たちの間で認識されている。インシュリンの増加は、動脈壁に直接ダメージを与え、血管が詰まる原因となり得る。

漏れだした脂肪は心筋にも浸潤し、鬱血性心不全を引き起こすことがある。本来の場所でないところに脂肪が蓄積することは、肝臓へのダメージも引き起こす。脂肪の蓄積は肝臓移植の理由としてB型肝炎に次いで多い。

脂肪細胞が分泌するさまざまなタンパク質はまた、炎症の原因にもなる。特に動脈の硬化が始まった部分に壊滅的な作用を及ぼし、血管を破裂させて心臓発作や脳卒中を引き起こすことがある。

これらの炎症性タンパク質や、成長ホルモンといった、脂肪に関係するその他の化学物質の働きは、肥満のもたらすさらに恐ろしい結果――ガンの発病――に関連があるとも考えられている。

「肥満は一部のガンの要因になっていることを示す決定的証拠があり、またその他多くのガンについても、その発病に関連しているという強力な証拠を得ている」と、米国ガン学会疫学研究部門の主任を務めるマイケル・サン博士は語る。

米国ガン学会では、健康な体型を保つことによって、ガンで死亡する米国人が年間9万人減ると試算している。体重との関連性が最もはっきりしているものには、乳ガン、子宮ガン、結腸ガン、腎臓ガン、食道ガン、膵臓ガン、胆嚢ガンがある。

肥満が悪性腫瘍の原因になることを示す一番の例は、年配女性の乳ガンだ。閉経して卵巣が機能しなくなると、脂肪組織が女性ホルモンであるエストロゲンの主な作り手となる。それは同時に、乳房の腫瘍の成長を促すことにもなる。

乳ガンと診断された場合、体重の重い女性ほど死亡率が高いと、ボストンにあるブリガム女性病院のミッシェル・ホームズ医師は話す。「おそらく、ガンがエストロゲンに依存しており、太っている女性の方がエストロゲンを多く持っているためだと考えられる」

ただし、心疾患やガンのような大病も、肥満がもたらす健康トラブルのごくごく一部に過ぎない。他にも、肥満の人は鬱病や胆石になりやすく、交通事故でも死亡率が高いという。

満は、本当にさまざまな形で、人を死に追いやるのだ。
が、其れは、米国のデブの話。あっちのデブはこっちのデブと桁が違う。
本当に。何百キロ二単位なのだ。
体重二桁ならいい、そう開き直りましょう。

つ~~~~ても、わたしは拒食が治らない。この一週間で二キロ減った。
だって、この環境だ。食えるかアアアア!

ふう、リハビリ中は生き抜き中。まともな精神の人と話せる。
わたしはいま、状態だ。
狂ってるぅ~~~♪、


長寿を求めて厳しい食事制限を実践する人々。

米国ニュース。
和訳が悪くてすんません。
が、面白い。

リサ・ウォルフォード氏(五十歳)は約三十七キログラムという現在の体重が最適だと考えている。

もちろん、この体重を維持するのは楽ではない。身長百五十センチ足らずと小柄なウォルフォード氏は、大人になってからはほぼずっと四十三キログラム前後の体重で生活してきた。現在の体重を維持するにはほぼ毎日、摂取カロリーを千三百キロカロリー程度に抑えなければならない。これは以前より十五%少ない量だ。

ウォルフォード氏は痩せこけていると思われてもおかしくない外見であるこ。
認めながらも、健康上のプラス面を考えるとこの食生活を続ける価値はあると述べている。
ウォルフォード氏はカロリー制限(CR)と呼ばれる食事法を熱心に実践しており、食事の量を減らせばそれだけ長く生きられると信じているのだ。CRの提唱者である父のロイ・ウォルフォード氏からこの考え方を学んだリサ・ウォルフォード氏は、この方法を積極的に全米各地に広めている。

「グッドモーニング・アメリカに出演したときは、キャスターのダイアン・ソーヤー氏に、ずいぶん痩せているけど、本当に健康なの?と尋ねられた」と、ウォルフォード氏は振り返る。
こうした質問をされたときは、だいたい同じ答えを返しているという。
「われわれは見た目で健康状態を判断しがちだが、私はむしろ体の中を重視している……CRを実践している人々は体の中が非常に健康だ」と。

ウォルフォード氏はこの夏、新たな著書『長生きするための食事法』(Longevity Diet)を売り込もうと、各メディアを回った。この本は同じくCRを実践しているブライアン・ディレイニー氏との共著だ。

ベビーブーム世代が六十代に足を踏み入れようとしていることから、寿命を延ばすための食事法や健康法への関心が高まっている現状も、社会の動向を追いかけてきた人たちからは当然と考えられている。

世の中には食事法に関する本が数え切れないほど出回っていて、沖縄の食生活に倣う、自分のDNAを調べてみる、大量のサプリメントを飲む、果物や野菜をたくさん食べる、といった方法で若返りが可能だとうたっている。なかでもCRは、寿命を延ばす方法として、マウスなどの生物で有用な効果が示されていることから人気が上昇している。

CR関連の人気オンラインフォーラム「カロリック・リストリクション・ソサエティー」かメーリングリスト「CRサポート・グループ」のいずれかに参加している人たちは、ウォルフォード氏の推計によると、現時点で二千五百人以上にのぼるという。
掲示板の話題は、アルツハイマー病とインスリン値の関連を探る研究から、石器時代のような「原始的な」食事が健康に与える効果、さらには朝お腹がすいていなくても食事をとることが重要かという問題にまで及んでいる。

また、望ましい食事のとり方に関する話題も頻繁に登場する。
CRを実践している人々は、摂取カロリーが少ないため、できるだけ栄養豊富な食事をとって、でんぷん質の多い食品や加工食品は避けるべきだと考えている。
典型的な千五百キロカロリーの献立は、サケ、卵白、無脂肪ヨーグルト、野菜といった食品で構成されている。

CRの実践者たちは、自分たちは栄養をきちんと考え、健康のために食事制限を追及しているので、拒食症のような摂食障害とはまったく違うと主張している。摂食障害は理想とする体型への執着が原因となって起きるものだ。

しかし、カナダの国立摂食障害情報センターのメリル・ベア所長は、健康のために食事制限していると口にする人でも、実際にはそれを口実に、食べ物や体重に対する病的な執着を正当化しようとしている場合が多いと指摘する。

「摂食障害を患っている人が、食べ物や体重への執着を正当化するためにCRの理論を利用している可能性もある」と、ベア所長は語る。


医学的摂食障害。

精神科領域で問題にされる、食行動異常として、神経性食欲不振症(アノレキシア・ネルボーザ)と過食症(ブリミア)というのが、ある。
ブリミアというのは、ギリシャ語で牛を意味する言葉と<飢餓を意味する言葉の合成語だ。過食症と言うより、飢餓症とか、食欲亢進症という言い方の方が近い。

過食症者の多くは、摂食後の肥満を恐れて、食べたものを嘔吐したり下剤をかけたりする者がいる。
これらを総じてブリミア、多食症として訳す。

多食とは、たくさん食べること。大食との区別が曖昧だ。

実際にはブリミアの人の食べ方が多食ないし大食とは限らない。
あくまで、本人にとって「過剰な」摂食が問題になる。他の人から見るとほんの少量なのに過食したと嘆く場合もある。そういう場合、嘔吐を目的に食べるのでとにかく胃腸内に食物がたまっているのを許せないのだ。

神経性食欲不振症と過食症とは、一見逆の状態。でも,実際には食欲に関する異常として一括できる。

一人の人物が、拒食と過食を繰り返すことが多い。
過食・拒食サイクル、過食・拒食習慣などと呼ぶ医師もいる。

医師の言う習慣とは、この医師が、過食・拒食を嗜癖の一つと考えているから。嗜癖とは心身、社会的に不適切な習慣のことを指す。

痩せ願望を持つ思春期の女性が極端なダイエットを続けているうちに破綻して一晩で冷蔵庫の食料を食べ尽くしてしまう。過食・拒食行動の典型的な例だ。
しかし必ずしも思春期に限られるわけでもないし、女性に限られるわけでもない。
痩せ願望と自己誘発嘔吐と絶望感と自己嫌悪のド壷に嵌る。

それでも、拒食症者には、共通して、強烈な痩せ願望が、見られる。
過食して、それでもなおかつ痩せていたいとなれば、これは嘔吐するしかない。
そのため、多くの例で、自己誘発嘔吐の習慣を抱えている。

嘔吐が上手くできず、下剤の乱用に頼っている者たちもいる。いずれも依存症だ。
嘔吐できない者たちは、どうしても肥満に傾いてしまい、自分の体型を恥じて自室に籠もっている者もいる。

吐けずに太っている期間は、外に出られない。太ったり、痩せたり忙しい。
嘔吐習慣のついてる者は、スリムで、活発に動き回る者が多い。
わたしも痩せている期間は、異様に活発だった。スポーツジムに通ったりしてた時期もある。

嘔吐行動は、グロテスクで家族を悩ませることが多い。だから、家族には内緒にしているつもりだが、家族はとっくに気付いている。
一晩中過食と嘔吐を繰り返して、大量に吐物を排泄する。
トイレにも流れないでその処理に難渋する事実もあった。

流しながら、細心の注意を払っていた。トイレが詰まったら大変で、現に何度も水道屋を呼んで大恥を掻いた。一日に数回、少なくとも一回は吐くという事になると胃酸の逆流によって歯を痛める。利き手の甲は嘔吐の際に口に手を入れるので前歯が当たってタコができているという悲惨な状態だった。わたしはイボコロリで腐らせ抉り取り、人前にはさらすことのできない手である。

四肢麻痺、腸管麻痺、心律動異常、水分バランスの失調や低栄養状態による浮腫、各種ビタミン欠乏による皮膚症状、等々、示していた。
しかしスリムである限り、本人は、この状態を惨めとも思わず、結構活発に社会活動している場合が多い。

一晩中食べて吐いていると言った極端な事になると学校へも職場へ行くことができなくなる。
友人から離れ、恋人とも無縁で青春時代を餓鬼として過ごす。
大量に食べて、それを皆吐くのだから、食料をいつも確保しておかなければならない。
お金がかかる。ここで、盗む行為に走る者もいる。
盗癖。これは、クレプトマニアという別の嗜癖(習慣の病気)も考えられるらしい。
だが、盗まれる方の店側は「病気だから」などととらえてはくれない。
何度も警察に捕まる者もいる。多くの摂食障害を抱える者たちが、盗癖に悩んでいる。
そして、多くのものたちが、自殺未遂の経験を持っている。

わたしの過去だ。

其れが今、医者から言わせると復活の兆しあり、らしいのだ。
それで此処へいれられた。此処でおぞましさを思い知れと、落ちればどうなるか考えろと、自分の其の中の一人だったと自覚せよと、いうのだ。
辛い。でも避けられない壁だ。わたしはもう一度地獄を見て、地上の素晴らしさを強烈に思考回路に焼き付けねばならない。
今となっては感謝だ。


自殺実況中継と考察、分析。

かの有名なシュナイドマンの著作「死の声」(誠信書房)に、著者あてに残された自殺者のテープの抜粋がある。

これは車の中にガソリンをまき火をつけて自殺未遂をした女性のもので、彼女が死んだ翌日にそのテープが送られてきたものだ。

以下、内容。

死のうとして二カ月も三カ月もあれこれ思案いたしました。
幾度も幾度も計画を立てては、また立て直すということを繰り返しました。
十月の初め、一度自殺を立てましたが、この時はうまく行きないでした。
そこでまた新に、計画を立てることになったのだが、死ぬことができなかったことで、一層わたしはうちひしがれました。
焼身自殺をえたのはそんなときでした。
ベトナム人だったと思いますが、焼身自殺したという新聞記事を記憶があったのだ。これは確実に死ぬ方法です。

その日早く起きたかどうかはっきりしないのだが、でも、その時までに身の回りの整理は終わっていました。
整理をしたものは本、衣類、自分の持ち物、いろんなガラクタ、それにわたしが買い求めた装身具や絵の類。
わたしの大切ないろいろなもの。

意気消沈して半分泣きながら、それでもまだ力は残っていました。

彼女はその日の夕方、死を覚悟した。
そして何故か彼女は近所の友人の家にトースターを借りに行くが、誰も彼女の様子が変であることに気がつかなかった。
それからガソリンスタンドでガソリンを買い、自分のアパートに帰った。
しかし、建物に火がついて他人に迷惑をかけては中し訳ないと思いなおし、アパートの前に停めてある車の中で死ぬことにした。


わたしはマッチを取り上げました。わたしの動きはゆっくりしていました。素早い普通の動きとは違って、まるでスローモーションのようでした。

死ぬ覚悟を決めて行動しながら、その時何を考えていたのか思い出すこともなければ、胸の張り裂けそうな悲しみのことも覚えていない。
わたしがあれこれ思い悩んできたことに終わりが来たように感じました。
わたしはもう存在しなくなり、もうこれ以上悩むこともなくなるのだ。光が見えてきたようでした。
わたしを満たす何かが近づいてきたようでした。わたしは強くなろうとしていました。何かをやり遂げる力を得ようとしていました。わたしの頭の中にたくさんのことが浮かんでは消えていきました。
(中略)
わたしはまず前の座席と自分のからだにガソリンを注ぎ、次に後ろの座席にかけました。良い気持ちでした。
心の安らぐのを感じたのはその時が初めてでした。
その日のその時まで、次のような光景が幾度も頭の中に浮かんでいたのです。わたしが体を刺されて血を流しているのに、皆はそれを見ているだけで、何もしてくれず、わたしの知ったことではないわ、アハハハと笑とはいる光景が。

でも、今一度だけ、自分で自分の問題に始末を付ければ、もう誰も、わたしの苦しみを見ないでもすむし、わたしの苦しみ自体が消え去とはしまう。
悲しみも苦しみも、特に心の苦しみは、もう存在しなくなる


彼女は車に火を付け、傍にいた人が彼女を助け出したが、この出来事の三年後に彼女は死亡した。
 
自殺者の四人に一人が遺書を残して死ぬという。

日本は世界でも自殺の多い国として有名だが、一九八四年の人口十万人あたりの自殺死亡率を見ると、日本は二0.四人、ドイツ連邦の二0.五人とほぼ同じである。

高いところではンガリーの四五.九人、福祉国家として有名なデンマークが二八.七人、フィンランドの二五.二人と、それぞれ日本より高い数字を示している。

アメリカは一二.一人とかなり低い数字でもある。
もっともアメリカでは自分で死ぬという書き置きがなけれぱ、自殺と認めないなど一概に比較できない面がある。

日本の場合の特徴として、六十五歳以上の高齢者の自殺者死亡卒が急激に上昇していること。
また、十歳代に多かった自殺のピークが、四十歳後半から五十歳前半に大きな山を描くように変化してきている。
この傾向は男性だけにいえることで、仕事の上のストレスが関連していると思われる。
また夫婦が離別、あるいは死別したことが原因で自殺する割合は、男性二四四.五(離別)、一二六.九(死別)に対し、女性は三五.九(離別)、四八.八(死別)となる。
また日本では都市住民よりも農村住民に自殺率が高いと言うのも特徴である。
 
一般に自殺の場全、遺書が残されている場合が多く、また仏壇に花を供えたり、基参りをしてからふみきるケースが多い。
自殺の場合、死者の表情に苦悶のあとがない場合が多いという。

自殺の手段としては第一位が絞首およびその他の窒息(五四.七%)、ガス中毒(十.九%)、入水(七.三%)、服毒(六.八%)、飛び降り(六.三%)となっている。(一九八一年)
 
一九八六年の調査では、もっとも多いのが、病苦で四二.九%、次いでアルコール中毒、精神障害が一七.四%、三番目に経済生活問題で十.八%となっている。

これを男女別に見ると、男性では病苦が三八.四%、経済生活問題が一五.二%、アルコール症、精神障害が同じく一五.二%である。女性は病苦が五一%、アルコール症、精神障害二一.三%、家庭問題が一一.八%となる。
 
自殺問題の権威であるシュナイドマンの意見では、自殺には三つの要素があるという。

まず第一は「生活の乱れ」である。自分の得にならないことをしたり、人の反感をかう行為を行ったりして、自分の人生を破滅へと導くのである。この例として酒に溺れる、対人関係での衝突などが挙げられる。

第二の要因は平素の落ち着きをすっかり失ってしまい、取り乱すことだ。自殺をしようとする人は、普段の落ち着きを失い、恐れや疑い、戸惑いなどの否定的感情に支配されている状態にある。

第三の要因は、抱えている問題に対し、非常に幅の狭い片寄った考え方に固執するのが特徴。世界は善か悪、生か死か、取るべき道がないと思い込んでしまう。

わたしは全部ある気がする。ならば死ぬより無いのか???
悩みは止まらない。


本当のダイエットとは?

摂食抑制者の過食への走りやすさは、現在の認知や食事の抑制よりも、ダイエットと過食のサイクルに関連している。
そして、ほとんどの抑制的摂食者が、過去に頻繁にダイエットと過食をしては、ほとんどが失敗している。
つまり、The Restraint scaleで摂食抑制者となる。

しかし、逆は正しくない事が分かっている。
現在のダイエッターと摂食抑制者は、食事の調整パターンと、負の影響による食行動パターンにおいて異なっている。
ダイエットをしていない摂食抑制者は、過去にダイエットと過食のサイクルを持っている。ダイエットへの動機付けが十分になったとき、摂食抑制者は、抑制的なダイエッターになると述べている。

一方、ダイエッターには、より厳しい食事制限を必要とする減量しようとしているダイエッターと、現在の体重を維持しようとするダイエッターがいて、摂食抑制者とは、二つのタイプのダイエッとを交互に行き来する。
ダイエッターのダイエット中という認知が問題であり、其れは食事制限の程度出示される。

ウェイトと関連した食行動のコントロールを行っているという点では、ダイエッターと摂食抑制者は同様だ。
認知的見方という観点では、ダイエッターは、自分なりの計画を立てて、食行動にさまざまな制約を課し、それを強く意識しているので、ダイエッターのほうがより強い心理的プレシャーを感じている。
食事制限の程度という観点からみると、ダイエッターは、摂食抑制者よりも減量により積極的に関与している。
ダイエッターは、高摂食抑制者よりも、The Eating Attitudes Test(摂食障害のスクリーニングのために作られたテスト)の得点が高いことが示された。
ダイエッターと抑制的摂食者は、減量への関与の程度においても、認知においても異なっていると思われるのに、これまでの研究は、一方しか問題にしていない。
また、これまでの研究では、ダイエットの定義が漠然としていた。

DEBQ は、人が日常生活において減量方略を用いている程度を暗黙に測定することができるが、体重への関心と減量の意思を表す項目がない。
そのため、DEBQによる抑制的摂食者が、減量の意思と体重への関心をどの程度持っているのか不明だった。

また、DEBQの項目が表している食行動の抑制は、積極的な減量への関与の意識を持っていない人々でも、摂生という意識でもって行われている。
よって、DEBQによる抑制的摂食者が、食行動異常を起こさないのは、ダイエッターではないためからかもしれない。
EAT-26(EATの短縮版)は、40項目版を参考に日本語版が作成されているが、このダイエットのサブスケールは、項目17(ダイエット食品を食べる)、項目23(ダイエットをしている)とダイエットという言葉を使っている。
ダイエットをしていますかとダイレクトにたずねるのは問題がありはしないか???

此処に実験結果がある。大学教授にいる大病院ならではの資料だ。見付かったらどうしよう。完全なハッキングだ!!!

大学生女子の被験者(29名、1名は無回答)を対象に、ダイエットについての調査を行い、「ダイエットとは具体的に何をすることだと思いますか」とたずねたところ、ダイエットという表現で、人が連想するところは様々だった。

看護婦さんという職業のため、ダイエット=食餌と捉えていた人もいれば、絶食と捉えていた人もいたし、食事制限&運動と捉えていた人もいたし、たまにおやつを抜く事と捉えていた人もいた。

このことは、被験者が減量への関心を持っていない事や、方略を行っていないことを表しているのではなく、ダイエットという言葉が人によって微妙に異なる捉え方をされている概念であることを表しているように思われる。
さらに、ダイレクトにダイエットいう言葉を用いる事は、人に、曖昧な固定的な見方を強いているように思われた。

摂食障害の分野では、ダイエットは、Bulimia Nervosa発症のリスクファクターといわれている。
Bulimia Nervosaとは、摂食障害の一つのタイプであり、その診断基準は、DSM-(The American Psychiatric Association)によると、

むちゃ食いのエピソードのくり返し。むちゃ食いのエピソードは、以下の二つによって特徴付けられる。
(1)他とはっきり区別される時間の間に(例:1 日の何時でも2時間以内の間)、ほとんどの人が同じような時間に同じような環境で食べる量よりも、明らかに多い食物を食べる事。
(2)そのエピソードの間は、食べる事を制御できないという感覚。

体重の増加を防ぐために不適切な代償行動を繰り返す。
例えば、自己誘発性嘔吐、下剤、利尿剤、浣腸、またはその他の薬剤の誤った使用;絶食;または過剰な運動。

むちゃ食い及び不適切な代償行動はともに平均して、少なくとも3ヶ月にわたって週2回起こっている。

自己評価は、体型及び体重の影響を過剰にうけている。

障害は、神経性無食欲症のエピソード期間中にのみ起こるものではない。

となっている。

ダイエットとブリミアの関連モデルには、アメリカ社会で、多くの女性にはびこっているのと同様のウェイトとダイエットへの関心がより極端に現れた場合、ブリミアを発症すると示唆する連続体モデルと、ダイエットはブリミアの発症に因果的な役割を果たしていると認めるが、他の既存の特性を持った個人にのみダイエットは、ブリミアに発展すると示唆する非連続体モデルがあるようだ。

或る学者が抑制的摂食者とダイエッターを区別する事によって、過去の研究をリバイスし、調査をおこなった。

彼は、被験者を、ブリミア群、現在のダイエッター、抑制的摂食傾向のあるノン・ダイエッター、抑制的摂食傾向のないノン・ダイエッターの4群に分け、一般的精神病理、摂食障害に特有の精神病理、過食の程度について比較した後、トレンド分析、回帰分析を用いて、連続体モデルと非連続体モデルを試した。

結果、ほとんどの分析が連続体モデルの観点と一致した。
しかし、binge eating(過食)は、ブリミアにのみ顕著であり、ほかの3グループには現れず、明らかな直線的傾向を示さなかった。

現在のダイエッターは、抑制的なノン・ダイエッターよりも、抑制とウェイトへの関心が高かったが、精神病理と過食においては変わらなかった。
概して、結果は通常のダイエットは、心理的なものと関連しているが、ブリミアの徴候とは関連が無いということを示唆していた。

さらに、ブリミアのダイエットと過食の関連を調べると、3つのサンプルのブリミア群を、頻繁なダイエッター、頻繁でないダイエッターに分け、複数の尺度によって過食の程度を比較した。

結果、サンプル2においては、ダイエットと過食に関連は見られなかったが、他の2つのサンプルにおいては、頻繁なダイエッターは、頻繁でないダイエッターよりも過食の頻度が少なかった。
これは、ダイエットによる食事の制限は、後に続く過食と重要な因果関係を持つとみなす抑制理論の予想と反対である。
この結果、サンプル2においては、前年のダイエット頻度が測定されサンプル3においては、先月のダイエット頻度が測定されていた。
サンプル3を、前年のダイエット頻度によって再分類し、過食との関連を調べた。7すると、再び有意差が見られたが、差の程度はかなり減少した。
再分類したダイエッターの二つのグループを、一週間の過食の頻度で比較したところ、前の分類で得られた非常に大きな有意差は減少し、有意ではなくなった。

この結果によって、サンプル2と3の劇的な差は、サンプル2においては、過去のダイエットが測定され、サンプル3においては、現在のダイエットが測定された事によると考えた。つまり、過食を持続させているのは、過去のダイエットであり、現在のダイエットは、過食の頻度の減少に関連していると考えられる。

研究の疑問点は、ダイエッターの分類方法だ。

被験者に、毎朝、本日ダイエット中というつもりがあるかどうか(体重を維持するのに必要とされるより少量の食事するか)を示す食物摂取の記録を7日間とり、被験者のダイエットへの関与の意思を確かめ、ダイエッターに分類している。

1998年の研究結果では、サンプル1においては、現在減量のため、ダイエットをしていますか?と質問し、Yes,Noよって分類し、サンプル2においては、Bulimia test-Revisedの19項目(私は絶食または厳格なダイエットによって減量を試みている)によって、サンプル3については、過去数ヶ月間にダイエットをしている程度を測定するインテイク質問紙(全く無い、少し、幾分、しばしば、非常に、の反応形式)が加えられて分類されている。

わたしは、被験者に「ダイエットをしていますか」とダイレクトにたずねる事は問題があると考える。
被験者は、どんな減量方略をどの程度用いているのか分からない。
よって、第3調査で、第1研究で作成した尺度を用いて、食行動異常とダイエットに連続的な関連が見られるかどうかについての調査が待たれる。

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